部屋持ち親方となることが決まった湊川親方
常盤山親方(元小結・隆三杉)が来年3月1日に65歳の定年を迎えるのに伴い、元大関・貴景勝の湊川親方が来年初場所後の1月26日付で常盤山部屋を継承、同時に湊川部屋としてスタートさせることが日本相撲協会の理事会で承認された。
29歳の部屋持ち親方の誕生である。現在の常盤山部屋がある板橋区前野町から、湊川親方が住居にしている墨田区立川の元・二十山部屋の建物に移転することになる(湊川親方は、二十山親方だった元大関・北天祐の次女と結婚している)。ただし、今回の継承ではもともと常盤山部屋にいた全員が湊川部屋に所属するかたちとなるわけではない。そこには複雑な背景事情がありそうだ。
行司、呼出、床山、世話人が計4人、別の部屋へ
現在、常盤山部屋には小結・隆の勝、十両・若ノ勝、元十両・貴健斗など所属力士が8人、行司1人、呼出1人、床山2人、世話人2人がいる。協会関係者はこう言う。
「常盤山親方は再雇用で協会に残り、湊川部屋の部屋付き親方となる。力士も8人全員が湊川部屋の所属となる。しかし、床山は床勝が湊川部屋所属となる一方、床千は木瀬部屋に転籍に。世話人も嵐望は残るが栃の山は山響部屋に移る。部屋にそれぞれ1人だけだった行司の木村秀朗と呼出の広は玉ノ井部屋への転籍となるのです」
原則的に力士は一度入門した部屋を自己都合で移籍することはできない。例外として認められるのは、師匠が定年や病気などの都合で部屋が消滅した場合と部屋付き親方が独立で内弟子を連れていく場合に限られる。相撲ジャーナリストが言う。
「つまり力士に師匠を変える自由はない。これは部屋間の引き抜きを防止する目的がある。相撲部屋は師匠に運営が任されているため、隣の芝生は青く見えるもの。わき見せずに部屋で精進しろという相撲協会からのメッセージなんです。一度力士をやめて、1~2年後に別の部屋に入門するといったやり方もダメで、一度廃業した者は再び力士になれません」
過去には部屋が消滅したことで、消滅部屋の力士が一門の複数の部屋に分かれて転籍したケースはあるが、部屋が継承されたケースで力士の転籍は許されない。もちろん部屋を興して内弟子を連れていくことも含め、いずれも相撲協会の理事会の承認が必要となる。
その一方で、部屋付き親方や行司、呼出、床山といった裏方の転籍は決して珍しくなく理事会の承認があれば認められているが、それでも、常盤山部屋のように裏方が一家離散状態になるケースは多くない。これには常盤山部屋の複雑な成り立ちが関係しているという。
