「本人は来年1月から始まる東京・歌舞伎公演で本格復帰するつもりでいるが、まだ数回の手術が必要で、どこまで演じられるかも分からない。猿之助は指先の動きでの表現力が持ち味。“左腕が元通りにならなければ本格復帰は難しい”と不安の声が上がっています」(前出・関係者)
それにしても歌舞伎界を襲う不幸は不気味なほどに止まらない。中村勘三郎(享年57)、市川團十郎(享年66)、坂東三津五郎(享年59)などベテラン歌舞伎役者たちが若くして相次いで亡くなったことに続き、若手でも市川海老蔵(39)の妻・小林麻央が今年6月に亡くなり、中村獅童(45)も今年5月、肺腺がんになった。そこで今一番の実力派と言われる猿之助の長期欠場はあまりに痛い。
「2010年4月に旧歌舞伎座(東京・銀座)を閉場したのを機に不幸が相次いだことから、“歌舞伎座の呪い”と呼ばれています。梨園関係者は『まだ呪いは続くのか』と気味悪がっています」(同前)
最も憂慮されるのは、猿之助を欠いた一門「澤瀉屋(おもだかや)」の今後である。
「先代・市川猿之助(現・猿翁)が歌舞伎を現代風にアレンジした『スーパー歌舞伎』を確立したことで、澤瀉屋は脚光を浴びましたが、息子の香川照之(市川中車)が歌舞伎界に入ったことで関係がギクシャクし、長年、先代を支えた市川右團次(元・市川右近)が今年、事実上独立してしまったばかり。香川は歌舞伎役者としてはキャリアが浅く、澤瀉屋を一人で支えていくには荷が重い。それだけに猿之助の不在は澤瀉屋、さらにはスーパー歌舞伎の存続危機です」(歌舞伎関係者)
ケガの状況について事故が起きた新橋演舞場は「すでに数回、左腕の手術をしております。復帰の時期については分かりません」というのみ。スーパーな復活劇を祈るしかない。
※週刊ポスト2017年10月27日号