冬のオシャレに欠かせないダウンジャケット(写真提供/イメージマート)
登山家の必須ウエアとして開発されたダウンジャケットが、冬のおしゃれアウターとして日本でも定着したのは1990年代のこと。近年は、一着あたり20万円はくだらない高級品が人気を集めており、実際に街を行き交う人たちが着ているダウンにはハイブランドのロゴが見えている。賃金水準はさして上昇していないなか、食品や日用品の価格高騰に悩む日本の一般市民が、なぜ高級ダウンを着用できているのか。ライターの宮添優氏が、正規品由来の「ワケアリ」ダウンを入手している人たちについてレポートする。
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一日の最高気温が一桁までしか上がらず、いよいよダウンジャケットが手放せない季節がやってきた。この数年、特に人気があるのはモンクレール、カナダグースといった価格帯が10~20万円以上する、高級ダウンジャケットである。ファッション誌編集者が解説する。
「物価の値上がりもあるでしょうが、最近発売されるダウンジャケットは、昔に比べると1.5~2倍近くする印象で、使用されている素材も、デザインもかなり高級志向。それでも富裕層ではない一般的なサラリーマン、大学生までがこうした高級ダウンを愛用している例も少なくない」(ファッション誌編集者)
確かに、東京や大阪などの繁華街を歩けば、こうした高級ダウンで知られるブランドロゴが見えるアウターを着用している人は実に多い。10万円以上するにも関わらず、である。いったいどうやって購入しているのか?
モンクレールやカナダグースのほか、タトラスやデュベティカといった、人気の高級ダウンジャケットを取り扱っている東京都内のセレクトショップ店長の男性は「店舗で試着だけして、割安なネットショップを探す人が大半」と実態を話す。
「各ブランドから、毎シーズン新作も出ます。中には毎年、新作を買い求められる方もいますが、ごくごくわずか。新作はデザインも個性的ですから、数年後には”古臭い”となり着られなくなる。だからみなさん、長く、どんな格好にでも合わせられるように、モノトーンなどの単色で、シンプルなデザインのものを好まれるわけです」(セレクトショップ店長)
単色でシンプルなものは、ブランドの定番品として毎年発売され生産数も多く、ネットショップに割引価格で出てくることがある。購入元がどこであっても、正規品でさえあれば品質も見た目のスタイリッシュさも得られる。なによりダウンは、寒い冬のコーディネートのメインアイテムなだけに、高級志向になりやすいのだ。
どんな「ワケアリ」でも正規品由来なら引く手あまた
一方、見かけは「高級」であっても、実情は全く違う「ワケアリ」ダウンを着用しているという人も。東京・赤坂の食品関連会社に勤務する女性(30代)が愛用しているのは、クリーム色のモンクレール製ダウンジャケットであるが、一種の「ワケアリ」品だという。
