年末年始はゆっくり過ごしたようだ(本人提供)
イスラム教とキリスト教が混在するモスク「アヤソフィア」
トルコ、イスタンブールは、ビザンツ帝国、オスマン帝国の都として、古くからボスフォラス海峡を挟んだヨーロッパとアジアの交易の拠点として栄えてきた。東西が宗教や文化、歴史的にも混ざり合い、街全体が博物館のような場所だ。
その街の中で最も有名で、世界史の授業でも必ず出てくるのがアヤソフィアだ。アヤソフィアはビザンツ帝国時代の537年にキリスト教の聖堂として建てられたが、1453年オスマン帝国の征服によりモスク化され、トルコ共和国建国後の1935年には世俗的な博物館となった。その後2020年に再びモスクになり、85年ぶりに宗教施設に戻るという数奇な歴史を持つ建物だ。
アヤソフィアの大聖堂に入ると、まず中央のドームが作り出す雰囲気に圧倒された。天井にはイスラム教の聖典、コーランの抜粋がアラビア語で描かれている。このドームには小さな窓がいくつもあるため、そこから日の光が差し込み、金色のモザイク画に反射し、細かい光の粒で満ちた神々しい空間だった。
ドームの壁には、アッラーをはじめ、預言者ムハンマドや4人のカリフの名前が書かれた8つの大きな円盤が飾られている。元はキリスト教の大聖堂で、それをモスクにしているから、メッカの方向を示すミフラーブが若干ずれていたり、アラベスク模様で彩られている壁の中に、ところどころキリスト教の壁画が残っていたり、それが白い布で覆われていたり。
情報量が多すぎる!と思うくらい、イスラム教もキリスト教も混在する、なんだか異質な場所。アヤソフィアの中だけは、空気の重みが違うように感じた。外は車のクラクションが常にプープーなっていて騒がしいのに、アヤソフィアの中は静寂に包まれ、時の流れが違った。他に類を見ない宗教施設だった。
振り返ってみると、イスタンブールの街全体が、アヤソフィアのように“混在”していた。街中にはモスクがありとあらゆる場所に建ち並ぶ一方、キリスト教の教会もある。雑貨や食器、絨毯などもアラベスク模様が多いが、時々日本や中華っぽいニュアンスのものもあるし、ヨーロッパの文化を受け継ぐものもある。イスタンブールは黒海と地中海、ヨーロッパとアジアをつなぎ、どちらかが淘汰されるのではなく、混ざり合う街だった。
