火葬場の運営に介入する姿勢を明らかにした小池都知事(時事通信フォト)
金も出すが口も出す 準公営化は必要
しかし、2008年に遺体を棺に納める納棺師を主役とした映画『おくりびと』が世界的な評価を集め、日本人の意識に変化が生じるようになると、東京博善は資本市場の荒波に襲われる。
「きっかけは、当時の廣済堂に米投資ファンドがTOB(株式公開買い付け)を仕掛けたことでした。そこに参戦したのが村上ファンドの村上世彰氏や爆買いの仕掛け人で中国人実業家の羅怡文氏、麻生グループの麻生巌氏ら。熾烈な争奪戦を制したのは羅氏でした。
後に、彼は私の取材に対し、『買ったのは経済合理性によるものです。単純に株価が安く、いい投資先でした』と語っています。
羅氏からすれば、昨今の火葬料金の値上げも当然の帰結なのでしょう。燃料費が高騰しているのだから、値上げは必要だというシンプルな発想なのです」(伊藤氏)
中国人実業家のもとで合理化の道を邁進する東京博善。しかし、小池都知事の号令で、その立ち位置にも変化が生じそうだ。
「東京都の関与が進めば、当然、料金値下げへの圧力も強まるでしょう」(前出・都政担当記者)
前出の関口都議は、火葬場に対し、東京都の支援と管理が必要だと主張する。
「これからは『金も出すが、口も出す』という姿勢が大切。火葬炉の修繕に補助金を出したりする一方、値上げを認可制にするなど、料金のチェック機能を高める条例を作って、火葬場の“準公営化”を進める必要があると考えています。また、公営の火葬場の新設も今後の課題でしょう」
現在、日本人の99.9%が火葬され、骨となる。火葬場が公共インフラの1つであることは言を俟たないだろう。
明治の政商にはじまり、多くの男たちの手によって変遷を繰り返してきた火葬ビジネスは、いままさに新たな変革の時を迎えている。
※女性セブン2026年2月12日号
