多くのSNSはアカウントを作成できるのは13歳以上としている(イメージ)
マレーシアでは来年より16歳未満のSNS利用を制限、ニュージーランドでも同様の法案が提出されている。デンマークでは、15歳未満のSNS利用を禁止、EUではSNSの利用の最低年齢を16歳とする決議案が採択されている。
そもそも、10代に人気のYouTubeやTikTok、Instagram等、ほぼすべてのSNSは13歳以上対象とされている。各社の規約では13歳以上の子どもはアカウントを作成、利用できることになっている。
しかし同時に、様々な調査から、SNS利用は10代のメンタルヘルスに悪影響を与え、鬱や摂食障害の子どもを生み出していることが分かっている。それを受けて、各国で利用規約よりも厳しい法規制や制限が進んでいるというわけだ。
日本での規制や対策は遅れていない
日本国内では、国全体として子どものSNS利用を規制する法律はない。豊明市で「豊明市スマートフォン等の適正使用の推進に関する条例」が制定され、香川県では「香川県ネット・ゲーム依存症対策条例」があるが、あくまで各自治体に限定したもので罰則もない。
では、日本では規制や対策が遅れているのかと言われれば、決してそんなことはない。
根拠がない嘘、デマなどを言いふらして他者を傷つけたり社会的評価を低下させる誹謗中傷が社会問題化したことで、それを刑事罰として適用できる「侮辱罪」が厳罰化された。プロバイダー責任法を改正した「情報流通プラットフォーム対処法」が2025年4月から施行されたことにより、プラットフォーム側に削除基準の明確化や通知の公表等、誹謗中傷や違法・有害情報への対策も義務づけられるようになっている。
未成年に自画撮り被害や性被害が増えたことで、16歳未満の者に対してわいせつ目的で面会を要求したり、わいせつな映像などを送ることを要求することを罪に問う「十六歳未満の者に対する面会要求等罪(通称グルーミング罪)」も2023年に創設されている。従来の児童ポルノ禁止法等では罪に問えなかったことを、罪に問えるようにしたというわけだ。
つまり、社会問題となる課題への対応や法規制は、順次行われてきていると言っていいだろう。
年齢を偽って利用するオーストラリアの子どもたち
更に言えば、既に利用している子ども達からSNSを取り上げることが、いいこととは言い切れない面もある。
