台湾総統を拘束し、政権を転覆させる

 台湾の林中斌・元国防部副部長は昨年12月に開催された『2026年世界情勢フォーラム』で「トランプと習近平は両岸(中台)平和統一に関して合意する」と指摘した(シンガポール最大部数の中国語紙『聯合早報』報道)。

「平和統一」といっても中国が台湾での投票結果に基づいて民主的に領有するわけではない。

 元朝日新聞編集委員(外交・米中関係担当)で『台湾有事と日本の危機 習近平の「新型統一戦争」シナリオ』などの著書がある峯村健司・キヤノングローバル戦略研究所上席研究員兼中国研究センター長の分析だ。

「中国は台湾への露骨な軍事侵攻をする可能性は低い。海警局の船で台湾の物流を遮断。そのうえでSNS上の世論工作をして頼清徳政権の支持率を落としたうえで、最後は米国がマドゥロ大統領にやったように頼総統を拘束して政権を転覆させるシナリオを内部で検討している。

 そのために中国側は反国家分裂法で頼総統と蕭美琴・副総統を『台湾独立分子』であるとして違法性を強調した。2人を拘束する法的根拠もすでに用意しているわけです」

 米国の中国への譲歩も始まっていると峯村氏は語る。

「昨年11月24日の米中電話会談では、習主席が『台湾の中国への復帰は戦後国際秩序の重要な構成部分だ』と言ったことに対して、トランプ大統領は『米国は中国にとっての台湾問題の重要性を理解している』と述べた。これは中国の主張を事実上認めており、この時点で米国による妥協は始まっていた。

 今年は米中首脳会談が4回行なわれる可能性がある。習主席は『平和的統一なら米国は手を出さない』という言質をトランプ氏から引き出してから、シナリオ実行のタイミングをうかがうでしょう」

 まさに「米国が台湾を見捨てる日」が近づいているのである。

第2回に続く

※週刊ポスト2026年2月6・13日号

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