海保と海警局「上陸阻止」の攻防
海保が海上民兵の尖閣上陸を防ごうとすれば、海警局の船が海保と海上民兵の船との間に割り込んだり、海保の活動を妨害したりする動きに出る。この段階ではまだ中国海軍は動かないという。
「今までの中国海軍と海警局の合同演習などを見ると、海警局の船が前面に立って、他国の船を妨害したり、衝突したりして、その時、火災などが発生すると、海軍が海警局の船の救助に向かうということが多かった(図【4】)。いきなり海軍が介入するということはないと思います。
注意しなければならないのは海上民兵の船です。海保などコーストガードの船は基本的に民間船なので鋼鉄製ではないが、海上民兵の船は相手に衝突したり、乗り上げたりすることを想定しているので頑丈な鉄製が多く、海保の船より強度が高い。ぶつけられると海保の船の被害が大きい。だから当てられないように操船してそれを躱(かわ)してきた。それだけ海上保安庁の操船が巧みだということでもありますが、衝突を躱して海保が海上民兵を拘束しようとすれば、今度は海警局の船が割って入ってくる」(小原氏)
この段階で防衛大臣が自衛隊に「海上警備行動」の命令を出していれば、自衛隊も警察権を行使できるようになる。海自の護衛艦が尖閣周辺に派遣され、中国海軍の監視にあたることになるという(図【5】)。
(第3回に続く)
※週刊ポスト2025年12月26日号