佐川宣寿一覧/2ページ
【佐川宣寿】に関するニュースを集めたページです。

安倍vs麻生vs菅 次の財務次官人事めぐりパワーゲーム展開
終盤国会は安倍政権内で“疑惑の主人公”がシーソーゲームのように入れ替わる展開だ。〈「そういう新しい獣医大学の考えはいいね。」〉──安倍晋三首相が「腹心の友」と呼ぶ加計孝太郎・加計学園理事長と面会(2015年2月25日)した際の言葉が記述された「愛媛県文書」が公開されると、世論の批判の矛先は明らかに変わった。 それまでは森友文書の改竄問題と相次ぐ失言で麻生太郎・副総理兼財務相が集中砲火を浴びていたが、一転、“やっぱりそうだったのか”と国民の疑惑の目は安倍首相の加計問題に向けられた。首相は否定に躍起になった。「指摘の日に理事長と会ったことはない。念のため記録を調べたが確認できなかった。獣医学部新設について加計氏から話をされたこともないし、私から話をしたこともない」 女房役の菅義偉・官房長官も「首相が説明した通りだ」とかばったものの、安倍・加計会談が行なわれたか否かの証拠となる首相官邸への来訪者を記録した入邸記録については「業務終了後速やかに廃棄される取り扱いになっている」と苦しい言い訳を繰り出した。 都合の悪い記録をよく捨ててしまう政権であるが、その説明は結果的に「会っていない根拠となる記録の存在」の信憑性という、新たな「安倍疑惑」まで招いてしまった。 そんな大慌ての2人の様子をみてほくそ笑んでいるのが、バッシングを浴びていた麻生氏だ。安倍首相の「加計問題」に注目が集まれば、財務省が舞台の「森友文書改竄問題」が霞み、失言続きの麻生氏への批判も薄まる。“加計は俺の友達じゃねーからな”というわけだ。 だが、それも束の間、財務省が「廃棄した」と説明してきた森友との交渉記録の存在が発覚し、国会に提出されると、再び麻生氏が批判の矢面に立たされた。それをかわすためなのか、麻生周辺からはこんな声もあがっている。「入邸記録を確認できなかったなんて、菅さんはあんなこと言って本当に大丈夫かね」 財務省は“首相をかばって証拠を隠してもバレたら致命傷になる”ことを思い知らされた。「次に批判が向かうのは菅だ」というニュアンスが感じられる。 本来なら、結束して批判の火消しにあたらなければならない安倍首相、麻生氏、菅氏の3人が、互いに団扇を持って“批判の火の手はあっちに行け”と煽り合いを始めている光景である。 それには理由がある。「最強の官庁」と呼ばれる財務省の次期次官人事を巡るパワーゲームだ。現在、財務省では改竄問題で佐川宣寿・国税庁長官が辞任したのに続いて福田淳一・事務次官もセクハラ問題で辞任。国会会期中にトップ2人が1か月以上にわたって空席という異常事態が続いている。◆霞が関を揺さぶる報道の情報源は誰だ「後任は今国会中に決める」 任命権者である麻生氏はそう語っているが、霞が関の幹部人事は大臣からあがってきた人事案を官邸の「内閣人事局」でチェックする仕組みになっており、首相や官房長官が「ノー」を出せばひっくり返される。その人事が3人の綱引きで調整がついていないのだ。 そこに政界、霞が関を揺さぶる報道が出た。〈傷だらけの財務省 次官誰に〉 産経新聞が5月21日付朝刊トップで報じた署名記事で、次期次官の本命とみられていた岡本薫明・主計局長の昇格が見送られ、代わりに国際金融の責任者である浅川雅嗣・財務官、もしくは森信親・金融庁長官の起用が浮上している──という内容だった。 浅川氏は財務官3年目、「金融行政のドン」と呼ばれる森氏も長官在任3年の実力者で、どちらが次官に就任しても辞任した福田氏より入省年次が上になる。「年次の逆行はさせない」という霞が関全体の人事の鉄則を覆すことになる。 予期せぬ人事構想に政界も各省庁の中枢幹部たちも「情報源は誰だ」と確認に走っている。経産省幹部が語る。「浅川財務官は麻生さんの“懐刀”として知られる人物。麻生内閣の総理秘書官を務め、麻生さんが第2次安倍内閣で副総理兼財務相に返り咲くと、国際局次長を兼務したまま副総理秘書官に起用されたほど信頼が厚い。“浅川次官構想”は間違いなく麻生人事だろう」 麻生氏は文書改竄問題で近く省内処分を行なうが、次期次官の本命の岡本氏は改竄が行なわれた当時に文書管理責任者の官房長だったため処分は免れないと見られている。麻生氏としては処分した本人を次官に昇格させるわけにはいかない。「そこで腹心の浅川氏をワンポイントで次官に起用し、ほとぼりがさめた1年後の人事で本命の岡本主計局長を次官に据えるレールを敷く。この記事はそのための地ならし、情報源は麻生周辺だと見ている」(同前) この麻生人事が実現すれば、麻生氏は同省の「守護神」として影響力をふるうことができる。※週刊ポスト2018年6月8日号
2018.05.28 07:00
週刊ポスト

安倍語録が危険な理由は役人に二重三重の嘘を重ねさせる点
森友・加計問題は収束の気配を見せず、自信を持っていた外交でも“蚊帳の外”──安倍晋三首相が隘路に嵌まり込んだ原因を辿っていくと、首相自身の「言葉」に行き着く。訂正すれば政権が吹っ飛ぶようなことを簡単に言い切ってしまう。総理大臣の言葉の「耐えられない軽さ」によって、失われた国益は、あまりに大きい。 例えば、森友問題をめぐる有名な次の言葉には、自分の行為の正当性を強調する副詞が何重にも重ねられている。「私も妻も『一切』、この認可にも国有地払い下げにも関係ないわけでありまして、私や妻が関係していたということになればこれは『まさに』私は『間違いなく』総理大臣も国会議員も辞めるということは『はっきりと』申し上げておきたい」(2017年2月17日、衆院予算委員会)『一切』『まさに』などを省けば明瞭な日本語になっているのだが、この強調が大きな二次被害をもたらした。佐川宣寿・前国税庁長官は国有地売却の「交渉記録は破棄した」とウソをつき、近畿財務局の役人たちは「首相夫人」の関与が記述された公文書改竄にまで手を染めた。「総理大臣が発した言葉」につじつまを合わせるために、公文書という「国家の歴史」が書き換えられたといっても大袈裟ではない。「腹心の友」と呼ぶ加計孝太郎氏が理事長を務める加計学園への獣医学部認可問題でも、同じことを繰り返した。「(学園理事長が)私の友人だから認めてくれ、などという訳のわからない意向がまかり通る余地など『まったく』ありません。審議に携わった民間議員のみなさんもプロセスに『一点の曇りもない』と『断言』されています」(2017年6月24日、神戸「正論」懇話会)「一点の曇りもない」とは、八田達夫・国家戦略特区WG座長の発言だが、それが“総意”だとしても“みなさんが断言”まで表現を強めるのは、不安の裏返しなのだろうか。加計氏についてはこうも語っている。「彼が私の地位や立場を利用して、なにかを成し遂げようとしたことは『ただの一度も』ない。獣医学部新設について働きかけや依頼は『全く』なかったことをまず『明確に』申し上げたい」(2017年7月24日、衆院予算委員会) 首相の言葉は、いつも100%正しいか、ゼロかで解釈の余地がない。この発言を撤回するとなれば、「間違いなく」総理大臣も国会議員も辞めなければならなくなる。 撤回できないから、首相や加計氏とゴルフやバーベキューを楽しんだ柳瀬唯夫・元首相秘書官は、首相発言直後の国会で「記憶にない」を7回も繰り返し、その後も1年近くにわたって加計学園側との面会の“記憶”を失ったふりをしなければならなかった。 行政を巻き込んで役人に二重三重のウソを重ねさせることこそ、安倍語録の最も危険な部分といっていい。※週刊ポスト2018年6月1日号
2018.05.23 16:00
週刊ポスト

