「国会議員が裁判官の独立という原則など何とも思っていないことがよくわかった」と語る
「官邸に考える余地を与えない」
政治的中立性が尊ばれる内閣法制局長を安倍官邸がすげ替えたこともあり、竹崎博允最高裁長官の任期切れが近づいた2014年には、裁判所の上層部に警戒感が漂っていたと、岡口氏が続ける。
「もともと行政庁に対しても権力基盤が弱い裁判所は、組織防衛の必要がありました。そのこともあってか、竹崎さんは定年の4か月前に突如として依願退官することを表明した。健康上の理由と説明されたが、業界内では官邸に考える余地を与えずに後任を指名させる作戦と受け止められていました。後任は法務省に長い間出向していた点で無難な寺田逸郎氏、その後も、安倍氏と同郷の戸倉三郎氏を差し出したことがある。“話が通りやすいだろう”という魂胆ではないかと思います」
政治の介入は弁護士会にも及んだ。
「最高裁判事には日弁連の推薦枠がありますが、安倍官邸はその推薦通りではなく、よりブル弁(ブルジョア弁護士)色の濃い、東京第一弁護士会(一弁)出身者を7人連続で選びました」
一弁は企業法務を中心に手掛ける大手事務所が核となる弁護士会だ。
「以前なら一弁だけでなく東弁(東京弁護士会)、二弁(東京第二弁護士会)や大阪弁護士会などからも順に人選されていました。最高裁が国民目線のバランスを取るのに一役買っていて、例えば大阪のマチ弁出身判事が過払いや多重債務者のための返済ルールを作るといったこともあった」(岡口氏)
この点、石破茂政権下の2025年2月にはマチ弁系の高須順一氏(東京弁護士会)が選任され、12月には大阪弁護士会から阿多博文氏の選任内定も報じられた。これで正常化したかにも見えるが、岡口氏は「安倍氏を師と仰ぐ高市政権に変わったから、次はまたブル弁かも」と警戒をほどかない。
