国内

ヤクザもネット活用する時代 山口組が麻薬追放サイト運営も

 21世紀はインテリジェンス(諜報)を駆使した「武器なき戦争」の時代だといわれる。その流れは“暴力”を生業にするヤクザも例外ではない。山口組の分裂騒動は、インターネットを駆使した新時代の“抗争”に突入した。フリーライター・鈴木智彦氏がレポートする。

 * * *
 分裂直後、山口組の実力派が拮抗する大阪でも、神戸山口組系の一団が敵対する直参組織前で示威行為をしていたことが確認されている。神戸側の先鋭部隊はそのまま東進し、数日後、甲信越組織で目撃された。さらにその後、名古屋に姿を見せたという噂が流れ、暴力団社会は騒然とした。
 
 名古屋は司忍六代目の出身母体である弘道会の地元で、いわば敵の本丸に乗り込んだ形になる。噂が事実なら土足で母屋に侵入したに等しく、明確な挑発行為だ。山一抗争(※注)当時に同様のことをすれば、即座に事件になっただろう。いまでもこうしたゴタゴタが積もり積もれば事件が起きる。現在は双方ともに「こちらから攻撃は仕掛けない」と明言していても、最後は暴力のぶつかり合いになる。

【※注:1984年に竹中正久組長が四代目を襲名したことに反発した反竹中派が「一和会」を結成。竹中組長は一和会に殺害されたが、山口組の報復が激化。1989年の終結までに双方で25人もの死者を出した】
 
「東京は血の海になるでしょう」などとTwitterでつぶやいて急激にフォロワーを増やし(フォロワー2万人以上)、活発に発言している「組長」なる人物が、神戸側の人間と宣言していることは以前触れた。時事ネタと洒脱な会話でファンを増やしながら彼は頻繁に敵地である名古屋を訪問し、証拠となる写真も投稿している。
 
 写真を偽造するのは簡単だが、9月16日には突然、携帯電話のGPS機能を使った位置情報をONにした。どこにいるかはっきり証拠を残したわけで、「名古屋なう」という刺激的な投稿もあった。

 個人で匿名のSNSなら笑い話かもしれない。が、いまやヤクザも組織立ってネットを使う時代だ。山口組は非公式の建前ながら「麻薬追放国土浄化同盟」というサイトを運営しているし、組の行事をYouTubeにもアップしている。山口組本部の取材の際、最前列にカメラを持った組員を見かけることも多い。

 ネットばかりか、「山口組新報」という機関紙も復刊させている。離脱派の拠点のすぐ近くまで出向き、写真を撮影し、こうした媒体に掲載すれば十分な挑発になる。神戸山口組も対抗して公式サイトや機関紙を制作する可能性はある。

 ネットを駆使した新時代の情報戦が始まっていることは間違いない。

※週刊ポスト2015年10月9日号

関連記事

トピックス

祭りに参加した真矢と妻の石黒彩
《夫にピッタリ寄り添う元モー娘。の石黒彩》“スマホの顔認証も難しい”脳腫瘍の「LUNA SEA」真矢と「祭り」で見せた夫婦愛、実兄が激白「彩ちゃんからは家族写真が…」
NEWSポストセブン
高市早苗氏はどうなるのか(写真/EPA=時事)
自民党総裁選を優位に進める小泉進次郎氏、悩ましいのはライバル高市早苗氏の処遇 実権をもたない“名ばかり幹事長”に祭りあげる構想も
週刊ポスト
群馬県前橋市の小川晶市長(42)が部下とラブホテルに訪れていることがわかった(左/共同通信)
《目撃者が明かす一部始終》「後ろめたいことがある人の行動に見えた」前橋・女性市長の“ラブホ通い詰め”目撃談、市議会は「辞職勧告」「続投へのエール」で分断も
NEWSポストセブン
本誌記者の直撃に答える田中甲・市長
【ダミー出馬疑惑】田中甲・市川市長、選挙でライバル女性候補潰しのために“ダミー”の対立女性候補を“レンタル”で擁立した疑惑浮上 当の女性は「頼まれて出馬したのか」に「イエス」と回答
週刊ポスト
崖っぷちの同級生コンビ(左から坂本勇人、田中将大)
巨人・阿部監督を悩ませる田中将大&坂本勇人のベテラン同級生コンビ 士気に関わる“来季の年俸” OBは「チームの足かせになっているのは間違いない」
週刊ポスト
小泉進次郎氏ならではの“切り札”があるという(時事通信フォト)
自民党総裁選を優勢に進める小泉進次郎氏 他陣営を切り崩す「大臣手形」という“切り札”、最重要ターゲットは麻生太郎氏、岸田文雄氏、菅義偉氏の3長老
週刊ポスト
(インスタグラムより)
《8年の歴史に幕》『激レアさん』が業界と視聴者に与えた“インパクト” 「一般人は面白い」という再認識、弘中アナが広げた女性アナ活躍の可能性 
NEWSポストセブン
トラブルが発生した人気ラーメン店
「2度と行きません」埼玉県内の人気ラーメン店でトラブル…当事者A氏が語ったトラブル経緯、常連客は“研究熱心”な店主が「沈黙守る理由」を代弁
NEWSポストセブン
今年8月に村議に初当選した佐々木さん(本人インスタグラムより)
「都会より出会いが多い」「兼業は当たり前」…人口160人の“絶海の孤島”、青ヶ島在住で村議に初当選した女性(41)が語ったリアルな島生活
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
司忍組長も“寵愛”する六代目山口組「弘道会」の野内正博・新会長の素顔 「けじめつけるために自ら指を切断して…」
NEWSポストセブン
地区優勝を果たした大谷と、支えた真美子さん
《大谷翔平のポルシェに乗ってお買い物》真美子さんがシーズン終盤に取り寄せた“夫の大好物”、試合後は一目散に帰宅でくつろぐ「安心の自宅」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 「進次郎内閣」の長老支配「閣僚名簿」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 「進次郎内閣」の長老支配「閣僚名簿」ほか
NEWSポストセブン