安倍首相の“断言癖” 大平正芳氏「アーウー」の方がマシ?
歴代の首相には、ユニークな言語表現の持ち主が少なくない。「角栄節」といわれ、早口ながらわかりやすい語り口で庶民に政治を伝えた田中角栄氏、その盟友の大平正芳氏は国会答弁で「あー」「うー」と前置きして語ることから「アーウー宰相」の異名を取ったが、角栄氏は「アーとウーを省けば見事な文語文になっている」と評した。 対照的に、小泉純一郎氏は「自民党をぶっ壊す」など要点だけのワンフレーズポリティクスで世論を動かした。歴代首相を取材してきた政治ジャーナリストの野上忠興氏が語る。「往年の総理大臣は、自分が不用意な発言をすれば政界や行政、経済にどれほど大きな影響を及ぼすかをわかっていた。だから言い回しには慎重で、思いきった発言をする場合も効果と影響を十二分に計算したうえで語った」 しかし、安倍晋三首相が自分の発言が及ぼす影響をどこまで考えているかは疑問だ。モリカケ問題では断言癖で国家のあり方までねじ曲げてしまった。 勢いに乗っている時の安倍首相は“俺は何でもできる”と歴代政権の憲法解釈を変更し、「最高の責任者は私だ」などと述べ、国民には実行困難な目標をたやすく実現してみせると約束する。そのとき多用するのが、「最高」「必ず」「一切」「全員」といった強調表現だ。 森友問題をめぐる有名な次の言葉には、自分の行為の正当性を強調する副詞が何重にも重ねられている。「私も妻も『一切』、この認可にも国有地払い下げにも関係ないわけでありまして、私や妻が関係していたということになればこれは『まさに』私は『間違いなく』総理大臣も国会議員も辞めるということは『はっきりと』申し上げておきたい」(2017年2月17日、衆院予算委員会)『一切』『まさに』などを省けば明瞭な日本語になっているのだが、この強調が大きな二次被害をもたらした。 佐川宣寿・前国税庁長官は国有地売却の「交渉記録は破棄した」とウソをつき、近畿財務局の役人たちは「首相夫人」の関与が記述された公文書改竄にまで手を染めた。「総理大臣が発した言葉」につじつまを合わせるために、公文書という「国家の歴史」が書き換えられたといっても大袈裟ではない。※週刊ポスト2018年6月1日号
2018.05.22 16:00
週刊ポスト

財務省「パワハラ恐竜番付」最新版 相次ぐ辞任で新横綱は?
東大卒が当たり前の霞が関官僚でも「エリートの中のエリート」といわれる財務官僚はさすがに多士済々で型破りな人材には事欠かない。「おっぱい触っていい?」の福田淳一・前事務次官が省内の“セクハラ横綱”なら、国会の証人喚問で野党の追及に50回も「刑事訴追の恐れがありますので」と証言を拒否する厚顔ぶりを発揮した佐川宣寿・前国税庁長官は中堅官僚時代から“パワハラ大魔王”の1人として知られていた。 同省では、若手官僚たちが睨まれたら恐い上司をひそかにランキングした“パワハラ番付”を作って後輩に申し送る伝統がある。名づけて「恐竜番付」と言われる。 部下からすると、同じパワハラであっても、ポストが上で権限が大きい上司からやられるほどダメージは大きい。 福田氏、佐川氏の両巨頭が引責辞任したといっても、ホッと安心するわけにはいかない。最新の番付では、もっと“怖ろしい恐竜”が出世するとみられているからだ。 名実ともに東西の横綱級にランキングされているのが、“次の次の次官”と言われる可部哲生・総括審議官と佐川氏の後任として国税庁長官への就任が有力視されている藤井健志・国税庁次長だ。いずれも昭和60年入省の同期である。 藤井氏はすでに前回(2013年)の番付で、東の横綱に君臨。それから5年もトップを維持し続ける“絶対王者”だという。 そんな彼の異名は、「インスタントラーメンを待てない男」。主計局次長時代のエピソードから来ている。「部下が予算の説明に行ったとき、藤井さんは内容が不満で1時間も怒鳴りまくった。その部下が自室に戻って気を取り直そうとタバコを吸うために3分間だけ席を外した時にたまたま藤井さんから電話が入ったのが運の尽き。『何で席にいないんだ』と呼びつけられてさらに30分間怒鳴られた」(若手官僚) 一方の可部氏は、前回の東の「張出横綱」から西の「正横綱」へと昇進したと言われる。その“四股名”は苗字を引っ掛けた「壁打ち」。財務省記者クラブのベテラン記者が言う。「我々が取材に行って『この××はどうなんですか?』と質問すると、『××はどうなんだろうな?』と延々と質問をオウム返しする。部下にも同じで、説明が気に入らないと何度も跳ね返される。『今日は壁打ち1時間』と憔悴しきった若手を何人も見ました」 中堅時代から「恐竜番付」の常連だった彼らが、次官と国税庁長官という省のトップに君臨すれば、省内にさらなるパワハラ旋風が吹き荒れると怖れられている。※週刊ポスト2018年5月18日号
2018.05.07 07:00
週刊ポスト

「自民党120日抗争」勃発 党内は麻生氏辞任の時期に注目
「麻生さん、世論調査を見ましたか?」──佐川宣寿・前国税庁長官の証人喚問後の4月1日、安倍晋三首相は私邸から麻生太郎・財務相に電話を入れた。共同通信の世論調査で支持率がわずかに上向いたからだ。「よっぽど嬉しかったんだろうな」 麻生氏が安倍首相の心情を察して2人きりの電話の内容を周辺に漏らすと、朝日新聞がそれを報じた。麻生氏にそのつもりはなくても、官邸内では、「副総理が朝日に内通している」と疑心暗鬼が広がった。こうなると、末期的である。 麻生氏がここまで政権を支えてきたのは盟友としての“甘い友情”からだけではない。政治ジャーナリストの藤本順一氏が解説する。「麻生さんとしては、総裁選で安倍総理の3選が難しい場合でも、2人が組んでいれば第二派閥の麻生派と最大派閥の細田派の数で後継総裁を決めることができるという戦略だった。 そのためには今国会の会期末まではなんとしても政権を持たせて、内閣改造人事で他派閥を味方につけなければならない。だから二階(俊博)幹事長と会談するなどして根回ししてきた。しかし麻生さんが辞任するとなれば、もう政権は持たない。総裁選のシナリオの練り直しを迫られるのではないか」 セクハラ疑惑の福田淳一・前財務事務次官の更迭は安倍首相にとって、麻生氏という虎を野に放つことにつながる。 福田氏に引導を渡したのは二階氏と井上義久・公明党幹事長の「ケジメをつけろ」の辞任勧告であり、麻生氏もそれを受け入れた。二階氏が福田更迭を強く迫ったのは、安倍―麻生連合を潰して総裁選の主導権を与えないようにする政治的狙いがあったとみれば党内で権力闘争が始まっていることがよくわかる。政治評論家の小林吉弥氏が語る。「二階氏は幹事長として政権ではなく党を守る立場、来年の統一地方選と参院選に負けるわけにはいかない。 公明党も安倍政権と心中する気は無い。日米首脳会談後の内閣支持率を見て、“安倍では来年の選挙を戦えない”と、二階氏が読めば公明党と組んで安倍降ろしに動き出す可能性は十分あります。その前に福田更迭で麻生氏と安倍首相の盟友関係に亀裂を与えるという布石を打ったのではないか」 自民党内では、安倍首相にかわって政権スキャンダルの“汚れ役”を引き受け、批判の盾となってきた麻生氏の辞任が、政権崩壊への「最後の引き金」となることはみんなわかっている。 麻生氏自身、盟友関係が終われば首相に遠慮することなく、総裁選でフリーハンドを持つことができる。だからこそ、党内は麻生辞任のタイミングを注目している。 5月の大型連休が終われば国会会期は残り1か月あまりだが、自民党では水面下で安倍降ろしに向けた動きが進んでいる。秋の総裁選に向けて各派が新たな覇権を奪い合う「自民党120日抗争」がいよいよ始まる。※週刊ポスト2018年5月4・11日号
2018.04.25 07:00
週刊ポスト

