モサド一覧

【モサド】に関するニュースを集めたページです。

今なお響くオシム金言「信じよ。相手をモンスターと思うな」
今なお響くオシム金言「信じよ。相手をモンスターと思うな」
 ロシアW杯大会2か月前の突然の代表監督交代劇は、その背景の不透明さから様々な憶測を呼び、メディアやサポーターからもサッカー協会に対する批判が挙がった。しかし、日本が初戦に勝利すると世間の論調は一転。かつて日本代表の指揮を執ったイビツァ・オシムは、そんな状況に「客観性を保つことが重要。希望的観測で飾られた言葉には意味がない」と警鐘を鳴らしてきた。『オシム 終わりなき闘い』(小学館文庫)を上梓したジャーナリストの木村元彦氏は、「今一度、オシムの仕事を伝えたいと強烈に思った」という。2018年の今なぜオシムなのかを、木村氏が解説する。 * * * 6月12日。トランプ大統領と金正恩労働党委員長が対面し、歴史上初めてのアメリカと北朝鮮の首脳会談が行われた。70年に渡って対立の続いた両国であるが、直接対話がついに始まった。米朝の歩み寄りに尽力したのは、朝鮮戦争の当事者でもある韓国の文在寅大統領だった。その功績を讃える声があがる一方で、韓国内では拉致被害者の遺族などから、「北のスパイ」「アカの手先」というバッシングも少なくなかった。 4月に済州島4・3事件の70周年の取材にソウルに入った際、光化門広場の前で星条旗と太極旗、そしてイスラエル国旗を振りながら、「文在寅を殺せ!」と叫んでいる女性に遭遇した。なぜイスラエル国旗なのか?と問いかけると、「国を売り渡した文在寅をモサドに暗殺して欲しいのだ」と即答された。街頭では文大統領をディスりまくるラップが流され、アンチのデモも路上に姿を現した。 殺し合いをさせられ、その後も分断が長期化するとそのパワーバランスの中では、何もしない方が楽なのだ。さらに言えば、分断されていることで既得権益を生み、表向き「統一」を叫びながら、実は統合を望まない勢力が確かにいる。敢えて下世話な言い方をすれば、平和の仲介者ほど割が合わないものはない。それでもどんな苦難があろうが、前に進まなければならない。 背景も歴史も異なるが、私はあらためてイビツァ・オシムが4年前のブラジルW杯に向けて行った民族融和の闘いに思いを馳せた。 オシムの故郷、ボスニアでは、ユーゴスラビア崩壊に伴い、かつて共存していたムスリム、クロアチア、セルビアの三民族の間で血で血を洗う凄惨な紛争が起きた。1992年に始まったそれは、約3年半続き、互いに異なる民族を排除、殺害する『民族浄化』や女性に対する集団レイプ、収容所で強姦して堕胎が出来ない時期になるまで拘束する強制出産など、ヨーロッパ最悪の紛争となった。 1995年に米国など調整グループの調停で「デイトン合意」がなされると、ボスニアはムスリムとクロアチア人が主体の「ボスニア・ヘルツェゴビナ連邦」とセルビア人を中心とした「スルプスカ共和国」の二つのエンティティー(構成体)に分割された。とりあえず戦争は終結したが、遺恨は温存されて解決が先送りにされたに過ぎなかった。 デイトン合意では、国家元首を一人にすることは叶わず、8か月ごとに三民族の代表が輪番制で就任する大統領評議会が設けられた。そして、三民族の代表たちは融和など望んでいなかった。相手を罵倒し、「愛国者」になることで求心力を得て、それぞれの利権を確立した政治家は対立をむしろ利用し合っていた。ボスニアサッカー協会もこれに準じたわけである。 モラルは低下し、汚職にまみれた。ひとつの協会に3つの民族の会長が君臨したことを問題視したFIFAは、一元化をするように勧告したが、ボスニア協会はこれを実現できず、2011年4月、ついには除名されてしまった。ボスニアからサッカーが消滅したのだ。そこで乗り出したのが、オシムだった。 オシムは脳梗塞で倒れた身体にむち打ち、それぞれの民族派の最高権力者たちに説得を重ねた。セルビア人共和国大統領のミロラド・ドディックに会いに行ったときは、さすがのオシムに対しても首都サラエボで批判の声が上がった。「ボスニア・ヘルツェゴビナ連邦」の二つの民族は「セルビア人共和国」をセルビア人による民族浄化によって強引に作られた侵略支配地域と見ている。侵略者に対して一緒にやろうと請願に行くとは、何という裏切り行為かというわけである。 他方「セルビア人共和国」のセルビア人はそもそもボスニアのユーゴからの独立をセルビア人の承諾の無いままに作られた憲法違反の建国と考えている。ドディック大統領はロシアのプーチン大統領の後ろ盾を得て、ボスニアから分離してセルビア本国との合併を公約に掲げて宣言しており、サラエボからの使者を「外国人」としてずっと軽視していた。しかし、ドディックはオシムの説得に応じた。「イヴァン(オシム)は私に来てくれた。それが何より大きかった」(ドディック) 2011年5月26日に開かれたボスニアサッカー協会の総会では会長一元化のための規約改定が満場一致で決議された。こうしてボスニアは国際舞台に再び復帰することができ、盛り上がったモチベーションのままに予選を勝ち抜いてW杯ブラジル大会に出場を決めたのである。 EUや欧州議会をはじめとする国際的な調整機関が何度もトライしては破たんして来たことをオシムはついに成し遂げたのである。 統一に向けて何が決め手であったのかをブラジル大会の直前に聞くと、オシムはこう言った。「まず信じることだ。相手をモンスターだと思ってしまうと自分もモンスターになってしまう」 すべてはそこにあるのだ。W杯ロシア大会が開幕する5日前の6月9日には、旧ユーゴに属したコソボサッカー協会のヴォークリ会長が急逝したとニュースが飛び込んできた。彼もまたオシムの教え子であった。ユーゴ内で被差別の対象とされていたアルバニア人でありながら、「その選手がすぐれていたら、私はコソボのアルバニアで11人を選ぶ」というオシムの抜擢によってユーゴ代表で活躍し、才能を開花させた男である。 コソボも紛争を経てナショナリズムの台頭は激しいが、それでもオシムを慕うサッカー関係者がほとんどなのは、この振る舞いからである。属性から言えば、敵性にあたるボスニアのセルビア人であるサボ・ミロシェビッチ(現セルビアサッカー協会副会長)にも4月に会ったが、彼もパルチザン・ベオグラード時代に薫陶を受けたオシムへの感謝を何度も口にした(そのインタビューを文庫本に収録した)。 