国内

木嶋佳苗 最終弁論は山口百恵引退シーンのような気配あった

 コンカツ詐欺で三人の男性を殺害したとして、一審で死刑判決が出た木嶋佳苗被告(37歳)。100日間の裁判を傍聴し続け、「毒婦。」(朝日新聞出版)を上梓した、文筆家で女性用アダルトグッズショップ「ラブピースクラブ」代表の北原みのりさんが、「私と佳苗」について語った。(聞き手=ノンフィクション・ライター神田憲行)

 * * *

−−判決が出た後、佳苗被告が朝日新聞記者に送った「手記」が話題になりました。読んでみて北原さんの感想はいかがでしょうか。

北原:いろんな複雑な想いがあるんですが、ひと言でいうと気味が悪い。手記の中では他の人が読んでも気づかないような、私に向かってボールを投げているところがあるんです。

−−というと?

北原:私が連載していた傍聴記の中で佳苗被告の北海道の実家について「ソファもない2LDKの小さいな家」と、記述を間違えたところがあるんですが、佳苗被告は「手記」の中で「自分の家は3LDKでした、私はソファが大好きでした」と書いているんです。

「手記」にわざわざ実家の間取りとか書かないじゃないですか。だから私の間違いを直しているんだな、と。私のルポをなぞるような、私の方が知っているわよ、みたいな内容でした。

 また、「突然面会に来る無礼な人とは会わない」ともありましたが、あれは拘置所に2回面会に行って拒否された私のことだな(笑)。私は彼女に「あなたのことをもっと知って書きたい」と手紙を出したんですが、「手記」は「私のことは私が書きます」という答えのように思えました。

−−それで「手記」で彼女のことがわかりましたか?

北原:全然見えてこない。彼女は自分の嘘のセレブ生活を綴ったブログを書いていたんですが、それにそっくりなんです。難しい言葉で、世間の「良識的な価値観」を語っているだけ。

 裁判で見せた彼女は、「女は早く結婚して子供を作るのが幸せだ」という価値観もあるし、「女はもっと性的に自由に生きるのも良いんだ」という価値観も一緒にあった。「手記」を読んでいて、あそこまで本当の自分がない人がいるのかと、恐怖すら感じました。

 佳苗被告の中学の卒業文集のタイトルが「佳苗、15歳」というのですが、「手記」は「佳苗、拘置所」みたいな感じ。最終弁論のときでも、「弁護士のみなさんありがとうございました、佳苗は幸せでした」って感じで、山口百恵が引退コンサートでマイクを置くような気配がありました。ああ、徹底的にこの人はズレているなという印象は最初から今も変わりません。

関連記事

トピックス

割れた窓ガラス
「『ドン!』といきなり大きく速い揺れ」「3.11より怖かった」青森震度6強でドンキは休業・ツリー散乱・バリバリに割れたガラス…取材班が見た「現地のリアル」【青森県東方沖地震】
NEWSポストセブン
前橋市議会で退職が認められ、報道陣の取材に応じる小川晶市長(時事通信フォト)
《前橋・ラブホ通い詰め問題》「これは小川晶前市長の遺言」市幹部男性X氏が停職6か月で依願退職へ、市長選へ向け自民に危機感「いまも想像以上に小川さん支持が強い」
NEWSポストセブン
3年前に離婚していた穴井夕子とプロゴルァーの横田真一選手(Instagram/時事通信フォト)
《ゴルフ・横田真一プロと2年前に離婚》穴井夕子が明かしていた「夫婦ゲンカ中の夫への不満」と“家庭内別居”
NEWSポストセブン
二刀流かDHか、先発かリリーフか?
【大谷翔平のWBCでの“起用法”どれが正解か?】安全策なら「日本ラウンド出場せず、決勝ラウンドのみDHで出場」、WBCが「オープン戦での調整登板の代わり」になる可能性も
週刊ポスト
高市首相の発言で中国がエスカレート(時事通信フォト)
【中国軍機がレーダー照射も】高市発言で中国がエスカレート アメリカのスタンスは? 「曖昧戦略は終焉」「日米台で連携強化」の指摘も
NEWSポストセブン
テレビ復帰は困難との見方も強い国分太一(時事通信フォト)
元TOKIO・国分太一、地上波復帰は困難でもキャンプ趣味を活かしてYouTubeで復帰するシナリオも 「参戦すればキャンプYouTuberの人気の構図が一変する可能性」
週刊ポスト
世代交代へ(元横綱・大乃国)
《熾烈な相撲協会理事選》元横綱・大乃国の芝田山親方が勇退で八角理事長“一強体制”へ 2年先を見据えた次期理事長をめぐる争いも激化へ
週刊ポスト
2011年に放送が開始された『ヒルナンデス!!』(HPより/時事通信フォト)
《日テレ広報が回答》ナンチャン続投『ヒルナンデス!』打ち切り報道を完全否定「終了の予定ない」、終了説を一蹴した日テレの“ウラ事情”
NEWSポストセブン
青森県東方沖地震を受けての中国の反応は…(時事通信フォト)
《完全な失敗に終わるに違いない》最大震度6強・青森県東方沖地震、発生後の「在日中国大使館」公式Xでのポスト内容が波紋拡げる、注目される台湾総統の“対照的な対応”
NEWSポストセブン
安福久美子容疑者(69)の高場悟さんに対する”執着”が事件につながった(左:共同通信)
《名古屋主婦殺害》「あの時は振ってごめんねって会話ができるかなと…」安福久美子容疑者が美奈子さんを“土曜の昼”に襲撃したワケ…夫・悟さんが語っていた「離婚と養育費の話」
NEWSポストセブン
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
週刊ポスト
優勝パレードでは終始寄り添っていた真美子夫人と大谷翔平選手(キルステン・ワトソンさんのInstagramより)
《大谷翔平がWBC出場表明》真美子さん、佐々木朗希の妻にアドバイスか「東京ラウンドのタイミングで顔出ししてみたら?」 日本での“奥様会デビュー”計画
女性セブン