霞が関が恥部を晒して政権に自爆テロ 省庁再編巡り全面戦争
加計学園の獣医学部認可問題で官邸中枢に火が回った。〈本件は、首相案件〉という、柳瀬唯夫・元首相秘書官(現在は経済産業審議官)の発言を記録した愛媛県庁職員のメモの存在が明らかになったからだ。 官邸の安倍晋三首相最側近の1人は、公文書問題の噴出はスクープした朝日新聞と手を組んだ霞が関の“謀叛”の動きだと感じ取っている。「財務省は文書改竄問題で総崩れのように見えるが、責任を負わされたのは佐川宣寿・前国税庁長官だけ。加計メモでは柳瀬審議官という、いずれも総理が目をかけて出世させた2人の官僚が“スケープゴート”にされた。財務省など霞が関の反対勢力はたとえ役所が傷を負っても、政権を潰そうと一斉に自作自演の自爆テロを仕掛けてきたんじゃないか」(経産省出身の官邸スタッフ) 反乱のきっかけは、官邸から浮上した中央省庁の再々編構想だ。甘利明・自民党行革推進本部長は、3月下旬に各府省に文書を送り、橋本行革の点検と検証のためのヒアリングを行なうことを通告。霞が関に激震が走った。通告が出たのが佐川喚問の直前だったことから、文書改竄問題で追い詰められた安倍官邸が“懲罰”として「霞が関大粛清」に乗り出すと受け止められた。 自民党内では、「秋の総裁選の前に“新たな省庁再編案”の叩き台をまとめることになるだろう」(自民党幹部)というスケジュールが検討されている。“お家取り潰し”や“解体”の候補には財務省をはじめ、安倍政権の看板政策・働き方改革のデータ改竄を行なった厚労省、外務省、総務省、そして内閣府とほとんどの重要官庁が標的になる。◆全面戦争が始まる「官僚を黙らせる」ために新・省庁再編にゴーサインを出した安倍首相だが、官僚に責任を押し付ける姿勢が霞が関全体の怒りを買った。分割対象に名前が挙げられている経済官庁の局長級幹部が語る。「官邸を裏で牛耳る経産官僚が、この機に省庁再編の主導権を握って総理に行革を吹き込み、権限拡大を図ろうとしているのは明らか。他省はそう見ている。そんな動機で省庁再編をやるというなら、官僚は官邸を信用して仕事ができない。もう総理への忖度は無用になった。財務省を先頭に、間違いなく内閣を潰しにかかるでしょう」 事実、各省が自らの恥部を晒してでも政権にダメージを与える“自爆テロ”を激化させたのは省庁再編の方針が打ち出されてからだ。 防衛省は1年間もPKO活動の日報を隠していた問題をいきなり公表し、改竄問題に揺れる財務省は森友学園に売却した小学校用地のゴミ問題について理財局が「口裏合わせ」を要求していたと国会で認めた。 霞が関と安倍官邸が全面戦争に突入し、官邸に火の手が上がっていった。細田派議員は、「政権の致命傷になる」と心配する。「省庁再編には大変な労力がかかる。憲法改正を優先する総理はもともと興味がなかった。ところが、党内の改憲論議が思うように進まず、政策的に追い詰められて手を出してしまった。財務省解体など再編に最も意欲的なのは菅義偉・官房長官、そして河野太郎・外相や厚労省分割案をまとめている小泉進次郎氏など首相と距離を置く顔ぶれで、野党にも行革賛成派が多い。 そうした“抵抗勢力”を懐柔する手段にはなり得るが、それは諸刃の剣でもある。菅さんも再編は次の政権の仕事だと考えているから、論議を始めれば与野党の反安倍勢力が手を組んで首相に過激な改革を要求し、官邸と霞が関の対立を煽ってくる。安倍政権は焼き尽くされてしまう」 公文書スキャンダルという燃料が次々とくべられる中、政権は火だるまになりつつある。※週刊ポスト2018年4月27日号
2018.04.18 07:00
週刊ポスト

