第66回、日本レコード大賞を受賞したMrs.GREENAPPLE(インスタグラムより)
長時間フェス化で年末特番と一体化
『レコード大賞』が30日の放送で持ちこたえられているもう1つの理由は、時流に乗った長時間フェス化。大みそかの放送時は3時間でしたが、30日への移動後は徐々に放送枠を拡大して4時間~5時間30分で定着しました。放送時間を拡大するほど出演アーティストが増える一方、生放送で受賞者を発表する「大賞」「新人賞」以外の賞が増えるわけではないため、おのずと特番の構成はフェス化していきます。
毎年年末には、『ベストアーティスト』(日本テレビ系)、『FNS歌謡祭』(フジテレビ系)、『CDTVライブ!ライブ!クリスマススペシャル』(TBS系)、『ミュージックステーション SUPER LIVE』(テレビ朝日系)、『発表!今年イチバン聴いた歌~年間ミュージックアワード』(日本テレビ系)などの長時間フェス特番が生放送されています。
そのため10代・20代の視聴者は『レコード大賞』を「たくさん生放送される音楽特番の1つ」とみなす人が多く、なかでもポイントは、推し活に熱心な人々を味方につけていること。男女のアイドルやダンス&ボーカルグループをキャスティングし、ファンたちにリアルタイムで見てもらうことで視聴率獲得につなげています。
この点で『レコード大賞』は視聴者に“名誉”や“権威”よりも“お祭り”を感じさせるものに変わったと言っていいのではないでしょうか。CDの販売枚数が減り、配信にシフトする人が増える中、「レコード」というフレーズへの違和感も増しているだけに今後も少しずつ形を変えながら続いていくのでしょう。
最後に今回の最注目は総合司会の川口春奈さんが「楽しみ」と語っていたようにMrs. GREEN APPLEが3年連続で大賞を受賞できるか。今年の活躍とファンの熱狂を見る限り、受賞してもしなくても大きな反響が期待できるでしょう。
【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月30本前後のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』『どーも、NHK』などの批評番組に出演し、番組への情報提供も行っている。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』など。
