取り押さえられる山上徹也容疑者(朝日新聞社/時事通信フォト)

安倍晋三・元首相の銃撃現場で取り押さえられる山上徹也
被告。この時、奈良教会では佐藤議員の「応援集会」が行われていた(朝日新聞社/時事通信フォト)

佐藤議員が認めた「応援集会」

 高市首相の最側近である佐藤啓氏(参院議員・現官房副長官)は、安倍元首相が銃撃された際、まさに現場で応援演説を受けていた議員だ。犯人である山上徹也被告の公判には検察側の証人として出廷し、「私のせいで安倍先生は命を失ったという自責の念が絶えない」などと証言していたが、TM文書にはまさにこの事件当日の様子が詳細に記されている。

 事件の数日後に奈良の教区長(当時)が報告したとされる内容には、次のようにある。

〈勝利に向けた全食口(編集部注:食口は統一教会の会員を指す)総動員・天心苑祈祷出発式が終わり、自民党奈良県公認候補の佐藤啓候補者の応援集会を10時から行いました。候補者本人は11時からある大和西大寺駅前での安倍元総理の応援演説があるため来られず、夫人が代わりに来て奈良教会で応援集会を行いました〉

〈応援集会が終わり、一部の食口は安倍元首相の応援演説に参加するために駅へ向かい、残りの食口たちは勝利のための電話かけ大会を行っていました〉

 事件当日、統一教会の奈良教会で佐藤氏の「応援集会」が行われ、さらに佐藤氏の代理として妻が出席したという内容だ。さらに信者は、佐藤氏当選のために“電話かけ大会”も行ったとある。この内容は事実なのか。佐藤氏の事務所に問い合わせると、本人が文書で次のように回答した。

「私の代理として妻がお尋ねの『応援集会』に参加したことは事実ですが、同集会が開催された経緯については承知しておりません。当方から『(編集部注:統一教会の信者に)選挙におけるボランティア支援』を依頼したことはなく、『電話かけ大会』や『信者によるボランティア支援』が行なわれたか否かも承知しておりません。

 また、令和4年8月31日付けで自民党において旧統一教会及びその関連団体と一切関係を持たないとの基本方針を決定しているとおり、現在、旧統一教会及びその関連団体とは一切関係を持っておりません」

 佐藤議員は“TM文書”の記述の一部を認めた形だ。石井氏が指摘する。

「この集会は『奈良教会』で行われていることに注意が必要です。公民館などの場所で行われたイベントであれば、議員が統一教会の主催だとわからずに参加する可能性はあるでしょうし、自民党議員はよくその“言い訳”を利用して教会との関係を否定していました。

 しかし、まさに教会で行われている佐藤氏のための応援集会に、妻を代理に立てて参加し、『選挙におけるボランティア支援』があったかどうか知らないということは、果たしてどうなのでしょうか」

 佐藤議員の回答は、“TM文書”の記述を裏付ける内容ともいえる——後編記事では、旧統一教会が回答したこの記述に関する説明と、石井氏が指摘するTM文書の「さらなる展開の可能性」について報じる。

(後編につづく)

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