朝日新聞公文書スクープ 背景に省庁再々編への霞が関謀反
「嘘つきと言う以上は明確に私が嘘をついている“証拠”を示していただかなければいけない」──。 加計問題を国会で追及された安倍晋三首相はそう色をなして反論したが、苛立ちの理由はまさしく、次々と“なかったはずの新証拠”が出てきているところにありそうだ。 加計学園の獣医学部認可問題で官邸中枢に火が回った。〈本件は、首相案件〉という、柳瀬唯夫・元首相秘書官(現在は経済産業審議官)の発言を記録した愛媛県庁職員のメモの存在が明らかになったからだ。 多くの疑惑を乗り切ってきた官邸サイドはなおも強気な言い方をするが、安倍首相にとって、一連の公文書疑惑の展開は今までとは違う。一つの疑惑を逃げ切ったと思うと、官僚が忖度して処分したはずの不都合な記録がどこからか漏れ出し、それを首相の「天敵」である朝日新聞がスクープする。いつまで経っても「底なし沼」のように疑惑から抜け出すことができない。◆霞が関「大粛清計画」「どうして朝日がこんなに都合良くスクープを飛ばせるんだ。“後ろ”から鉄砲を撃たれているとしか思えない」 官邸の安倍最側近の1人は、公文書問題の噴出は朝日と手を組んだ霞が関の“謀叛”の動きだと感じ取っている。「財務省は文書改竄問題で総崩れのように見えるが、責任を負わされたのは佐川宣寿・前国税庁長官だけ。加計メモでは柳瀬審議官という、いずれも総理が目をかけて出世させた2人の官僚が“スケープゴート”にされた。財務省など霞が関の反対勢力はたとえ役所が傷を負っても、政権を潰そうと一斉に自作自演の自爆テロを仕掛けてきたんじゃないか。上層部はそんな疑心暗鬼に陥っている」(経産省出身の官邸スタッフ) 反乱のきっかけは、官邸から浮上した中央省庁の再々編構想だ。 安倍首相の“盟友”として知られる甘利明・自民党行革推進本部長は、3月下旬に各府省に文書を送り、橋本行革の点検と検証のためのヒアリングを行なうことを通告。霞が関に激震が走った。橋本政権下で進められた中央省庁再編(実現は2001年)では、折からの大蔵官官接待汚職で霞が関に大ナタが振るわれ、それまでの1府22省庁を1府12省庁に再編した。事務次官10人のクビを切ったのだ。 通告が出たのが佐川喚問の直前だったことから、文書改竄問題で追い詰められた安倍官邸が“懲罰”として「霞が関大粛清」に乗り出すと受け止められた。 自民党内では、5月の連休後から議論を開始し、「秋の総裁選の前に“新たな省庁再編案”の叩き台をまとめることになるだろう」(自民党幹部)というスケジュールが検討されている。“お家取り潰し”や“解体”の候補には財務省をはじめ、安倍政権の看板政策・働き方改革のデータ改竄を行なった厚労省、外務省、総務省、そして内閣府とほとんどの重要官庁が標的になる。 安倍首相にとって“見せしめ”の一番手は財務省だ。同省の権力の“源”となっている国税庁を分離し、社会保険料を集める日本年金機構(旧社会保険庁)を統合して歳入庁を設置する。強力な税務調査権を握る徴税部門を失えば、同省は政治家に抵抗できなくなる。 第二の消えた年金問題(※注)や、労働時間調査のデータ改竄で政権の足を引っ張る厚労省は「社会保障省」「国民生活省」「子ども・子育て省」などに分割、“独立王国”といわれた外務省は経産省の通商・貿易部門と統合し、総務省からは電波・放送行政を分離して経産省に吸収させ、放送メディアとネットメディアに対する官邸の睨みを強化する──という構想が練られている。【※注/今年2月に支給される年金で、約130万人が「過少支給」となっていた問題。記入項目が大幅に増えた申告書の手続きミス、委託業者のデータ入力ミスが重なった。3月20日になって日本年金機構が会見で明らかにした】 元財務官僚の小黒一正・法政大学教授が指摘する。「国民目線に立てば、本来、行政改革は不断に取り組むべき課題ですが、官僚不祥事をきっかけとして、政権がマイナスイメージを払拭するためにやるのは本末転倒になる。そもそも今回の官僚不祥事の背景には、官僚の人事権を握った官邸が、首相の指示に従った者を出世させ、そうでない者は飛ばすなど、恣意的な人事を行なっている印象を与えてしまったことが遠因になっている。透明性を欠いたまま、役所に対するペナルティで省庁再編を掲げても大義がない」※週刊ポスト2018年4月27日号
2018.04.17 07:00
週刊ポスト

加計「首相案件」発言 愛媛県庁で録音データ探しの内部証言
役所側が「記録は廃棄した」と説明していた“ないはずの記録”が次々に湧いて出てくる。森友学園問題での財務省の決裁文書改竄や口裏合わせの指示メールから、防衛省の日報隠蔽へと広がったかと思うと、ついに加計学園の獣医学部認可問題で官邸中枢に火が回った。〈本件は、首相案件〉という、柳瀬唯夫・元首相秘書官(現在は経済産業審議官)の発言を記録した愛媛県庁職員のメモの存在が明らかになったからだ。 朝日新聞がスクープした“加計メモ”には生々しい記述がある。2015年4月2日、獣医学部新設の陳情のために首相官邸を訪ねた愛媛県職員に同行した加計学園事務局長は、当時の柳瀬秘書官にこんな話を打ち明けてアドバイスを求めていた。〈加計学園から、「先日安倍総理と同学園理事長が会食した際に、『下村文科大臣が加計学園は課題への回答もなくけしからんといっている』との発言があった」とのことであり、その対応策について意見を求めた〉(カギ括弧は編集部による補足) 安倍晋三首相は「加計氏、下村氏との3人で食事をしたことがない」とメモの内容を否定してみせたが、文面からは、首相が「腹心の友」である加計孝太郎氏(加計学園理事長)と会食した際、“(獣医学部設立の認可権を持つ)下村大臣がへそを曲げているようだから、手を打った方がいいぞ”と耳打ちした光景が目に浮かぶ。 その経緯を加計理事長から聞かされていたからこそ、事務局長はわざわざ県庁職員の陳情に同行し、柳瀬秘書官に対応策の知恵を借りたのだろう。メモには柳瀬氏の答えも記述されている。〈今後、策定する国家戦略特区の提案書と併せて課題への取組状況を整理して、文科省に説明するのがよいとの助言があった〉 加計学園側は助言通りに動き、今年4月、今治市に悲願の獣医学部を開学した。この内容が事実とすれば、「(加計氏からは)獣医学部を創りたいといった話は一切ございません」と首相が国民に説明してきた筋立てが全部違ってくる。 首相と腹心の友との間で事前に相談がなされ、首相秘書官は「首相案件」として加計学園側に獣医学部認可の“抜け道”を指南し、官邸ぐるみで便宜を図った疑いが濃厚になる。加計メモは愛媛県の職員が関係省庁の担当者に「陳情の経緯」を報告するために渡していたとされ、朝日の情報源は愛媛県ではなく、霞が関にあるという見方が有力だ。 現在、経産省ナンバー2の経済産業審議官に出世している柳瀬氏は面会そのものを否定しているが、それに対して中村時広・愛媛県知事は記者会見で職員メモの存在を認めたうえで、「職員が文書をいじる必然性は全くない。(職員を)全面的に信用している。国が正直に言ったらいいのではないか」と突きつけた。◆「録ってないほうがおかしい」 野党は柳瀬氏の証人喚問を要求し、佐川宣寿・前国税庁長官への喚問の次は「柳瀬喚問」が後半国会の焦点になってきた。「証人喚問が実施されても、柳瀬さんは『記憶にありません』と言い張るだろう。本人が認めなければ、メモだけでは官邸がかかわった証拠にならない。喚問はガス抜きに終わる」(首相側近) 多くの疑惑を乗り切ってきた官邸サイドはなおも強気な言い方をするが、安倍首相にとって、一連の公文書疑惑の展開は今までとは違う。一つの疑惑を逃げ切ったと思うと、官僚が忖度して処分したはずの不都合な記録がどこからか漏れ出し、それを首相の「天敵」である朝日新聞がスクープする。いつまで経っても「底なし沼」のように疑惑から抜け出すことができない。 だとすれば、今度こそ、“あるはずがない”と思われている決定的な証拠が表に出て首相を直撃するかもしれない。官邸が怖れているのは、柳瀬発言の録音データの公開である。首相の出身派閥・細田派の中堅議員は疑心暗鬼になっている。「中村知事は安倍総理とは衆院の当選同期。元日本新党代議士だが、県議時代から清和会(細田派)との関係が深かった。中央政界をよく知る中村知事が会見で思い切った言い方をしたのは、録音データなどよほどの証拠を握っているからではないかと見て、官邸は神経を尖らせている」 実際に、柳瀬発言は録音されていた可能性がある。本誌・週刊ポストは愛媛県庁でひそかに「録音データ」探しが行なわれているという内部証言を得た。「知事が職員を信用するとはっきり言った以上、関係部局は官邸から抗議がきた場合でも、メモが正確だと言えるしっかりした裏付けを持っておく必要がある。 実は、県庁職員たちが獣医学部新設の陳情に関係各省や国会議員を回っていた当時、重要な相手と会う場合に報告書作成の正確を期すために会談内容を私的に録音していたケースがある。3年前の柳瀬秘書官との面会の際も、職員の1人が自分のiPhoneにやりとりを録音し、それをもとにメモが作成された。その後、職員が携帯を機種変更したために録音したiPhoneの本体はもう残っていないが、データはどこかに保存されているはずだと内々に調査が行なわれている」 愛媛県に録音の有無について確認したが、期限までに回答はなかった。柳瀬氏の「肉声」が暴露されれば、いくら記憶にないと言おうと、官邸の獣医学部認可への具体的関与が裏付けられ、安倍首相は絶体絶命の窮地に陥る。※週刊ポスト2018年4月27日号
2018.04.16 07:00
週刊ポスト

