喪主を務めた落合陽一氏
メディアアーティストとして活躍するほか、筑波大学などで教育に携わり、大阪・関西万博ではパビリオンのプロデューサーも務めた陽一氏。たしかに父とは違うジャンルで世間の注目を浴び続けている。そんな中でも、納棺式を終えたいま思う父の薫陶とは?
「たいした命ではない、燃え尽きるまでやれ」
「みんなに好かれるようなやつになるよりは、好きなやつ・嫌いなやつが半々ぐらいに分かれたほうがいいぞ、っていつもいっていました。
SNSのフォロワー数が人間の価値みたいに捉えられているいま、人はみんな世界中から好かれようとしているんですけど、私としては、議論が湧かない人っていうのは面白くないと思うんですよね。個人的には、違う主張をする人がたくさんいるほうが世の中は賑やかだなと思っていて。
だから、批判されることも恐れず自分の意見をいうことは重要だ、という薫陶は受けたと思います。
あと、うちの親父がよくいってたのは『たいした命じゃないんだから燃え尽きるまでやれ』ってこと。『たいした命じゃない』っていったって人間死ぬとおおごとなので命は大切にしてほしいですが。それを考えると父は84歳まで生きて戦ったんで、燃え尽きるまでやったから偉いなと思います」
〈たいした命ではない、燃え尽きるまでやれ〉〈牙を磨け、群れるな〉〈孤独を恐れるな〉──そんなメッセージの数々が、当時多くの若者を勇気づけ、背中を押したのだ。
(後編につづく)
写真=太田真三