戦争で殺し合いをさせられた旧ユーゴのすべての民族の選手から今でもオシムがリスペクトを集めるのは、偏見や先入観で一切の排除をせず明確に態度で示し続けたことが大きい。そして1991年にユーゴ紛争が始まって現在に至るまで27年間一切ぶれていない長年の信頼の力である。 W杯初戦で日本代表はコロンビアに勝利した。とたんに西野監督を名将扱いし始めたマスコミにも驚く。コロンビア戦での勝因はハリルホジッチが提起していたデュエル(1対1)の数値が向上していることをあげて、ハリルの遺産でもあることをエビデンスから検証したメディアもある一方で、かような分析もせず、結果オーライでほんの2か月前のことをもはや記憶の彼方に葬ってしまったかのような報道には違和感を禁じえない。 なぜ、日本サッカー協会はハリルホジッチを突然解任したのか。信頼を失っていたと言うならば、なぜそれを回復させるような仲介の努力をしなかったのか。田嶋会長が言った「我々はもう前を向いている」は検証と自省の放棄、「これからはオールジャパンで」という言葉は責任を外国人であることに押しつける仕打ち。デットマール・クラマーからオシムに至るまで日本サッカーのために貢献してくれた外国人指導者に対する侮辱であろう。例えこのままグループリーグを突破したとしても、またしてもこの監督交代劇の説明責任がうやむやにされるのは堪らない。 結果による瞬間風速的な求心力は結果が出なくなると衰退する。それよりも信頼を得るのは、不義を働かずに来たプロセスにある。そんな思いも込めて「オシム 終わりなき闘い」を加筆した。【プロフィール】木村元彦(きむら・ゆきひこ)/ノンフィクションライター、ビデオジャーナリスト。1962年愛知県生まれ。中央大学文学部卒。スポーツ人物論、民族問題の取材を続けている。主な著書に『悪者見参 ユーゴスラビアサッカー戦記』『オシムの言葉』『争うは本意ならねど』『徳は孤ならず 日本サッカーの育将 今西和男』『爆走社長の天国と地獄 大分トリニータv.s.溝畑宏』など。6月24日(日)、大阪隆祥刊書店にて『オシム 終わりなき闘い』発刊記念トークイベントを開催予定。http:/atta2.weblogs.jp/ryushokan/
2018.06.23 07:00
NEWSポストセブン
日本が見習うべきモサド長官の言葉「007は幼稚園児の遊び」
日本が見習うべきモサド長官の言葉「007は幼稚園児の遊び」
 世界中がテロの脅威にさらされる中、日本でも首相の肝いりで「日本版CIA」構想などが検討されているが、作家の落合信彦氏は「諜報の世界は“スパイごっこ”ではない」と釘をさす。同氏はイスラエルのモサドなども含め、世界の諜報機関の人々とこれまでに何度も会ってきた。 * * * 日本は一刻も早く諜報機関を作らなければならない。私は30年以上も前から、そう指摘してきた。 諜報機関は一朝一夕にできるものではない。内閣情報調査室や警察の公安、外務省で情報活動に関わる人材を集めてみても、CIAやイスラエルのモサドのようにはならないのだ。「ミスター・モサド」と呼ばれた2代目長官、イサー・ハレルにかつてインタビューした時のことだ。私が、ハレルに対し冗談交じりで「ショーン・コネリーの007はどう思いますか」と話しかけると、彼はピクリとも笑わずにこう答えた。「私の部下たちがやっている仕事と比べると、007なんて幼稚園児の遊びのようなものだ」 現実の諜報の世界は、「スパイごっこ」ではない。時には生命を懸けたミッションとなる。ハレルは、モサドにふさわしい人物像について聞くと、こう語った。「自分から志願してくるような者はダメだ。ジェームズ・ボンドに憧れてモサドに入りたいという者は、仮に敵に捕まって厳しい拷問を受けたら、あっという間に吐いてしまう」「まず必要なのは、人間としての尊厳と正直さ、そして何より愛国の心だ」 第一線のスパイは、「拷問の訓練」も受けている。どこをどう責めると、一番人間は痛みを感じるのか。日本人の中で、国のためにそんな訓練を受ける覚悟がある者がいるとは思えない。 シリアにモサドのスパイとして潜入して多くの政府高官と付き合い、シリア国防相になる直前で逮捕されたエリ・コーエンは、全身をカミソリで切り刻まれるなど酷い拷問を受けた。 それでもエリは、「自分が死ねば、イスラエルは生き延びる」と考えていたのだろう。生命を懸けた愛国心である。さすが20世紀最高のスパイだ。 今の日本政府は「愛国心を持て」と言っているが、そんな掛け声で彼のような「本当の愛国心」を持てるわけがない。 諜報機関を作り、人材を育てるには時間がかかる。だからこそ一刻も早く立ち上がらなければ、この国の未来は今以上に暗黒の淵に立たされるだろう。※SAPIO2015年2月号
2016.01.19 16:00
SAPIO
「プーチンはトルコ恫喝のためイスラエルと手握る」と佐藤氏
「プーチンはトルコ恫喝のためイスラエルと手握る」と佐藤氏
 欧米諸国で「イスラム国」打倒の協力体制が整ったと思った矢先に事件は起きた。ロシア軍機のシリア領内での墜落。プーチン大統領はトルコ軍の関与を明言し、ロシア・トルコ関係は一触即発の状態にある。2016年の国際情勢の鍵を握るのは間違いなくプーチン大統領である。作家で元外務省主任分析官の佐藤優氏がその次なる行動を示唆した。 * * * プーチン大統領は、エルドアン政権を徹底的に揺さぶるつもりだ。そこでロシアが重視しているのがイスラエル・カードだ。2015年12月11日、プーチン大統領は、モスクワで国防省幹部を招集し、演説を行った。〈プーチン氏は「重要なことは、テロリスト排除を本当に望む国々との協力を進めることだ。それにはイスラエル空軍の拠点や米国が率いる有志連合との情報交換も含まれる」と述べ、かつては「国際法違反」だとして批判していた有志連合による空爆との協力関係を進める姿勢を鮮明にした。/トルコによるロシア軍機撃墜については直接言及しなかったが、「我が軍に対するいかなる挑発行為も未然に防がねばならない」と強調。「ロシア軍部隊を脅かすような標的は、直ちにすべて全滅させることを、特に厳しく命じる」と述べた。〉(2015年12月11日「朝日新聞デジタル」) ロシア軍はこれまでも米軍とは、軍用機の偶発的な衝突が起きないように連絡を取り合っていた。トルコは有志連合にも参加している。 プーチン大統領は、トルコとの対立を米国を含む他の有志連合にまで拡大することはないという姿勢を鮮明にした。その上でイスラエル空軍との協力についてプーチン大統領が言及したことには大きな意味がある。 