高須院長「反安倍かどうか」で動くことがいちばん危険
高須クリニックの高須克弥院長が世の中の様々な話題に対して、自由気ままに提言するシリーズ企画「かっちゃんに訊け!!」。今回は、昨今の「保守」と「リベラル」の対立について、お話をうかがいました。 * * *──高須院長、住民票を西尾市から移すというのは本当でしょうか?高須:そうそう。西尾市の教育委員会が、前文部科学事務次官・前川喜平さんの講演会を後援していたからね。僕の税金をそんなものに使ってほしくないから。──前川氏といえば、天下り斡旋で事務次官を辞職していますし、出会い系バーに通っていたとの報道もあったということで、教育的にいかがなものかとの声も多いですね。高須:少なくとも天下り問題は、ちゃんと国民から痛烈に批判されるべき問題だと思う。たしかに教育上よろしくないと思うね。出会い系バーについては、まあ難しいところだな。個人的には僕の税金を使った講演会のギャラで、出会い系バーに行かれるのは、嫌だよ。でも、出会い系バーに行くこと自体は、その人の自由だからね。勝手に行けばいいと思う。ただ、「貧困調査」のために行っていたというのは、さすがに信じない。仮にやましい行為がなかったとしても、それは単純に前川さんが女性と仲良くなるのが下手だっただけなんじゃいの?って思っちゃう(笑い)。 まあ、前川さんが行っていた出会い系バーってのは、そんなにいかがわしいお店ではなかったみたいだけど、だからって「貧困調査」という釈明を信じてしまうのは、完全な思考停止だ。「前川さんはシロ」という結論ありきでないと、そんなこと信じられるはずがない。──前川氏は加計学園問題で、安倍政権を厳しく批判し、「行政が捻じ曲げられた」と発言しています。高須:前川さんが政府を批判することは別に構わないと思う。でも、「リベラル」と呼ばれるような人々が天下りで官僚を辞めた前川さんを持ち上げるのは、かなりの違和感だな。「安倍政権を攻撃するためなら、どんな人でも利用するのか?」って思う。だからこそ「貧困調査」なんていう釈明も信じられるのかな(笑い)。 そういえば、文書改ざん問題で前国税庁長官の佐川宣寿さんが証人喚問に出てくる前も、佐川さんが救世主になってくれるのでは…みたいに期待していた野党議員もいたでしょ。本当に安倍批判のためなら誰だって利用しようという考えなんだろうね。 結果的に、佐川さんは何も話さなかったけど、誰がどう考えてもこうなることは分かりきっていたはず。それなのに野党は佐川さんを議院証言法違反での告発を目指すなんて言ってるんだから、ちょっと信じられないね。そんな時間の無駄使いのために、国民の税金を使わないでほしい。 どうも「リベラル」と呼ばれる皆さんは、反安倍派かそうではないのかの二元論でしかものを考えていないような気がする。どんな考えの持ち主なのか、どんな理想を抱いているのかということは関係なく、「安倍首相が嫌いかどうか」だけが基準になっているのかな? まあ、これは一部の「保守派」の人にもいえることかもしれないけどね。──つまり、単純に「安倍派」と「反安倍派」の対立構造になっているという。高須:その傾向が強い。それに、自分と違う考え方を持つ人を無条件に攻撃する人も多い。そんなものリベラルでも保守でもない。単なるわがままであり、それこそがファシズムだよ。 本来いくつかの選択肢から、自分の中の正解を自由に選べる状態が「リベラル」であって、「反安倍かどうか」という固定された基準で振り分けられたものが「リベラル」なのではないはず。そして、最良の選択ができるように、正しい知識を身につける努力も怠ってはならないとも思う。さらに、知識を身につける努力を阻むことも許されない。それこそ「反安倍派」というイデオロギーありきで、都合が悪い情報を隠蔽し、都合がいい不確かな情報ばかりを声高に叫ぶ人なんかは、もっとも「リベラル」からかけ離れた人だよ。 僕がツイッターなんかで、誰かと激しくやり合うのは、大抵この部分。間違った認識や意図的に捻じ曲げられた情報を糾すために、厳しく意見をすることはあるけど、それは「自分と思想が違う」という理由で攻撃しているのではない。自由な思想を抱く権利を剥奪することなんて、誰にもできないんだからね。 とにかく「反安倍かどうか」で動くことがいちばん危険なこと。ちゃんと自分で正しい知識を得て、それをもとに正しい判断をしないといけない。それができる人こそがリベラルだよ。 * * * 何かと「保守」と「リベラル」の対立構造で捉えられがちだが、真の「リベラル」はその構造の中にはないと説く高須院長。いま一度「リベラル」という言葉について、考え直す必要がありそうだ。【プロフィール】高須克弥(たかすかつや):1945年愛知県生まれ。医学博士。昭和大学医学部卒業、同大学院医学研究科博士課程修了。大学院在学中から海外へ(イタリアやドイツ)研修に行き、最新の美容外科技術を学ぶ。脂肪吸引手術をはじめ、世界の最新美容外科技術を日本に数多く紹介。昭和大学医学部形成外科学客員教授。医療法人社団福祉会高須病院理事長。高須クリニック院長。人脈は芸能界、財界、政界と多岐にわたり幅広い。金色有功章、紺綬褒章を受章。著書に『ブスの壁』(新潮社、西原理恵子氏との共著)、『その健康法では「早死に」する!』(扶桑社)、『筋と義理を通せば人生はうまくいく』(宝島社)、『行ったり来たり 僕の札束』(小学館)、『ダーリンは71歳・高須帝国より愛をこめて』(小学館)など。最新刊は『炎上上等』(扶桑社新書)、『かっちゃんねる Yes! 高須 降臨!』(悟空出版)。など
2018.04.07 16:00
NEWSポストセブン

