国際情報

宮崎県の塔の石材 日中市民団体が連帯し中国への返還を要求

 中国が主張する、いわゆる「南京大虐殺」が、ユネスコの世界記憶遺産に登録された。この影響もあってか、宮崎の「平和の塔」に中国側が突然、石材を返還せよと求めてきた。ジャーナリストの小川寛大氏が、この騒動の現場からレポートする。

 * * *
 宮崎県宮崎市の郊外に「八紘一宇の塔」と呼ばれる塔がある。戦前に建てられた高さ約40メートルの石塔で、表面に大東亜戦争のスローガンにもなった“八紘一宇(「世界は一つの家である」という意味)”の文字が刻まれている。もっとも、地元の人たちの間ではそうした歴史的経緯は関係なく、「平和の塔」という名前に変わったいまも、「八紘一宇の塔」として親しまれている。

 ところがいま、この歴史遺産に中国側が突然、クレームをつけ、地元が騒然となっている。

 塔を管理する宮崎県庁に、中国側から抗議がもたらされたのは、今年10月1日のこと。中国・南京市の民間団体「南京民間抗日戦争博物館」から、「“侵略戦争の象徴”である八紘一宇の塔には中国から戦争中に“略奪”された石材が使われている。中国に返還せよ」という趣旨の要求があった。塔を管理する宮崎県庁都市計画課の担当者は困惑した面持ちでいう。

「戦争の時代に作られたものではありますが、中国のみならず韓国や北朝鮮、台湾からも抗議が来たことはない。戦後70年、特に問題になったことはなく、このような要求は初めてです」

 塔の近くに住むという男性も「何をいまさらという感じが強い」と釈然としない表情。いったいこの突然の要求の背景には、何があるのだろうか。現在、塔の付近一帯は「平和台公園」という名前で、宮崎県民の憩いの場として整備されている。

「初代天皇である神武天皇が即位されてから2600年目となる昭和15(1940)年に、天孫降臨の地である宮崎県にその記念碑を建てようという地域運動の中から作られたものです」

 塔の歴史に詳しい、宮崎神宮権宮司の黒岩昭彦氏はそう解説する。

関連記事

トピックス

米利休氏のTikTok「保証年収15万円」
東大卒でも〈年収15万円〉…廃業寸前ギリギリ米農家のリアルとは《寄せられた「月収ではなくて?」「もっとマシなウソをつけ」の声に反論》
NEWSポストセブン
埼玉では歩かずに立ち止まることを義務づける条例まで施行されたエスカレーター…トラブルが起きやすい事情とは(時事通信フォト)
万博で再燃の「エスカレーター片側空け」問題から何を学ぶか
NEWSポストセブン
趣里と父親である水谷豊
《趣里が結婚発表へ》父の水谷豊は“一切干渉しない”スタンス、愛情溢れる娘と設立した「新会社」の存在
NEWSポストセブン
SNS上で「ドバイ案件」が大騒動になっている(時事通信フォト)
《ドバイ“ヤギ案件”騒動の背景》美女や関係者が証言する「砂漠のテントで女性10人と性的パーティー」「5万米ドルで歯を抜かれたり、殴られたり」
NEWSポストセブン
事業仕分けで蓮舫行政刷新担当大臣(当時)と親しげに会話する玉木氏(2010年10月撮影:小川裕夫)
《キョロ充からリア充へ?》玉木雄一郎代表、国民民主党躍進の背景に「なぜか目立つところにいる天性の才能」
NEWSポストセブン
“赤西軍団”と呼ばれる同年代グループ(2024年10月撮影)
《赤西仁と広瀬アリスの交際》2人を結びつけた“軍団”の結束「飲み友の山田孝之、松本潤が共通の知人」出会って3か月でペアリングの意気投合ぶり
NEWSポストセブン
米利休氏とじいちゃん(米利休氏が立ち上げたブランド「利休宝園」サイトより)
「続ければ続けるほど赤字」とわかっていても“1998年生まれ東大卒”が“じいちゃんの赤字米農家”を継いだワケ《深刻な後継者不足問題》
NEWSポストセブン
田村容疑者のSNSのカバー画像
《目玉が入ったビンへの言葉がカギに》田村瑠奈の母・浩子被告、眼球見せられ「すごいね。」に有罪判決、裁判長が諭した“母親としての在り方”【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
アメリカから帰国後した白井秀征容疑(時事通信フォト)
「ガイコツが真っ黒こげで…こんな残虐なこと、人間じゃない」岡崎彩咲陽さんの遺体にあった“異常な形跡”と白井秀征容疑者が母親と交わした“不穏なメッセージ” 〈押し入れ開けた?〉【川崎ストーカー死体遺棄】
NEWSポストセブン
赤西と元妻・黒木メイサ
《赤西仁と広瀬アリスの左手薬指にペアリング》沈黙の黒木メイサと電撃離婚から約1年半、元妻がSNSで吐露していた「哺乳瓶洗いながら泣いた」過去
NEWSポストセブン
元交際相手の白井秀征容疑者からはおびただしい数の着信が_(本人SNS/親族提供)
《川崎ストーカー死体遺棄》「おばちゃん、ヒデが家の近くにいるから怖い。すぐに来て」20歳被害女性の親族が証言する白井秀征容疑者(27)の“あまりに執念深いストーカー行為”
NEWSポストセブン
不倫疑惑が報じられた田中圭と永野芽郁
《永野芽郁のほっぺたを両手で包み…》田中圭 仲間の前でも「めい、めい」と呼ぶ“近すぎ距離感” バーで目撃されていた「だからさぁ、あれはさ!」
NEWSポストセブン