イスラエルは、ヨルダンとシリアの現状が維持されることが、自国の安全保障にとって死活的に重要と考えている。ヨルダンに関しては、数年前からモサド(イスラエル諜報特務庁)、アマン(イスラエル参謀本部諜報局)がインテリジェンス面でヨルダンを支援している。2015年夏からはヨルダンの防空の支援をイスラエル空軍が行っている。イスラエルは、過去4回、シリアと戦争をした。 アサド政権の行動様式をイスラエルは知り尽くしている。アサド政権が崩壊し、大混乱が生じるよりも現状が維持されることの方がイスラエルの安全保障に与える害がはるかに少ない。しかし、イスラエルがアサド政権をあからさまに支援することはできない。プーチン大統領はそのことを理解した上で、シリアの安定のためにイスラエルと手を握る意思を表明しているのだ。 イスラエルは長らくアメリカと同盟関係にある。そのイスラエルがロシアと共闘しようとする今、世界に大きな地殻変動が起きつつある。●佐藤優/1960年生まれ。1985年、同志社大学大学院神学研究科修了後、外務省入省。小誌で半年間にわたって連載した社会学者・橋爪大三郎氏との対談「ふしぎなイスラム教」を大幅に加筆し『あぶない一神教』(小学館新書)と改題し、発売中。※SAPIO2016年2月号
2016.01.15 07:00
SAPIO
アメリカの日本盗聴 情報を奪われる方が間抜けと落合信彦氏
アメリカの日本盗聴 情報を奪われる方が間抜けと落合信彦氏
 アメリカの情報機関が日本企業や日本企業に盗聴を仕掛けていたことが明らかになった。ジャーナリストの落合信彦氏は「インテリジェンスの世界に友人はいない。情報を簡単に奪われるほうが間抜けだ」と指摘する。その真意はどこにあるのか。 * * * 我が国のインテリジェンスに対する感度の低さがまたも露呈した。アメリカの情報機関・国家安全保障局(NSA)が日本政府や日本企業に盗聴を仕掛けていたことが明らかになった件である。この一件は、内部告発サイト「ウィキリークス」が7月末に公表した内部資料で公になった。 資料によれば、NSAは第1次安倍政権の2006年ごろから、日本政府の部局や大手企業などの35回線を盗聴。さらにウィキリークスは、盗聴で得た情報をもとにNSAがまとめたとされる5つの機密文書も公表した。 そこに書かれていたのは、2007年4月の安倍首相訪米を前に官邸と外務省などの間でやりとりされていた情報を分析したものだった。そこでは安倍政権が当時検討していた温室効果ガス削減目標について「アメリカの反対を見据えて、事前に知らせないことを考えているようだ」と分析されていた。 要するに、日本の出方はすべてアメリカに筒抜けだったのだ。 安倍首相は盗聴されていたことを受け、国会でこう発言した。「仮に事実であれば、同盟国として遺憾である」 馬鹿げているというほかない。私がかねて指摘してきたように、「インテリジェンスの世界に友人はいない」というのが世界の常識である。安倍だけではない。他の政治家たちや、新聞、テレビも「同盟国に対して盗聴するなど言語道断だ」といった論調で大騒ぎしていたが、まるで“子供の論理”だ。 世界では、同盟国であるかどうかなど関係なく日々、諜報活動が行なわれている。実際に、アメリカとイスラエルは政治・外交の上では日米以上に深い関係にあるが、CIAとモサドはお互いに激烈な諜報活動を繰り広げている。日本はこうした世界の常識がまったくわかっていないから、やられ放題になってしまうのだ。 今回アメリカが盗聴していた日本のターゲットは、官房長官秘書官、経済産業大臣、財務省、内閣事務局の交換台、三菱商事の天然ガス担当部署、三井物産の石油担当部署などだった。さらに、日銀総裁の電話や日銀職員の自宅の電話なども盗聴されていた。 ある大臣は記者たちを前にオフレコで「そこまでやるのか。卑怯だ」と憤っていたという。が、NSAやCIAは「そこまでやる」のだ。「卑怯だ」というのも間違っている。情報を簡単に奪われるほうが間抜けなのである。悔しかったら諜報機関を設けてみろと言いたい。もっとも今の日本に世界を網羅する諜報機関を作れるわけはないが。 メディアの指摘も的外れだ。新聞各紙は、今回の盗聴問題に対する日本の反応を「抑制的」だと書いた。2013年にドイツ首相のメルケルの携帯電話がNSAに盗聴されていたことが判明した際は、メルケルがオバマに直接強く抗議した。それに比べて「遺憾の意」を表明しただけの安倍政権は「抑制的」だという報道である。 だが、メルケルは自らが常に盗聴・情報収集の対象になっていたことなど百も承知で、直接抗議したのである。安倍は今回、「あろうことか同盟国に盗聴されるなんて」と驚き、泡を食って「遺憾の意」を表明したにすぎない。何度も言うが、こと諜報戦では同盟国などないに等しいのだ。 おそらく諜報戦の世界を知らないメディアの記者たちも、「同盟国による盗聴」に驚いたのだろう。本来なら、世界の諜報活動はそこまでシビアに行なわれているという現実を報じたうえで、日本の諜報能力と防諜体制の充実を訴えるべきなのだ。(文中敬称略)※SAPIO2015年10月号
2015.09.16 16:00
SAPIO
情報機関創設 有能な人材が日本で集まるか疑問と落合信彦氏
情報機関創設 有能な人材が日本で集まるか疑問と落合信彦氏
 ISILによる日本人人質殺害事件を受け、安倍晋三首相は対外情報機関の創設を検討していると発言した。日本には対外情報機関の存在が不可欠だと訴えてきた落合信彦氏は、いまのままではこの構想は失敗する可能性が高いと指摘している。成功させるにはどうすればよいのか、落合氏が解説する。 * * * 日本が情報機関をつくる上で何が足りないかを述べるのは大変だ。欠陥があまりにも多すぎて、挙げればキリがなくなるからだ。 日本には、情報機関のもとになるような既存の組織がなく、人材もいない。日本の既存の情報部門のなかでマシなのは警視庁公安部ぐらいだろうが、日本版CIAを公安中心でつくることは、外務省が反対するだろう。日本版NSCのトップが谷内正太郎・元外務次官だったように、今回も各省庁の利権争いが予想される。だが、既存の省庁の寄せ集め組織になれば、日本版CIAは絶対に失敗する。 実はイスラエルのモサドもはじめは、外務省がコントロールする形の組織が想定されていた。それをひっくり返したのは、初代首相のデヴィッド・ベングリオンだ。彼は、情報機関は首相直轄の独立した組織でなければ意味がないと主張した。