携帯会社の無料牛丼キャンペーンの行列に「時は金なり…」
毎週金曜日になると、吉野家やサーティワンアイスクリームの前に行列ができるのが恒例となっている。携帯電話会社による無料クーポン配布の影響だ。経営コンサルタントの大前研一氏が、こうした無料のものに群がる消費行動について考察する。 * * * 学校法人「森友学園」への国有地売却に関する財務省の公文書改竄問題で、国会の空転が続いている。国税庁長官だった佐川宣寿氏が理財局長時代に虚偽の答弁をしたと指摘され、決裁文書の書き換え疑惑も追及されて辞任。内閣支持率が急落し、麻生太郎財務相や安倍晋三首相の進退が問われる事態に発展している。 野党は、安倍政権を退陣に追い込む構えだが、そもそも今度の「働き方改革」国会は、当初から与野党の議論があまりにもお粗末なものだった。裁量労働制に関する首相答弁の労働時間の数字が間違っていたことで、法案から裁量労働制の対象拡大が削除された上、財務省の疑惑が表面化したことで、それ以外の働き方改革の論議も宙に浮いたまま、膠着状態となっている。 確実に言えるのは、国民の生活とかけ離れた今の国会審議を見て、将来に希望を持てる人は1人もいないだろうということだ。 新刊『個人が企業を強くする』(小学館)で書いたように、日本はこの20年間、給料が上がっていない。日銀の黒田東彦総裁が5年前の就任時に目標に掲げた「2年で2%」の物価上昇も全く達成できていない。にもかかわらず、それを新聞やテレビの大半は批判するどころか、安倍首相が黒田総裁の再任を決めたことについて「大規模な金融緩和によって日本経済の回復をけん引した実績を評価した」(日本経済新聞2月10日付)、「続投を期待する声が多かった」(産経新聞同日付)などと好意的に報じている。この人事を槍玉に挙げて、国民が暴動を起こしたり、抗議デモで怒りをぶつけたりすることもない。 だが現実には、国民は給料が上がらない一方で税金や年金の負担が年々重くなり、可処分所得が減って貯金を取り崩さざるを得ない窮状に追い込まれている。このため、日本人はますます消費マインドがシュリンク(縮小)して「低欲望」になっている。話題になるのは「無料」「タダ」のキャンペーンばかりだ。 たとえば、ソフトバンクが自社のスマートフォン利用者を対象に2月と3月の毎週金曜日に「スーパーフライデー」と銘打って吉野家やサーティワンアイスクリームの無料クーポンを配信したところ、店に長蛇の列ができた。NTTドコモも25歳以下のスマホ利用者にマクドナルドやローソンなど提携企業の商品を毎月無料で提供するキャンペーン「ハピチャン」を展開して人気を集めている。また、東京急行電鉄が昨年10月に実施した無料乗り放題イベントは、通勤ラッシュ並みの混雑になったという。 だが、よく考えてみれば、ソフトバンクやNTTドコモは牛丼1杯、ハンバーガー1個を無料にしたくらいでは痛くも痒くもないわけで、両社のスマホ利用者はそれほど割高な料金を支払っているのだ。しかも、牛丼やアイスクリームをもらうために人々は貴重な時間を使って並んでいる。「時は金なり」「タダより高いものはない」ということに考えが及んでいないのである。 ふるさと納税も同様だ。この制度を利用して食材や高級品などを入手する人が年々増加し、2017年度の寄附金税額控除額は約1767億円、適用者数は約225万人に達している。 しかし、ふるさと納税が増えれば増えるほど、それはめぐりめぐって自分が住んでいる自治体の行政サービスの低下を招く。「貧すれば鈍する」で、自分の懐具合しか気にしなくなっているようだ。 かつて「1億総中流社会」と言われた日本が、今は「1億総ケチ社会」になったのだろうか? 否、これは単なるケチとは違うと思う。 ケチというのは、自分の欲望を抑え、安いものを積極的に選択することである。だが、今の日本人はそういう発想をしているわけではなく、意欲も欲望も弱まって消費行動が非常に消極的になり、できるだけお金のかからないものを選択しているだけだと思う。いわば“心のデフレ”である。※週刊ポスト2018年4月13日号
2018.04.05 16:00
週刊ポスト

麻生氏が「悪いのは昭恵だろう!」と怒鳴る声が役人に話題
森友学園問題で窮地に陥った安倍晋三首相だが、佐川宣寿・前国税庁長官が証人喚問で「官邸からの指示は一切ございませんでした」と明言したことで、“オレの疑惑は晴れた”とすっかり上機嫌になっているようだ。さらに、周辺からは一か八かの電撃解散論まで巻き起こっている。 ここで安倍政権に立ち直られると反主流派以上に困るのは、“安倍以外”の後継者選びに動き出していた麻生太郎・副総理兼財務大臣や菅義偉・官房長官、二階俊博・自民党幹事長ら政権を支える自民党の実力者たちだ。二階氏に近いベテラン議員は困惑している。「安倍夫妻が疑惑から逃げ切れるかどうかはもはやどうでもいいこと。内閣支持率がここまで下がると、来年の統一地方選と参院選に大きな影響が出るのは間違いない。そこで各派の最高幹部同士が話し合いを重ね、総理には今国会中に退陣していただくシナリオが練られてきた。二階さんは公明党との間で、“最悪の場合は内閣総辞職”という線で内々に話をつけている」 国会会期中の内閣総辞職となれば、党員投票を実施する日程上の余裕はなく、自民党両院議員総会での議員投票で後任の総裁を選ぶことになる。「その場合は敵が少ない岸田文雄・政調会長が有利だが、安倍総理の残り任期を引き継ぐから、秋に改めて党員投票の総裁選を実施することになる。そうなれば党員人気が低い岸田さんは石破(茂)氏に逆転されるかもしれない。麻生さんや菅さんをはじめ、各派の領袖はそれを計算して票読みをしていた」(同前) 自民党も公明党も国会議員たちは「次の総選挙は2020年の東京五輪の後になる」(党役員)と何の準備もしていない。 官邸の内実もとても選挙どころではない。危機管理体制が完全に崩壊状態なのだ。財務省の文書書き換えを知った時期について、安倍首相と麻生副総理と菅官房長官の説明が食い違ったのが象徴的である。 安倍首相と麻生氏が「3月11日に報告を受けた」と説明したのに対し、公明党の石井啓一・国土交通相は会見で「5日に官邸に報告した」と暴露し、菅氏も「総理も私も6日に報告を受けた」と食い違いが露呈した。 この後始末をめぐって麻生氏と菅氏が“内ゲバ”を演じたという。「書き換え問題は財務省と官邸がバラバラに対応し、官邸でも菅官房長官と今井尚哉・総理首席秘書官の意思の疎通がうまくいっていない。だから混乱が起きた。その後、調整役の菅官房長官は麻生大臣を訪ねて善後策を協議したが、麻生大臣がブチ切れて『悪いのは(安倍)昭恵だろう!』と怒鳴る声がドアの外まで聞こえてきたと役人たちの話題になっていた」(与党幹部) 与野党の誰もみんな政権末期を感じている。そこに“終わった”はずの安倍首相がやおら起き上がり、「解散だ!」と言いだせばシナリオは完全に狂ってしまう。※週刊ポスト2018年4月13日号
2018.04.04 07:00
週刊ポスト

