ライフ

新聞は記者クラブに守られ「ダサい」存在になったと茂木氏

 先の民主党代表選では、新聞・テレビが「菅氏優勢」と報じたものの、ネットでは「小沢ブーム」が起こっていた。結果的に菅氏が勝利し、いま、旧来型のメディアとインターネットはどんな関係になるのか。脳科学者の茂木健一郎氏が解説する。

*****************************
 新聞やテレビなどのメディアについては、従来、権力のあり方をチェックし、時流を読み、これからの国のあり方についてのヴィジョンを示す役割が期待されてきた。実際、そのような力を示した時代もあったが、今や、インターネット上の「改革派」から、すっかり時代遅れの存在と見なされてしまっている。

 かつて、マスメディアといえば新聞やテレビしかなかった。インターネットの出現により、メディア状況が激変しつつある。新たな書き手、今までとは異なる情報の流通ルートが表舞台に躍り出るに従って、新聞やテレビの旧い体質が浮き彫りにされた。

 象徴的なのが、「記者クラブ」制度。それなりの歴史的経緯を背景に誕生したこのシステムは、もはや単なる「談合」組織、自分たちの既得権益を守るための「排除の屁理屈」だとしか見なされていない。限られたメディアによって取材を「独占」し、記事の内容までも各社で「読み合わせる」といった実態が明らかになるにつれて、新聞の「社会の木鐸」としての信用は、地に堕ちていった。

 インターネットは、「自由競争」のメディアである。どんな書き手でも、耳を傾けるべき意見を持っていればアクセスが増え、社会の中に「拡散」していく。そのような時代のエートス(道徳的規範)から見て、「記者クラブ」に守られて十年一日のごとき記事を書き散らす新聞はすっかり「ダサイ」存在になってしまった。若者たちの新聞離れは深刻であり、よほど思い切った改革をしなければ、影響力の低下は止められそうもない。

 先の民主党代表選挙で、菅直人氏に反発する動きがネット上で広がったのも、以上のようなメディアの変質と関係している。菅氏は、旧体制の象徴である新聞やテレビが「好む」候補であった。一方、小沢一郎氏は、記者クラブの廃止を明言していることもあり、「改革派」だと見なされた。

 いわば、「ネット」と「新聞」の対決。今回は「新聞」側に軍配が上がったが、今後はどうなるかわからない。

 マインドセット(人間が自分と世界のかかわりについて考える際の「枠組み」のようなもの)の変化はゆったりしているが、一度動き出すと多くの場合不可逆。日本の社会はこれからどのように変わっていくのか。私たちの将来がかかっている。

※週刊ポスト2010年10月15日号

関連記事

トピックス

2025年に成年式を終えられた悠仁さま
《皇族一人あたりの警備費が表に出ないワケ》悠仁さま「公務全出席」報道で「警備費」に懸念も──側衛との意外な関係 
NEWSポストセブン
女優の天野はな(左)と木竜麻生(右)(事務所HPより)
《朝ドラや大河だけじゃなかった》天野はな、木竜麻生、森田望智、伊藤万理華…NHKによる「見い出し・囲い込んで・育てる」パターンでブレイクするアラサー女優たち
NEWSポストセブン
「住吉会幸平一家特別対策本部」の看板を設置する警視庁暴力団対策課の葛城俊英課長(右)と大場俊彦管理官(時事通信フォト)
《トクリュウと暴力団》四次団体の組長クラス「上納金払えない…」で手を染めることも 「ヤクザは闇バイト禁止」も住吉会から逮捕者多数か
NEWSポストセブン
(朝鮮通信=時事)
《顔が変わった?》北朝鮮・金正恩総書記の愛娘ジュエ氏「あか抜けて、口元には上品さも」85日ぶり登場で“驚きの姿”──成長期かそれとも……バツグンの存在感を発揮 
NEWSポストセブン
秋篠宮ご夫妻と佳子さまが揃って会場を訪れるのは今年で4回目となる、花の展覧会。今年は栃木県の県花のヤシオツツジや栃木県産のカーネション、バラを使った作品をご覧になった (撮影/JMPA)
秋篠宮ご夫妻と佳子さま、花に囲まれ笑顔満開 『関東東海花の展覧会』をご鑑賞、フォトブースでは一家揃って記念撮影も 
女性セブン
1992年、黒海艦隊の取材でクリミアを訪れた(撮影/山本皓一)
《追悼・落合信彦氏》エルサレムでは銃撃に遭遇したことも… それでもなお現場取材を続けた理由「“今”を必死で生きる気持ちを忘れないでいたいから」の言葉
週刊ポスト
2025年11月、ホーコン王太子とメッテ=マリット妃
《彼女は17歳だよ。きっと楽しいと思う》ノルウェー王室激震、エプスタイン元被告と次期王妃の“黒塗り”メール――息子マリウスは“性的暴行”裁判渦中 
NEWSポストセブン
現地では大きな問題に(時事通信フォト)
《トゥクトゥク後部座席での行為にタイ現地の人々が激怒》フランス人観光客の“公開露出”に目撃者は「丸見えだった」 入国ブラックリストに
NEWSポストセブン
父・落合信彦氏の葬儀で喪主を務めた落合陽一氏
「落合信彦の息子という記述を消し続ける時代があった」落合陽一氏が明かした、父について語り始めた理由“人の真価は亡くなった時に分かる”【インタビュー】
NEWSポストセブン
本来であれば、このオフは完成した別荘で過ごせるはずだった大谷翔平(写真/アフロ)
《大谷翔平のハワイ訴訟問題》原告は徹底抗戦、大谷サイドの棄却申し立てに証拠開示を要求 大谷の“ギャラなどの契約内容”“資産運用の内幕”が晒される可能性も浮上 
女性セブン
表舞台から姿を消して約1年が経つ中居正広
《キャップ脱いだ白髪交じりの黒髪に…》「引退」語った中居正広氏、水面下で応じていた滝沢秀明氏からの“特別オファー” 
NEWSポストセブン
中村獅童と竹内結子さん(時事通信フォト)
《一日として忘れたことはありません》中村獅童、歌舞伎役者にならなかった「竹内結子さんとの愛息」への想い【博多座で親子共演】
NEWSポストセブン