その結果、モサドは絶大な権限を得て、いまの地位を築いたのだ。 日本が情報機関をつくるには、独立した組織にした上で、エージェントの養成学校を創設してゼロから学ばせなければならない。教官としてモサドのOBを招聘するのも一つの手だろう。しかし、それも容易なことではない。CIA、SIS、モサドに入る一番の条件はIQが高いということで、モサドなどはIQ130以上でなければ受け付けない。50の電話番号を瞬時に頭に詰め込ませるテストなども行われる。 さらに、最低限3か国語は話せる必要がある。モサドでは8か国語を話せるエージェントが何人もいる。例えばイランのパーティーに行けば、当然ペルシャ語を理解していなければ話にならない。そこで、分かっていながらペルシャ語を知らないふりして、交わされる会話から情報を吸い上げるのがエージェントの仕事なのである。 そんな有能な人材が日本で集まるのか、はなはだ疑問である。CIAは情報収集担当だけで5000人を有し、全体では3万人前後、さらに外国にいるエージェントを含めれば5万人以上になると言われている。それぐらいの規模でやらなければ、情報機関として機能しないということだ。 さらに、安倍政権が全く分かっていないのは、情報機関をつくるには莫大な予算がかかるということだ。 CIAでは、それだけの数のエージェントたちが、世界各国で多額のカネを使って、情報を集めている。情報機関において、敵方エージェントを引き抜くために使われる用語として「MICE」という言葉がある。Mはマネー(カネ)、Iはイデオロギー(思想)、Cはコンプロマイズ(強制的屈従)、Eはエゴだ。祖国を裏切らせるには、思想的に引きつける、ハニートラップなどによって服従させる、その人の自尊心を満たそうとするなどの条件が挙げられるが、何よりも大切な第一条件として挙げられるのがカネである。 CIAのカウンターインテリジェンス部門の分析官だったアルドリッチ・エイムズは、ソ連に寝返る対価として、250万ドルものカネを得たという。世界では、情報の価値とはそれだけ高いものなのである。1000兆円に及ぶ借金まみれのこの国で、そんなことが可能だろうか。※SAPIO2015年5月号
2015.04.20 07:00
SAPIO
安倍首相肝いり「日本版CIA」このままでは失敗と落合信彦氏
安倍首相肝いり「日本版CIA」このままでは失敗と落合信彦氏
 2015年になってイスラム過激派により日本人が殺害される事件が相次ぎ、日本政府にも対外情報機関創設をという機運が高まっている。ひとくちに「情報部」と言われても、日本人には映画や小説でしか縁がない組織だ。首相が先導する「日本版CIA」は、このままでは題目ばかり先行して必ず失敗すると作家の落合信彦氏が語る。 * * * この国の国会議員の無知蒙昧ぶりには、怒りを通り越して哀しみすら覚える。 ISIL(Islamic State of Iraq and the Levant)による日本人人質殺害事件を受けて、首相の安倍晋三は、国会(予算委員会)の場で「対外情報機関」の創設を検討していることを認めた。すでに自民党が協議を始めており、マスコミは早くも「日本版CIA」だの「日本版MI6」だのと騒ぎ立てている。 私は以前から、日本には対外情報機関の存在が不可欠だと訴えてきた。アフリカのマリやブルキナファソにすら、情報機関はある。国家のアンテナである情報機関を独自に持たない国など、本来ならあり得ないからである。 だが、その上で敢えて言うが、いまのままでは、この構想は失敗する可能性がきわめて高い。日本では何かとお題目だけが先行して、中身を考えず新しい箱さえつくればいいという考え方がある。今回と同じような思いつきでできたのが「日本版NSC」だが、あの人質事件の結果を見れば、日本版NSCなど何の役にも立たなかったのは明白である。いまのままでは、日本版CIAも全く同じ轍を踏むことになろう。 そもそも日本では、CIAがどのようにできたかという歴史的経緯すら、ほとんど知られていない。もちろん、安倍をはじめ国会議員たちは全く知らないことだろう。 世界三大情報部と言われるアメリカのCIA、イギリスのMI6(現在のSIS)、そしてイスラエルのモサドは、各国が置かれたそれぞれの事情から、情報機関の創設にいたった。 まずアメリカのCIAは、1947年に創設された。アメリカには、前身となったOSSという諜報機関がすでにあり、さらに海軍と陸軍の情報局が別にあった。当時の大統領トルーマンは、第二次大戦終結後すぐに、米ソ冷戦時代が来ることを予見していた。そこで、冷戦時代に備えて情報機関の統合を行う必要があると考え、CIAを創設した。現在のアメリカは、15の情報機関を抱えている。それらのトップがNSCの会議に出席する。 さて、OSSには、後にCIA長官となったアレン・ダレスやビル・ケーシー、私のオイルマン時代の友人で先輩でもあるジョン・シャヒーン、後にCIAのカウンターインテリジェンス部門を牛耳ったジェームズ・アングルトンら錚々たる面々が属しており、彼らがCIAの中心となった。彼らの指揮の下で働いたエージェントもかなりいた。つまり、出場選手はすでにロッカールームに控えており、CIAの創設と同時に運動場に出るだけだったのだ。 これが、ロッカールームで控えている選手がひとりもいない日本とは全く違う。※SAPIO2015年5月号
2015.04.14 16:00
SAPIO
尖閣付近で日中衝突 イスラエル諜報機関は日本の勝利を予測
尖閣付近で日中衝突 イスラエル諜報機関は日本の勝利を予測
 沖縄・尖閣諸島周辺の領海では、相変わらず中国船が傍若無人に侵入し、日中間の緊張は解けない。2012年9月に野田政権が尖閣を国有化して以降も中国側は挑発行為を繰り返してきた。中国問題に詳しいジャーナリスト・相馬勝氏が、尖閣問題についてかつて東京都による購入計画をブチ上げた石原慎太郎氏に聞いた。──尖閣問題をめぐって、日中間で武力衝突が起きるとの予測もあります。石原:戦争の可能性については専門家が考えることで、尖閣で「ホットフラッシュ(一触即発の危機的事態)」が起きたらどうなるかは、自衛隊はもちろん、CIA(米中央情報局)もやっている。もっと面白いのは、イスラエルの諜報機関・モサドも分析していることだ。 モサドの元長官とシンガポールで会った時に面白いことを言っていた。「日本は負けません。石原さん、ガダルカナル海戦を思い出してください」と。日本はガダルカナルにいたアメリカの航空母艦を攻撃するための戦闘機をどこから持ってきたか。400~500キロ離れたラバウルからで、そんな距離を飛んでいった戦闘機がまともに戦えるわけがないと言うんです。──それは尖閣における中国も同じだと?石原:そう。「石原さん、尖閣で空中戦が起きた時に、支那の飛行機はどこから来ますか。600キロ離れていますよ」と言う。日本の場合は嘉手納基地があり、石垣空港がある。宮古島市の下地島に、かつて民間のパイロットが旅客機の離着陸の練習をした長い滑走路もある。外国の諜報機関の人間が「あれを何で使わないんですか」と指摘するんだ。※週刊ポスト2015年4月10日号