野党の追及よりずっと厳しい大阪地検の女性特捜部長は何者か
政権支持率の大幅低下をもたらした森友学園問題をめぐり、安倍一強を揺るがしたのは野党でもメディアでもない。大阪地検特捜部である。異例の女性特捜部長を中心とした捜査チームは、異常なまでの執念と覚悟で、官邸を追い詰めている。「訴追を受ける恐れがあるので答弁を差し控えたい」 証人喚問に立った佐川宣寿・前国税庁長官はそう繰り返し、約50回にわたって証言を拒否した。 自民党内では、佐川氏が安倍晋三首相夫妻をかばい続けたことから、「これで佐川は逮捕を免れる」という見方もあるが、政権が検察捜査を意のままに操れると考えているとすれば思い上がりだろう。 佐川氏にすれば、ダンマリで逃れられる証人喚問での野党の追及は怖くない。だが、刑事訴追され、証言拒否できない検察の捜査を受けることは本気で恐れていたのだ。 公文書改竄事件で財務官僚が検察の取り調べに“全面自供”すれば捜査が政界に波及する事態もありうる。森友事件を取材してきたジャーナリスト・伊藤博敏氏が指摘する。「財務省の公文書偽造の事実がはっきりした以上、大阪地検特捜部は籠池前理事長夫妻だけを逮捕・起訴し、財務官僚は不起訴にするという“予定調和”の捜査はできなくなった。佐川氏が逮捕、起訴される可能性は十分あります。その場合、検察は、財務官僚たちが、国有地を安く払い下げたという背任を隠すために公文書の改竄を行なったという容疑を組み立てるはずです。そして『官邸の指示があった』という証言を得られれば、政治家や官邸中枢も事情聴取の対象になる」 検察の森友事件捜査は、今後、財務省から政界を視野に入れた展開になる。その指揮を取るのは“酒豪”で知られる山本真千子・大阪地検特捜部長だ。大阪市立大学出身で京都、大阪、東京の各地検を経て法務省人権擁護局総務課長から2年半前、女性初の特捜部長に抜擢された。「独身で化粧気が全くなく、おしゃれにも無頓着で、記者とも気さくに赤提灯で飲む。これまで大型事件の捜査を手がけたことはなかったが、テキパキ事件を処理するタイプで上司に信頼されている。女性検事の中では出世頭です」(大阪の司法記者) 趣味は酒とテレビドラマ。とくに木村拓哉主演の検事ドラマ『HERO』の大ファンで、DVDボックスまで買いそろえたといわれている。その山本氏が特捜部長に就任すると、国民の注目を集める森友学園事件に遭遇した。「山本特捜部長は森友学園への国有地払い下げ疑惑の報道直後から重大な関心を持って内偵捜査を進めさせ、土地売却の資料を集めた。最初から立件に向けてやる気満々だったが、政界がからむだけに捜査は難航した」(同前) 籠池夫妻の逮捕(2017年7月31日)は「国策捜査」と批判され、その後、籠池夫妻を異例の長期勾留していることも「政権の口封じに加担している」との批判を浴びている。そこに強力な助っ人が現われた。東京地検特捜部である。東京の司法記者が語る。「大阪地検特捜部は文書改竄問題で財務官僚を大阪に呼び、任意の聴取を行なっている。いずれ佐川氏の聴取も行なわれるはずだが、最高検は大型事件の経験が乏しい山本特捜部長だけでは財務省の捜査は荷が重いとみている。そこでリニア事件捜査が一段落して手が空いた東京地検特捜部と大阪の特捜部が合同で財務省本省に強制捜査に入るという情報が流れています」 東京地検の森本宏・特捜部長は特捜経験が長い文字通りエース。法務省刑事局刑事課長を経て昨年9月に特捜部長に就任すると、安倍政権肝煎りのリニアに関わる談合事件捜査と、やはり安倍人脈がからむスパコン疑惑を次々に立件し、特捜部の「最強の捜査機関」としての威信を回復させた人物だ。 最高検は強力な助っ人投入で女性特捜部長に大手柄を立てさせようとしているのである。◆最高検の“リーク”か その背後に検察の安倍政権との因縁がある。法務省・検察組織は検事総長を頂点とするピラミッドで、「検察官の独立」を守るために実質的な人事権も検事総長が握っている。他省では官僚トップの事務次官は検事総長への出世コースにあたる。 だが、安倍政権は内閣人事局の人事権を盾に検察人事に介入した。「法務・検察首脳部は2016年7月の人事でエースの林真琴・前刑事局長を事務次官に就任させる人事案を官邸に上げた。ところが、官邸は人事案を突き返し、同期の黒川弘務・官房長を次官に据えた。 黒川氏は政界捜査の際には情報を逐一官邸にあげることで官邸の覚えがめでたく、甘利明・経済再生相の斡旋利得事件の際に特捜部が甘利事務所への家宅捜索さえ行なわずに不起訴処分にしたのも、そのパイプで政治的取引があったからだと見られています」(伊藤氏) その後も、法務・検察首脳部は昨年7月、同12月に林氏を次官にする人事案を上げたが、官邸は拒否して黒川次官を留任させ、ついに林氏は次官になれないまま名古屋高検検事長に異動した。法務・検察は煮え湯を飲まされ続けたのだ。 安倍官邸の人事介入への反発は、黒川氏の存在で政界捜査に“待った”をかけられてきた特捜部など捜査の第一線に立つ検事ほど強い。 それからほどなく、朝日新聞が財務省の文書改竄問題をスクープし、安倍政権は追い詰められた。伊藤氏が言う。「朝日の情報源は改竄前と後の文書を持っていた大阪地検ではないかと見られていますが、流出を疑われるのを覚悟でやったとは考えにくい。むしろ、最高検の検察首脳部が安倍政権に痛打を与えるために出したのではないか」 オール検察の安倍政権に対する“宣戦布告”だったという見方だ。折しも佐川喚問の後、改竄の全責任を負わされた形の財務省サイドから不穏な情報が流れ出した。「文書改竄にあたって、官邸と財務省本省の間で書き換える文面の調整が行なわれていた。窓口となったのは双方の中堅キャリアだった」 という内容で、その話には調整役となった2人の官僚の個人名や関係性などもあって妙に具体性を帯びていた。現時点では真偽不明だが、大阪地検特捜部が財務省への強制捜査と佐川氏ら財務官僚への取り調べで、官邸と財務省が改竄の協議を行なっていたという証拠をつかむことができれば、今度こそ、安倍官邸は決定的なダメージを被ることになる。 そこまで踏み込めるか、それとも官邸の顔色を窺って籠池夫妻立件で終わるのか、山本特捜部長の真価が問われる。※週刊ポスト2018年4月13日号
2018.04.03 11:00
週刊ポスト

安倍首相の最大の敵は野党でも世論でもなく「党内反乱分子」
安倍首相は「悪運」が強い。「官邸からの指示は一切ございませんでした」──運命の証人喚問の日、3月27日に首相は官邸の総理執務室のテレビにしがみついて4時間にわたる佐川宣寿・前国税庁長官の証言の一部始終を見守っていたが、そのひとことを聞くと我が意を得たように「うん」と力強くうなずいたという。 その日の夕方にはすっかり上機嫌で都内のホテルで開かれた日本看護協会主催のヘルシー・ソサエティ賞授賞式に出席し、満面の笑みを浮かべてスピーチした。「人間は諦めない、この精神が人を若くしていくのではないか」 その言葉には“政権の危機を乗り切れる”という安堵と同時に“オレも総裁3選を諦めない”という思いが込められていた。 喉元過ぎればすぐ熱さを忘れる軽さが首相の“強さ”であり、政権の不祥事が後を絶たない原因でもある。喚問から一夜明けた翌日の参院予算委員会では、すっかり自信回復した安倍首相から、思わず耳を疑う言葉が飛びだした。「あとは国民のみなさまが判断することだ」 証人喚問では誰が、なぜ文書改竄を行なったかについて肝心な部分は何一つ明らかにされていない。それなのに“オレの疑惑は晴れたから後は知らない”とは、つい先日、「行政の最終的な責任は私にある」「真摯に受け止める」と国民に反省の言葉を語った人物の弁とは思えない。 しかし、危機を乗り切れそうだと判断した首相には、もはや国民は眼中にない。あるのはいかにして政権の座にとどまり続けるかという権力欲だけだ。安倍側近が語る。「佐川喚問でヤマは越えた。総理はこれなら麻生太郎・財務大臣の辞任も必要なしと考えている。後半国会では、いよいよ憲法改正案を国会提出することで秋の自民党総裁選での3選態勢を固めるつもりだ。総理は佐川喚問に便乗して騒ぎ出した党内の安倍批判派を絶対に許すつもりはない」 自民党内では、喚問後も安倍批判が止まない。「誰が、なぜ、が一切分からない、証人もそれを認めるという極めて異例な喚問だった」(石破茂・元幹事長)「森友にしても加計にしてもすべて安倍さんの心の友や後継者にしようとしていた人たちに対して、人事や仕事において優遇していろんな問題が起こった。最高責任者が責任を取らないというのは、私は一番問題だと思っている」(村上誠一郎・元行革相)「なぜという部分が残っている以上、この問題は一件落着しない。第三者に入って頂いて全容解明しないと、不信感はずっと続いていく」(伊藤達也・元金融相) 佐川喚問で「疑惑が晴れた」と言い張りたい安倍首相にとって、自分の足を引っぱる党内の反安倍派は邪魔でしょうがない。 秋の自民党総裁選で勝つための最大の敵は、野党でも世論でもなく、政権の先行きを見限って“安倍降ろし”を画策している自民党内の反乱分子であり、それを粛清することが政権を保つための最優先事項と見ているのである。※週刊ポスト2018年4月13日号
2018.04.02 07:00
週刊ポスト

