阿部慎之助・監督
達川:でもね、ボクは2003年に阪神で和田と一緒にコーチをしたけど、余計なことは言わない男です。元監督というプライドは恐らくゼロで、求められた役割を律儀にこなすタイプ。やりにくくはないと思います。ボクもソフトバンクで年下の工藤(公康)監督に呼ばれて2年ヘッドをやってうまくいきましたよ。
中畑:お前は人間性がいいからさ。
達川:巨人はヘッドの二岡(智宏)が退団したけど、中畑さんも阿部(慎之助監督)に「力を貸してください」とヘッドで呼ばれたらどうします?
中畑:行くわけねえじゃん! オレと慎之助じゃ歳が違いすぎるよ。
江本:気持ちはわかるけど、巨人のためには行ったほうがいい。話があればだけど(笑)。
藤川がいろいろと考えているのは確かですよ。監督就任前も編成の仕事をしていたから内部事情に詳しい。情報を誰が漏らしているかにまで目を光らせ、監督になったら少しバリアを張ってOBを遠ざけた。まあ、オレはサンスポで大々的にインタビューしたけどね。
中畑:そりゃ、阪神だけでなく高知商の先輩だから。ところで阪神が優勝したら、エモやんが高知商に藤川の銅像を建てるって話してなかった?
江本:いや、それは日本一になったら。いやいや危なかったよ(苦笑)。
達川:高知商というのはね、無駄口を叩いちゃいけん伝統があるんです。藤川は負けた試合の後も“明日頑張る”としか言わない。岡ちゃん(岡田彰布・前監督)はすぐ選手にダメ出ししたけど。
江本:よく不仲と言われるけど、岡田と藤川の関係は悪くない。岡田が育てた選手ばかりだから藤川も岡田を立てています。
達川:でもあれだけ解説で「アカンやろアカンやろ」と言われたらムッとするでしょ。シーズン終盤に才木が降板させられそうになった時、解説の岡ちゃんが「代えたらアカンやろ、最多勝獲れへんやんか、絶対代えるな」と叫んで、アナウンサーがドン引きしてましたよ。
江本:まあ岡田に悪気はないんだけどね。
(第3回につづく)
【プロフィール】
江本孟紀(えもと・たけのり)/1947年、高知県生まれ。1971年に東映入団。1972年に南海に移籍しエースに。1976年に阪神に移籍し、1981年の引退後は参院議員、タレントとしても活躍。
中畑清(なかはた・きよし)/1954年、福島県生まれ。1976年に巨人入団。「絶好調男」として定着。引退後はDeNAの監督を務めた。現在は巨人OB会の会長を担う。
達川光男(たつかわ・みつお)/1955年、広島県生まれ。1978年、広島に入団し正捕手に。引退後は広島監督などを務め、ソフトバンクでヘッドコーチとして日本一を経験。
※週刊ポスト2025年12月12日号