2015.04.04 07:00
週刊ポスト
落合氏「首相の対イスラム国への不見識が国民を危機に晒す」
落合氏「首相の対イスラム国への不見識が国民を危機に晒す」
 イスラム国に拘束された日本人2人が殺害されたことに対し、安倍首相は「イスラム国に罪を償わせる」と、強い口調で怒りの言葉を述べた。しかし国際ジャーナリストの落合信彦氏は、この発言を疑問視する。落合氏はこう語る。 * * * 重要なことは、本来中東において力を持っているはずのプレイヤーたちが、今回は沈黙を保っていることである。一つはトルコだ。 トルコはイスラエルを除けば中東で最強の国である。米軍がいて、カネもあるため、最新型戦闘機のF35など強力な武器を持つ。さらに、情報機関のMIT(トルコ国家情報機構)の能力もきわめて高いため、国内のテロも未然に防ぎ、危険人物と目されればアメリカ以上に即断で刑務所に収容してしまう。そんな頼れる国が、今回に関しては沈黙を貫いている。 その理由の一つが、クルド人の存在だ。トルコ・シリア・イラクの3国にまたがり2000万人以上いる「世界最大の国のない民」クルド人は今ISILと戦っている。トルコとしてはISILと戦うとクルド人を利することになるため沈黙しているのだと言われている。だが、実際にはむしろ現大統領のエルドアンが、ISILとの戦争に参加することを危険だと考えているからだろう。 同時にイスラエルも、いまだ沈黙を貫いている。ただ、こちらには気がかりなことがある。アラブ系に扮してISILに潜入していたモサドのエージェントが、殺害されたとの情報があるのだ。水面下ではさまざまな動きがあっても、イスラエルの動きは表面化してこない。 トルコとイスラエルという二大強国が沈黙していることは、ISILが過去のイスラム系テロ組織に比べても強大な力を持っているということの表れでもある。そんな戦いに首をつっこもうとしているのだから、安倍の不見識は日本及び日本国民全員を危機にさらしているということだ。※SAPIO2015年4月号
2015.03.20 16:00
SAPIO
日本独自の諜報機関設立に向けてイスラエルや英へ訓練依頼を
日本独自の諜報機関設立に向けてイスラエルや英へ訓練依頼を
 9.11テロが起きる前、テロリストたちがフロリダやアリゾナで飛行訓練を受けているという情報があったにもかかわらず、CIAとFBIはまったく動こうとしなかった。以来、アメリカの諜報活動は凋落するばかりだ。だが、いまや諜報活動は日本にとっても喫緊の課題だ。一刻も早く諜報機関の設立をするべきだと考える作家の落合信彦氏が、その理由と方法について解説する。 * * * アメリカが凋落するなか、日本に残された道は、自前の諜報機関を作ることしかない。私は以前からそのことを主張してきたが、いよいよ事態は逼迫している。 中国はいま、尖閣諸島海域の領海侵犯を繰り返しており、尖閣をめぐる武力衝突がいつ起きてもおかしくない。断言してもいいが、米軍はそのとき、絶対に日本のために血を流すことなどしない。 さらに現在、中国はアメリカと並んで日本に多くのスパイを送り込み、協力者も含めれば数十万人がいつでもテロを起こせる状態にあると言われている。ところが、アメリカと違って警察権力の弱い日本では、限りなく黒に近い人物でもスパイ容疑で逮捕することができない。いま現在、そうした中国人スパイが野放しの状態にある。 だからこそ、日本には一刻も早い諜報機関の設立が望まれるのだ。 とはいえ、諜報の経験のない日本人に、ゼロからそれを作り上げる能力も、時間的余裕もない。そこで私は、世界最強の諜報機関、イスラエルのモサドまたはイギリスのMI6の元教官たちに訓練を頼むのも、一つの手だと考えている。もちろん、日本ではなく彼の地でやらなければならない。 モサドはCIAと違い、いまなおヒューミントを重要視し、世界中に散らばった優秀なエージェントたちが、地の果てまでも対象を追い詰めている。 その典型が1972年のミュンヘン五輪で、11人のイスラエル選手らがパレスチナのテロリストに暗殺された事件の「その後」だろう。 この事件は確かにモサドにとって失態だったが、モサドは何の弁解もせず沈黙を貫き、なんと20年かけて計画を立案した諜報局のトップをはじめ、関係者を暗殺していった。CIAが最近、ツイッターを始めて自らの存在をアピールするという諜報機関にあるまじき行動をしているのとは、意識レベルがまるで違う。 その差は、詰まるところ国民の危機意識の差だろう。「世界の警察官」を放棄したアメリカと違い、つねに国家的危機に瀕してきたイスラエルでは、国民の側が国家に優秀な諜報機関を求め、モサドにも常に高いレベルを要求する。 だからこそ、モサドは20年がかりで自らの失態を挽回する必要があったのだ。日本の諜報機関作りは、まずこうした危機意識を学ぶところから始めなければならない。※SAPIO2014年8月号
2014.07.26 07:00
SAPIO
世界的スパイ組織 ハニートラップ駆使し町工場もターゲットに
世界的スパイ組織 ハニートラップ駆使し町工場もターゲットに
