オーストラリアでの16歳未満のSNS利用禁止措置で、登録者が急増しているSNS「レモン8」の導入画面。TikTokを運営するByte Danceが提供している。動画やコメントを投稿できるインスタグラムと同様の機能を持つという(時事通信フォト)
SNSには、当然メリットもある。子ども達にとってSNSは楽しみであり、仲間とつながれる手段であり、承認される場でもある。SNSでのみ友人とつながっていることも多く、SNSを禁止してしまうと、交友関係を切ることになってしまう。いじめにあっていたり、LGBTQ等で悩んでいる子どもにとっては、助けを求めることができたり、仲間が見つけられるSNSがセーフティネットになっている面もある。
一足先に規制を始めたオーストラリアでは、子どもが親のアカウントを利用したり、年齢を詐称して登録したり、VPN(バーチャルプライベートネットワーク)で国外からのアクセスを偽装するなど、様々な手段を講じているようだ。規制されていないSNSの登録者が増えているとも聞く。
子ども達にとって友人とつながりたい、交流したい、認められたい気持ちは強く、隠れて利用するようになってしまっているのだ。隠れて利用して被害やトラブルに遭った場合、相談できずに被害が拡大する懸念もある。
日本で今後規制が進む場合のシナリオは
日本では、一律に年齢による未成年への法規制は、これまで議題に上ってきていない。では、今後も規制される可能性はないのだろうか。今後の予想として、日本におけるステマ規制の経緯が参考になるかもしれない。
アメリカでは2009年から、EUでは2005年から実効性ある規制が施行されるなど、G7すべてでステルスマーケティング、通称「ステマ」が違法とされる中、日本では規制する法律が存在しなかった。2012年にペニーオークション事件が起きても法的に規制する具体的な動きがなかったが、それから十年以上経った2023年にようやく、世界に合わせて改正景品表示法により規制された過去がある。
未成年のSNS規制についても、ステマと同じように、このまま世界中の国で規制が進んだ場合は、世界標準に合わせて制限する方向へ進む可能性はあるかもしれない。
ただし、まだ今回のオーストラリアでの規制に効果があるのかも分かっていない。たとえ規制する場合でも、まずは既に規制した国での効果を見てから議論を進めてもいいのではないだろうか。そもそもSNSの未成年への法規制は必要なのか、それ以外の方法はないのか、しっかりと議論した上で進めていくべきだろう。
