拘束され、移送中のマドゥロ大統領(CNP/時事通信フォト)
拉致は国家犯罪か、個人犯罪か
第二の共通点は、「国家犯罪」ではなく、「個人犯罪」としての位置づけだ。ここが決定的である。
米国はマドゥロ氏を「反米国家の大統領」としてではなく、麻薬密輸に関わった「犯罪者」として扱った。北朝鮮も同様の構図が成立している。
米シンクタンクの上級研究員は指摘する。
「金正恩氏は核開発の最高責任者であると同時に、強制収容所、拷問、処刑、拉致を統括する『人道に対する犯罪の責任者』として国連や米国政府文書で名指しされてきた。
国家対国家ではなく、『法の外に立つ個人』対『国際秩序』。この構図に持ち込めば、ゲームのルールは一変する」
このシナリオに最も感情を揺さぶられる国は、日本だ。
「拉致は、日本の主権を踏みにじった国家犯罪だ。しかし米国の視点では、それは同盟国・日本の国民が国家ぐるみで誘拐された国際的な人権侵害でもある」
トランプ氏は拉致被害者家族と何度も面会し、「必ず解決を後押しする」と約束してきた。日本単独では動かせない現実ゆえ、日本社会には「トランプ大統領なら、やりかねない」「やってくれるかもしれない」という希望と恐怖が入り混じった感情が存在するのではないだろうか。