 米国の国家安全保障局が行っていた、インターネットなどでの情報収集や、各国大使館への通信傍受が、元CIA職員のエドワード・スノーデン容疑者により暴露され、世界中を震撼させた。 スノーデン容疑者によると日本も盗聴されていたとされているが、「ネットに限らず日本各地にさまざまなスパイが潜んでいる」と、元警視庁刑事の北芝健さんは断言する。「世界的に有名なスパイ組織といえばアメリカのCIA、映画に登場する“007”で有名なイギリスのMI6(英国情報局秘密情報部)、イスラエルのモサド(イスラエル諜報特務庁)、ロシアのKGB(旧ソ連国家保安委員会)などがありますが、これらの団体に所属する人が、別の肩書を持ち、世界各国に潜入している可能性は高いですね」(北芝さん) スパイの任務は、国家などの重要機密の情報収集が中心。だが、必ずしも政治や軍事にかかわることだけが狙われるわけではない。最先端技術もターゲットなのだという。 特に日本の場合は、企業、とりわけ先端技術を持った町工場もターゲットになると北芝さんは警告する。「葛飾や日暮里にあるような町工場は科学技術に転用できる情報がたくさんあるので、狙われる可能性が高いですね。しかも、情報を仕入れるため、ハニートラップに近い手法がとられることが多いんです」(北芝さん) ハニートラップとは、女性スパイが対象男性を誘惑し、性的関係を利用して情報を手に入れる手法だ。「町工場の主人や職人が行く飲み屋に留学生と名乗るロシア系の白人美女が来て、近づき、“今度、工場に遊びにいっていいですか?”と訪ねる。気をよくした主人や職人は、いとも簡単に了承し、工場内を案内。しかし、その美女がロシア系スパイの手先だったということもよくありますよ」(北芝さん) 男性スパイが女性ターゲットにしかけることも当然あるが、このケース以外にも、ハニートラップは入念な計画のもと、行われている。 「この人物を落としたい、と思ったら、その人物を徹底的に調べます。女性の好みや思春期にどんなタイプの女性を好きになり、どういうふうに恋愛してきたかなど、過去に遡って徹底的に調べたうえで、好みの女性を送りこむのです。だから、海外赴任者が独身、あるいは単身赴任の場合、狙われる確率が高いのですが、仕掛けられたら、引っかかってしまう可能性が高いんです」(北芝さん)※女性セブン2014年6月26日号
2014.06.16 07:00
女性セブン
NHK偽物番組 佐村河内氏以前にもイスラエル英雄デッチ上げ
NHK偽物番組 佐村河内氏以前にもイスラエル英雄デッチ上げ
「現代のベートーベン」を持て囃した『NHKスペシャル』は、とんだ大誤報となっただけでなく、番組作りに根本的な疑問を喚起した。本当にNHKは「騙された」だけなのか。 今のところ、稀代のイカサマ作曲家・佐村河内(さむらごうち)守氏を大スターにしたNHKに対する評価は、「騙された被害者」か、せいぜい「見抜けなかった間抜け」といったところだろう。しかし、それは甘すぎる。 一罰百戒で断罪するわけではない。NHKにはそういう体質があるのだ。15年前、同じように大作ドキュメンタリーで「ニセモノの英雄」を祀り上げた疑惑を紹介する。 タイトルを『ナチハンター~アイヒマンを追いつめた男』という。1999年5月30日に「BS10周年企画 ドキュメンタリー特集」の1本として放映された番組だ。 題名の通り、ナチス幹部でユダヤ人大量虐殺の中心人物として知られるアドルフ・アイヒマン(1906~1962)をイスラエルの諜報機関・モサドが拘束した作戦を描いていた。有名なナチス幹部、名高い拘束劇、世界中が注目した裁判と処刑舞台装置に不足はなく、NHKが大金を注ぎ込んで制作するに値するテーマではあった。「追いつめた男」として登場したのはピーター・マルキンという人物で、番組では「アイヒマン誘拐作戦を実行した隊長」とされた。 マルキン氏は撮影班とともに作戦の舞台となったアルゼンチンを訪れて身振り手振りで拘束の場面を再現し、さらに拘束後にアイヒマンにワインと煙草をふるまって会話したというドラマチックなエピソードを明かす。撮影はアメリカや、アウシュビッツ収容所があったポーランドにも足を運ぶ念の入れようだった。 ところが放送からわずか1か月後、「マルキン隊長」が、実は偽者だという衝撃的な報道が出ることになる。 同年7月9日付の『週刊ポスト』が、「NHK『ナチス特番』に英雄デッチ上げ疑惑」とのタイトルで、この作戦の「本当の隊長」はラフィ・エイタンという人物で、マルキン氏は作戦メンバーの一人にすぎないと報じたのである。 読者に正しい判断をしてもらうためにディスクローズしておくと、『週刊ポスト』は本誌と同じ小学館発行の雑誌である。もちろん編集部は別だが、当時この記事を担当したのは本誌の現在の編集長である。したがって取材の経緯を詳しく知る立場にあり、同時に「誤報問題」のきっかけを作った当事者でもある。 記事では、その年の3月に出版されて世界的ベストセラーになった『憂国のスパイ』(日本語版は光文社刊)の著者であるゴードン・トーマス氏にインタビューしている。同書は秘密のベールに包まれたモサドの活動を明らかにしたことで話題となり、アイヒマン拘束劇についても詳述している。 トーマス氏はエイタン隊長から作戦の詳細を取材しており、『週刊ポスト』に対して「アイヒマンを捕まえたのはエイタンであり、マルキンがアイヒマンと交流したことも絶対にない」と語ったうえで、特番のことを伝えた際のエイタン氏の言葉として、「くだらない番組を作ったNHKとは話もしたくない」とのコメントを明かした。 また、NHK特番の1年前には英チャンネル4がエイタン氏の証言を元に拘束劇の再現ドキュメンタリーを放映したこと、世界最大のナチス追及団体「サイモン・ウィーゼンタール・センター」のブライトバート資料センター所長(当時)の「アイヒマン拉致チームのリーダーはエイタン氏だった」との証言、イスラエル政府広報オフィスが「作戦について最も信頼できる本」としたイッサー・ハレル元モサド長官の著書に、隊長としてエイタン氏の名が記されていることなどを報じた。 ところが、当時のNHKの対応は驚くべきものだった。制作責任者のチーフ・プロデューサーが取材に応じたものの、「エイタンはもちろん知っているが、作戦の一メンバーであり隊長ではない」と言い張ったのである。しかも当初は「モサドに確認した」「ハレル長官までいきました」などと説明していたものの、後に「ハレル氏には取材を断わられた」「モサドには取材依頼したが応じてもらえなかった」などと前言を翻した。 つまり、マルキン氏の言葉を鵜呑みにして番組を作ったことを半ば認めたわけだが、それでも最後まで「隊長はマルキンであってエイタンではない」という主張を変えず、番組の検証も訂正もしなかった。それどころか、記事発売後に『週刊ポスト』編集部に抗議までしてきたのである。 本人の言うままを信じ、客観的検証をせず、過剰なまでの演出でドキュメンタリーをドラマチックに仕立てるやり方は佐村河内氏のケースとそっくりだ。これがNHKの体質ならば、他にも同様の番組が存在する可能性は高い。※SAPIO2014年4月号
