「調子のいい時の清原は…」と振り返る山本昌氏(撮影/藤岡雅樹)
プロ野球の厳しい世界で約30年にわたり現役の最前線で戦った2人の左腕──工藤公康氏(62)と山本昌氏(60)の経歴はまさに“レジェンド”と呼ぶに相応しい。なぜこれほどの長きにわたり現役を続けられたのか、現役時代に対戦した打者の思い出、今春開催のWBCについて熱く語り合った。【全3回の第3回】
手に負えなかった打者は
工藤:30年近い現役生活でいろいろなバッターと対戦したけど落合さん(落合博満)は苦手だった。3年連続5割ぐらい打たれてる。ボールが吸い込まれていくようだったな。あとイチロー。待ってるところに投げてるわけじゃないのに、なんかそこにいっちゃうような感覚だった。
山本:僕はまず松井(秀喜)。3年目まで外角のストライクゾーンが見えてなくて、見逃し三振をめちゃくちゃ獲れた。でも4年目ぐらいからアウトローを東京ドームの反対方向にホームランされるようになり、いろいろ考えるようになっちゃって逆に打ち込まれました。あと、一番手に負えないと思ったのが清原(和博)。調子のいい時の清原は、ワンバンのボールでもホームランを反対方向に打つし、逆突いてインコースの真っすぐでいっても綺麗に払われちゃう。ただ調子悪い時にはド真ん中に放っても空振り。ギャップが大きいけど、いい時の清原はもう何投げてもダメでした。
今の現役選手にも頑張ってほしいですね。今年は開幕前の3月にWBCがあります。工藤さんはどう見ていますか?
工藤:日本人メジャーリーガーが情報を伝え共有できるのが非常に大きいなと思う。そういうデータを駆使しながらやってもらえたら、また楽しいシャンパンファイトが見られるんじゃないかなと。
山本:左腕も向こうで頑張っている(菊池)雄星や今永(昇太)がいます。
工藤:強豪の米国やドミニカだって全員調子がいいというわけではないので、日本のデータなら誰が調子良くて、誰が落ちてるとか分かります。データがあれば、日本の投手のコントロールで抑える技術は世界でもトップだと思う。
山本:僕もダントツだと思います。ピッチャーがしっかりしているから、どことやってもボロ負けするイメージがないのは凄くプラスだなと思いますよね。野手が大谷(翔平)君を中心にある程度、点を取ってくれれば、2連覇が期待できますね。
工藤:日本の良さをどんどん世界にアピールしてほしいよ。
(第1回から読む)
【プロフィール】
工藤公康(くどう・きみやす)/1963年、愛知県生まれ。1982年に西武ライオンズに入団。ダイエー、巨人、横浜などに在籍し、14度のリーグ優勝、11度の日本一に輝く。2011年に引退。現役通算224勝142敗3セーブ。2015年にソフトバンク監督に就任し、7年間で日本シリーズを5度制覇した。
山本昌(やまもと・まさ)/1965年、神奈川県生まれ。日大藤沢高から1984年に中日入団。3度の最多勝を獲得した。41歳でのノーヒットノーラン、49歳での勝利など数々の最年長記録を打ち立て、2015年シーズンを最後に50歳で引退。現役通算219勝165敗5セーブ。
取材・構成/松永多佳倫(ノンフィクション作家) 撮影/藤岡雅樹
※週刊ポスト2026年1月30日号