佐川宣寿氏の証人喚問に学ぶ「言い逃れの極意」
どんな場面にも“学び”はあるものだ。コラムニストの石原壮一郎氏が国会の証人喚問を目にして考えた。 * * * 人間、いつどんなピンチが訪れるかわかりません。後ろ暗いことや身に覚えがあることについて、厳しい追及を受けることもあるでしょう。そんな時にどう言い逃れたらいいのか。追い詰められた状況をどう切り抜ければいいのか。あらかじめ心の準備をしておくのが、大人の用心深さであり狡猾なしたたかさです。 3月27日に衆参両院で、元国税庁長官の佐川宣寿氏への証人喚問が開かれました。明らかに真っ黒な事柄について、あくまでシラを切り続けるのはさぞ辛かったでしょう。本当の悪人たちにいろんな役割を背負わされ、大きな力に翻弄されている悲哀もひしひしと感じます。努力に努力を重ねてエリート街道を歩んできたのに、たいへんお気の毒です。 それはそれとして、4時間以上にわたる証人喚問では、これでもかというほど念入りに「言い逃れの極意」を見せつけてくれました。たとえば、浮気がバレて妻から厳しく追及されたらどう言い逃れればいいのか。山ほど状況証拠があって、誰がどう見たって浮気行為への「関与」が明らかだったとしても、素直に白状するわけにはいきません。絶体絶命のピンチに備えて、私たちが佐川氏の答弁に学びたいのは、次の3つの極意。 1.核心に触れそうな部分はどんなに怪しくてもとぼけ続ける2.自分が主張したい部分はどんなに不自然でも力強く認める3.微妙にポイントをずらしながらきっちり謝っておく 順に、具体的な応用の仕方を見てみましょう。まずはひとつめの「核心に触れそうな部分はどんなに怪しくてもとぼけ続ける」という極意。「このLINEのやりとりはなによ!」「同僚の○○さんと朝まで飲んだって言ってたけど、○○さんは知らないって言ってたわよ」など、明確な証拠を突き付けられたとしても、簡単に白状してはいけません。 「そのLINEは本当に私が書いたのかどうかについては、浮気をしたという疑念を生じるおそれがあるので、お答えは差し控えさせていただきます」というセリフで乗り切りましょう。「少々お待ちください」と言って、補佐人ならぬ同僚の○○に電話して“助言”を求め、「彼の思い違いでした」と証言を訂正してもらう手もあります。 ふたつめの「自分が主張したい部分はどんなに不自然でも力強く認める」という極意も、積極的に実践したいところ。明らかにデート向きのレストランのレシートを突き付けられて、「このお店にふたりで行ったのよね。下心があったんでしょ!?」と聞かれたら、力強く「一切ございませんでした!」と答えましょう。「ホテルに誘ったんでしょ?」と聞かれたとしても、「そういう事実はまったくありません!」と言い切ります。 ただし、妻の場合は、阿吽の呼吸の質問者のように「下心はなかったんですね」「ホテルには誘わなかったんですね」と、こっちに都合のいい答えを誘導するような聞き方はしてくれません。逆に「下心があったんですね」「ホテルに行ったんですね」と聞かれる可能性のほうが大。誘導尋問に乗って、うっかり認めてしまわないように気を付けましょう。 3つ目の「微妙にポイントをずらしながらきっちり謝っておく」も、とっても大切です。佐川氏は証人喚問の最後のほうで、「国民が知りたい真相を解明できたと思うか」という質問に対して、具体的には答えられていないので「ご満足できていないだろうと……」と言いつつ「行政の信頼を揺るがすようなことになりまして、本当に国民のみなさんに申し訳ないと思っております」と謝罪の言葉を述べました。 自分のことは巧みに脇に置いて、いきなり「行政の信頼」と話を広げて謝っているところがさすがです。浮気疑惑を追求されて、妻に「ぜんぜん納得できない」と怒られたとしても、「俺のせいで」なんて言ってはいけません。「世の中の夫に対する信頼を揺るがすようなことになって申し訳ない」と、微妙にポイントをずらしながら謝っておきましょう。 この3つの極意を身に着けておけば、いつ浮気を追及されても大丈夫です。そして、佐川氏の証人喚問でもっとも学びたいのは、どんなに不自然な言い逃れでも、あくまでもシラを切り通せば、怒っている側はそのうちトーンダウンするということ。実際、証人喚問が終わってからの世間は、何となく「一段落した」みたいな雰囲気になっています。このまま尻すぼみになってしまうのかどうかは、まだわかりませんが。 浮気疑惑を厳しく追及されて、シラを切り通すことに疲れてきたときには、佐川氏の顔を思い浮かべてがんばりましょう。ただ、妻の追及が議員たちのように手ぬるいとは思えないし、世間のように忘れっぽいということはまずありませんね。みなさま、どうかくれぐれもお気を付けください。いや、もちろんバレないようにではなく、そういう不埒な行為をしてしまわないようという意味です(時流を意識した大人の締め)。
2018.03.31 16:00
NEWSポストセブン

絶体絶命の安倍首相 金正恩にすがる悪あがきも
森友学園を巡り財務省の決裁文書が改竄された問題で佐川宣寿・前国税庁長官が国会に証人喚問されるなど安倍政権は厳しい状況に陥っている。それでも安倍首相は、なんとか政権にとどまるために外交日程を詰め込んだ。 米・トランプ大統領との電話会談で「4月上旬」の訪米で合意し、5月上旬には東京で日中韓首脳会談、下旬にはロシアを訪問してプーチン大統領との日露首脳会談、さらに金正恩との日朝首脳会談の可能性まで探っている。そこには「外交日程」を盾に安倍降ろしの動きを抑え込もうという意図が垣間見える。だが、各国首脳からも見離されつつある。「各国の外交当局は日本の政治状況を見極めようとしている。もうすぐ辞める首相との会談をセットすれば恥をかくからだ」(外務省筋) 日米首脳会談は米国側の意向で「4月中旬以降」に延期された。日朝首脳会談も「4~5月に予定されている南北、米朝首脳会談後の話で、ほとんど夢物語のレベル。省内で“窮地の安倍さんを救ってやろう”というムードは今となっては皆無」(外務省中堅)という状況だ。 そもそも海外から足元を見られて、「強い安倍外交」などできるはずがない。金正恩に“私が総理を続けるために会談してください”とすがる事態となれば、それこそ国益を大きく損ねる結果になりかねない。※週刊ポスト2018年4月6日号
2018.03.31 07:00
週刊ポスト
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