2014.03.15 16:00
SAPIO
落合信彦氏 イスラエルによるイラン空爆の可能性を指摘
落合信彦氏 イスラエルによるイラン空爆の可能性を指摘
 中東の情勢が緊迫している。アベノミクスで浮かれている国内とは違って、ウォール街では中東の暴発を「今年最大の経済リスク」と捉えている。作家の落合信彦氏が暴発の可能性を指摘する。 * * * 参議院選挙に圧勝した首相の安倍は、その直後に東南アジア諸国を歴訪し、8月下旬にはバーレーン、クウェートなど中東諸国へ外遊に出かける予定だ。 安倍は「選挙によってアベノミクスが国民に信任された」と気をよくしているようだが、アベノミクスによる泡沫の好景気など一瞬で吹き飛びかねないリスクがすぐ目の前にある。しかも、その「震源地」はまさに安倍がこれから訪れようとしている中東なのである。 ウォール街では、この秋にも勃発する「中東危機」に備えて“逃げ時”をいつにするかの情報が飛び交っている。巨額のマネーを動かす者たちは既に市場の壊滅的な急落を見据えているのだ。それほどに事態は差し迫ってきた。その来るべき中東危機とは、イスラエルとイランの衝突である。 イスラエル首相のネタニヤフが国連総会の演説で、爆弾のイラストを使いながらイランの核開発を批判したのは昨年9月のことだった。その時にネタニヤフは、イランの濃縮ウラン保有量が核兵器1個分に達する手前に、レッドライン(越えてはならない一線)があると明言した。にもかかわらずイランはウラン濃縮施設の稼働を止めなかった。20%濃縮ウランの保有量は既にネタニヤフの言うレッドラインを事実上越えているという見方さえある。 イスラエルはこの5月、イランと良好な関係を保つシリアの首都・ダマスカス近郊にある軍関連施設を空爆した。「次はお前たちの番だ」というイランへの警告に他ならない。 正面からの軍事攻撃には国際的な非難が高まるため、イスラエルは諜報機関・モサドを使って核開発に携わるイランの科学者を暗殺し、ウラン濃縮施設のシステムにサイバー攻撃を仕掛けるなどしてきた。だが、それに対してイランは、インドやグルジアにあるイスラエル大使館へのテロ攻撃で応じた。緊張は臨界点近くに達してしまった。 7月末にイスラエルはアメリカの仲介でパレスチナ自治政府との直接協議を約3年ぶりに再開した。中東和平への第一歩のように報じられているが、両者の主張には大きな隔たりがある。パレスチナ側は67年の第3次中東戦争の前の境界線を基本に交渉しようとしており、イスラエル側にとってはお話にならない前提だ。協議再開は周辺諸国を油断させるポーズに過ぎないのではないか。 イスラエルはイランの北に位置するアゼルバイジャンに対して、イラン空爆に際してのサポートを求めていて、アゼルバイジャン側が協議に応じたとの情報がある。 また、核巡航ミサイルを発射できる潜水艦をペルシャ湾に潜らせているともされる(イスラエル政府は核保有について「否定も肯定もしない」というスタンスだが、同国が200発以上の核兵器を保有していることは公然の秘密だ)。国土が日本の四国程度、人口も約800万人と少ないイスラエルは、陸戦ではなく海戦や空戦で決着をつけるシナリオを描いている。 ネタニヤフの決断ひとつで、イランの拠点を叩く準備は整った。こうした情報から、多くの専門家は「イスラエルのイラン空爆」を懸念する。※SAPIO2013年9月号
2013.08.21 07:00
SAPIO
伝説の諜報機関創設者「007は幼稚園児の遊びのようなもの」
伝説の諜報機関創設者「007は幼稚園児の遊びのようなもの」
 シリーズ50周年を記念して制作された英語『007 スカイフォール』が全世界で大ヒットとなったが、諜報の世界に詳しい作家・落合信彦氏は、よりリアルな作品として『寒い国からきたスパイ(The Spy Who Came in from the Cold)』(1965年公開)を推す。名優リチャード・バートン演じるMI6エージェントが東ドイツに潜入するストーリーだ。落合氏がスパイの世界の内実を明かした。 * * * 『寒い国からきたスパイ』で描かれるように、諜報機関のエージェントは孤独で過酷な職業だ。実際、何か大きな成果をあげても秘密活動なのだから大々的にそれが称賛されることはない。もちろん、軍人のように勲章をもらえるわけでもない。 逆に一度でも失敗を犯せば、他国はおろか、自国内からも「税金をよくわからないことに使っている上に、なんでそんなヘマをするのか」と非難の的にされる。そんな環境の中で、エージェントたちはどのようにして士気を保つのだろうか。 私は以前、伝説的人物であるイスラエルの諜報機関モサドの創設者の一人であり、2代目長官、イサー・ハレルにインタビューした際、「エージェントを選ぶ条件」を聞いたことがある。その時に真っ先にハレルが言ったのは、「自分からエージェントになりたいと言ってくる人間は間違いなくダメだ」ということだった。スパイに妙な憧れを持つ、目立ちたがり屋で自己愛の強いタイプは敵の手にかかると大抵、味方の重要な情報を簡単に相手に渡してしまうのだという。 ハレルがエージェントをスカウトする時の尺度として挙げたのが「愛国心があるか」であった。さらに問いを重ねると、「質素な生活に耐えられること」「家族を愛しているかどうか」という条件も語った。私はなるほどと思ったが、家族を愛する気持ちの延長線上に祖国を愛する気持ちがある、ということなのだ。ユダヤ民族として迫害される歴史を歩み、ついに祖国を建国するに至ったイスラエルならではの思考だとも言えよう。「家族思い」という条件には別の理由もある。ハレルは、ある若いモサド・エージェントが休暇を取った時、妻に内緒で別の女とヴァカンスを楽しんでいる現場を押さえ、即刻クビにしたエピソードを教えてくれた。諜報機関の人間にとって「女」は最も警戒すべき存在の一つだ。〝ハニートラップ〟にかかり、敵国に寝返られたら、ミッションをともにするエージェント全員が危険に晒されることになる。 ちなみに『007』のジェームズ・ボンドは大の女好きだが、私はジョーク半分でハレルに対して、「それじゃあショーン・コネリーのダブル・オー・セブンについてはどう思いますか?」と質問した。すると彼はクスリともせずにこう返した。「我々のやっていることに比べれば、あの映画の中でされていることは幼稚園児の遊びのようなものだ」 もちろんモサドがジェームズ・ボンドよりも派手な立ち回りを演じているということではない。映画よりもはるかに緻密で複雑な、しかし地味で目立たない活動を日々続けているという誇りから出た言葉だった。 周囲を敵国に囲まれたイスラエルは一瞬たりとも気を抜けない状況に置かれており、だからこそモサドは世界で最も優秀な諜報機関であり続ける。国民が危機感を共有し、情報を集めるエージェントたちは「国の運命を決める最前線の兵士」だという認識が失われないのである。※SAPIO2013年2月号
