自宅のベッドでヘルパーから介護サービスを受けている(本人提供)
──老後の旅を楽しみにしていたんですね。
「でも、今の僕が本物で後悔はしていません。前を向いてやることがいっぱいあるし、やりがいもあるからです。自由に動けたときは、読み聞かせや、講演などで特別養護老人ホームや、各種の施設で、体の不自由な人たちを相手に“前を向くことの楽しさ”をテーマに講演をやってきました」
──作家として生きて50年、“やり残したこと”や“抱いている夢”などはありますでしょうか。
「……やり残したことはいっぱいありますよ。実現までに10年以上はかかると思われる夢は却下しました。ただ、依頼されるエッセイの執筆、SNSへの投稿などのほかに書きたい長編小説が3本はあります。これは書き上げられると思います。
ただ、明日は我が身が人の常。そういう事態になったら、書きかけの原稿が残っていたとしても、ここまでやってたんだと満足することにして、悔いはないと思います」
──介護生活のなかで自分と向き合い、前向きに生きる志茂田さんですが、「終活」などを考えたりはしますか。
「息子たちには『僕がいなくなったら、君らがいらないと思ったものはポンポン捨ててくれ』と言ってあります。
必要なくなるわけですから、惜しいものは1つもありません。この世に生まれて、喜怒哀楽の洗礼を受けながら成長してきたのですから、『老いは人生の終わりが近づいてきました』と、いうサインとして捉えています。
その際には“老い”を意識したら少しでも充実させよう、という気持ちがほしいと思います。ごく自然に最後の翼を出してみようじゃありませんか」
(後編につづく)
