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大島真寿美さん『うまれたての星』インタビュー「当時の少女漫画誌は今読んでも作り手の熱がすごい。その熱に負けないように小説を書いた」

大島真寿美さん/『うまれたての星』

大島真寿美さん/『うまれたての星』

【著者インタビュー】大島真寿美さん/『うまれたての星』/集英社/2750円

【本の内容】
 アポロ11号が月面着陸に成功する1969年。出版社の新入社員、18歳の牧子は「週刊デイジー」「別冊デイジー」編集部の経理担当となり、これまで知らなかった少女漫画に目を開かれる。才能あふれる漫画家を発掘する編集長のもと、漫画家とタッグを組んで新しい少女漫画を次々に送り出す編集者がいれば、まったく縁のない世界に放り込まれて戸惑う編集者や、いつかは漫画を担当したいと願う女性編集者もいる。少女漫画を取り巻く熱は次第に大きく高まり、時代を画するヒット作を生み出していく。日本も少女漫画誌も右肩上がりだった“あの頃”を舞台に描く長編小説。

少女漫画誌のOB、OGに4年かけて話を聞いた

 少女漫画雑誌「週刊デイジー」「別冊デイジー」の編集部を舞台に、1960年代後半から1970年代にかけての黎明期の5年間の少女漫画の輝きと、時代の「熱」をいきいきと描き出す。

 小説には編集部で働く牧子の姪である小学生の千秋と友だちの浅沼さんという2人の少女が登場する。

「千秋は私と同い年で、私もこんな感じでお小遣いで雑誌を買って読みふけっていたんですよ。2014年ごろに、少女漫画の編集部の話を書きたいと担当編集者に話していたんですけど、その時はどう書いていいかが全然わからず、そのままフェードアウトしていました。

 2020年になって、古い知り合いの、70代半ばの編集者と食事したんです。彼が元々少女漫画をやっていたという話から、当時のいろいろなエピソードを聞かせてもらい、私が書きたかったのはこの話だ、こういうふうにいろんな人に話を聞かせてもらって書けばいいんだとわかって、それで取材を始めました」(大島真寿美さん・以下同)

 小説を連載した「小説すばる」は集英社から出ており、集英社は「週刊マーガレット」や「別冊マーガレット」の版元でもある。編集者経由で雑誌のOB、OGに連絡を取ってもらい、4年かけてじっくり話を聞いた。

「コロナ禍になってしまい、取材には時間がかかりました。年配のかたが多かったので、直接お会いするのが難しくなったり、アポをとってもリスケになったりすることも多かったです。でもみなさん、元編集者なので、『何か少しでも作品のお役に立てれば』とおっしゃってくださって、聞かせてもらう私も、こんな楽しい仕事はないと思うぐらい、面白いお話を伺えました」

「別冊マーガレット」編集長として同誌の発行部数を150万部にまで伸ばした伝説の編集者、小長井信昌さんにも話を聞かせてもらったそうだ。小長井さんはその後、2025年2月に94歳で亡くなっている。

「お葬式が終わったあとに、連載の最終回が載った雑誌がご自宅に届いたそうです。『自分は何を残せたんだろう』と小長井さんがよくおっしゃっていたらしいんですが、最終回を読んだ娘さんが『父がこういうものを残せたなら良かったと思いました』とおっしゃってくださいました」

 小説は《空の彼方にアポロがいる》という一行から始まる。この年1969年は、アポロ11号が月面着陸に成功し、日本中がそのニュースに沸き立った。

「この一行が降りてきて、いけるかも、という気がしました。編集部で経理補助をしている牧子の視点で小説は始まっていますが、牧子の成長物語にはしたくなくて、編集部をまるごとの宇宙として書きたい、と思っていました。

 あそこに宇宙があるなと思って読み進めていたら、だんだん鮮明に見えてきて、いつのまにか宇宙に立っている!みたいな感じにしたくて、でもどうしたらそうなるかはわからないまま連載を始めたんですよね。これまでで一番長い作品になり、成功するか失敗に終わるか、書き終わるまでわからなかったんですけど、連載後に小説のゲラを読んだとき、意外と最初のイメージに近いものが描けているかも、と思いました」

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