2013.01.18 16:00
SAPIO
オバマの体たらくでイスラエルが行動する可能性と落合信彦氏
オバマの体たらくでイスラエルが行動する可能性と落合信彦氏
 中東・北アフリカのイスラム圏で反米デモ、暴動が止まらない。この動きは他の地域に波及する可能性があるとジャーナリストの落合信彦氏は指摘する。以下、落合氏の解説だ。 * * * まず、反米暴動の背景を読み解く必要がある。 直接の引き金となったのは、イスラム教の預言者ムハンマドを侮辱した映画『イノセンス・オブ・ムスリムズ』だった。映画については当初、イスラエルのユダヤ人が製作・監督を務めたという情報が流れた。イスラム教を侮辱する内容だから、「いかにもイスラエルやユダヤ人がやりそうなこと」と考えるかもしれないが、そう単純ではない。 言葉は悪いが、インテリジェンスの世界は「何でもあり」だ。自国の利益のみが正義であり、道徳的な価値観は関係ない。 例えば、今回のような映画を「中国人が作った」という情報を流し、実際そうであるような痕跡を残せば、イスラム圏では一斉に反中国暴動の連鎖が起きるだろう。パキスタンに触手を伸ばし、イスラム圏にまで影響力拡大を目論む中国の力を削ぎたい国が、そうした工作を行なう可能性は十分にある。 今回のリビア領事館襲撃はアルカイダの一派によるものであることが確定的だ。アメリカでは映画の予告編動画をYouTubeにアップロードしたとされるエジプト系アメリカ人が当局に連行されたが、一連の流れを考えればアメリカへの憎悪を掻き立てたいと考えたイスラム原理主義者によって映画が作られた可能性すら排除できない。リビアで領事館が襲われたのは、あの米同時多発テロと同じ9.11だった。 残念ながらオバマにはそこまで深く考える能力はない。背景を理解しようとせず、表面の事象にあたふたと対症療法を施すだけであった。 オバマは昨年の「アラブの春」の際も何もしなかった。アメリカは批判を怖れて各国の政変に影響力を及ぼすことを放棄したのだ。その結果、春は来ずにイスラム原理主義が台頭する「アラブの嵐」が起こり、これからは冬がやってくる。  それはさらなる混乱の引き金にすらなる。オバマの体たらくに業を煮やしたイスラエルが行動を起こす可能性が高まっているからだ。 イスラエルは地続きでイスラム教国家に囲まれる。国を守る意識の高さはアメリカや日本の比ではない。周囲の国々で原理主義者の力が高まるのをアメリカが見過ごすのであれば、イスラエルにとって国家存亡の危機だ。さしあたって最大の脅威は核開発を進めるイランであり、アメリカの制止を振り切ってイラン攻撃に踏み切る「Xデー」はそう遠くない。 9月下旬、イスラエル首相のネタニヤフは国連総会で訪米するにあたってオバマに首脳会談を求めたが、「スケジュールの調整がつかない」と断わられた。これは「イランを攻撃するなら単独でやれ」というシグナルとして受け止められたことだろう。 実際、イスラエルは単独でイランの核施設を叩くだけの戦力を有す。 空爆にはアメリカの空中給油機が必要と言われるが、イスラエルは既にボーイング機を改造した自前の給油機を用意し、核弾頭付きのミサイルを搭載できる潜水艦を配備する。また地対地のジェリコ・ミサイル2の射程は2000~5000kmある。 加えてイスラエルにはモサドという世界最強のインテリジェンス機関がある。1981年にイスラエルがイラクの原子炉を空爆した際には、諜報員が正確な情報を本国にあげていたため、すべての爆弾がターゲットに命中。イスラエルのF-15とF-16は無傷で帰還した。 危機意識を持って「ケンカ」ができる国家は常に戦争の準備をしているし、インテリジェンス機関はそのために欠かせない。 イスラエル元首相のアリエル・シャロンはかつて私のインタビューに「アメリカは友好国だが同盟国ではない」と語ったことがある。さらに、「アメリカと同盟国となり一緒に戦えば、それによって制約が生まれて我が軍が敗れるかもしれないからだ」 と言い切った。自国の戦力とインテリジェンスへの自信を示す言葉だった。「有事にはアメリカが守ってくれる」と思考停止する日本とは天と地ほど違う。 ※SAPIO2012年11月号
2012.10.25 16:00
SAPIO
モサドの強みは世界を敵に回してでも生き残る国是と佐藤優氏
モサドの強みは世界を敵に回してでも生き残る国是と佐藤優氏
 中国大使館元書記官の“スパイ疑惑”が浮上し、世界各国のインテリジェンス機関に注目が集まっている。各国のインテリジェンス機関を知る元外務省主任分析官・佐藤優氏は、中でもイスラエルのインテリジェンス機関・モサド(諜報特務庁)やシンベト(保安局)、アマン(軍事諜報局)が実に優秀だと指摘する。その理由はどこにあるのか。佐藤氏が解説する。 * * * イスラエルのインテリジェンス機関が強力な理由は、この国が特別の使命を持っているからである。 独自国家を持っていなかったため、第二次世界大戦中に600万人のユダヤ人が殺害された。この経験を踏まえてイスラエルは、イスラエル国民(そこにはユダヤ人だけでなくキリスト教徒、イスラーム教徒のアラブ人もいる)に加え、全世界のユダヤ人を擁護するという特別の使命を持っている。「全世界に同情されながら滅亡するよりも、全世界を敵に回して戦ってでも生き残る」ということをイスラエルは国是にしている。そのためイスラエルのインテリジェンス機関は、全世界のユダヤ人ネットワークを活用することができる。このネットワークは、単に情報を入手するためだけでなく、他の民族の内在的論理を世界各地に居住するユダヤ人の同胞から教えてもらうためにも活用できる。 日本が対外インテリジェンス機関をつくる際に、モサドから学ぶべきことが多くある。※SAPIO2012年7月18日号
2012.07.15 16:00
SAPIO

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