国内

フジタ社員解放は、胡錦濤氏も認める「小沢氏の人脈」のおかげ

 小沢一郎氏はこの20年で多くの挫折と失脚を経験しながら、一貫して「オレは革命的な改革をやる」と語り続けて復権を果たしてきた。その信念は、小沢氏が培ってきた人脈と独自のブレーン集団、そして数々の修羅場をくぐってきた経験という「政治的資産」に裏打ちされている。小沢氏が外交思想を端的に語ったのが次の言葉だ。

「中国にも米国にも、揉み手をして笑っているのでは軽蔑される一方だ。いうべきことをいえば相手は話を聞く」
 
 実践もしてきた。2008年2月、民主党代表だった小沢氏は韓国で開かれた国際シンポジウムで基調講演を行なった。その中で、中国の領土拡大、軍事力増強に懸念を示したうえで、「中国の共産党一党独裁体制は必ず絶対的矛盾に直面する」と指摘し、政治腐敗や格差による中国の国内混乱が世界的規模の動乱につながると警鐘を鳴らした。これが日本の他の政治家なら、中国側は「内政干渉だ」と猛反発しただろう。

 ところが、中国側は講演翌日に唐家セン(センは王偏に施)国務委員(元外相)が小沢氏を訪ね、その席で「経済、政治、文化、社会の改革を行なっていきたい。政治体制の改革もそこに含まれる」と、率直に反省を口にした。昨年末に民主党の大議員団を率いて訪中した際にも、小沢氏は梁光烈・国防相を相手に、「日本でも中国脅威論という名の下に防衛力強化の意見が根強くある」と中国の軍拡を牽制した。それでも、胡錦濤・国家主席は小沢氏を「長期にわたって中国共産党との架け橋として重要な貢献をされている」と尊重してみせた。

 小沢氏がいうべきことをいえるのは、自民党幹事長時代の1989年から、「長城計画」という日中の青少年交流事業を主宰して中国共産党に太い人脈を築いてきたからだ。小沢氏の下で「長城計画」の事務責任者を務めてきた細野豪志・代議士の訪中を機に、拘束されていたフジタ社員3人が解放され、ASEMで菅首相と温家宝・首相の“会談”が実現したのは、「小沢さんの人脈なしには無理だった」(民主党国際局元幹部)と見られているのは当然だ。
 
※週刊ポスト2010年10月22日号

関連記事

トピックス

復帰会見をおこなった美川憲一
《車イス姿でリハビリに励み…》歌手・美川憲一、直近で個人事務所の役員に招き入れていた「2人の男性」復帰会見で“終活”にも言及して
NEWSポストセブン
遠藤敬・維新国対委員長に公金還流疑惑(時事通信フォト)
公設秘書給与ピンハネ疑惑の維新・遠藤敬首相補佐官に“新たな疑惑” 秘書の実家の飲食店で「政治資金会食」、高額な上納寄附の“ご褒美”か
週刊ポスト
高市早苗首相(時事通信フォト)
高市早苗首相の「官僚不信」と霞が関の警戒 総務大臣時代の次官更迭での「キツネ憑きのようで怖かった」の逸話から囁かれる懸念
週刊ポスト
男気を発揮している松岡昌宏
《国分騒動に新展開》日テレが急転、怒りの松岡昌宏に謝罪 反感や逆風を避けるための対応か、臨床心理士が注目した“情報の発信者”
NEWSポストセブン
水原受刑者のドラマ化が決定した
《水原一平ドラマ化》決定した“ワイスピ監督”はインスタに「大谷応援投稿の過去」…大谷翔平サイドが恐れる「実名での映像化」と「日本配信の可能性」
NEWSポストセブン
山本由伸選手とモデルのNiki(Instagramより)
「球場では見かけなかった…」山本由伸と“熱愛説”のモデル・Niki、バースデーの席にうつりこんだ“別のスポーツ”の存在【インスタでは圧巻の美脚を披露】
NEWSポストセブン
モンゴル訪問時の写真をご覧になる天皇皇后両陛下(写真/宮内庁提供 ) 
【祝・62才】皇后・雅子さま、幸せあふれる誕生日 ご家族と愛犬が揃った記念写真ほか、気品に満ちたお姿で振り返るバースデー 
女性セブン
村上迦楼羅容疑者(27)のルーツは地元の不良グループだった(読者提供/本人SNS)
《型落ちレクサスと中古ブランドを自慢》トクリュウ指示役・村上迦楼羅(かるら)容疑者の悪事のルーツは「改造バイクに万引き、未成年飲酒…十数人の不良グループ」
NEWSポストセブン
現在は三児の母となり、昨年、8年ぶりに芸能活動に本格復帰した加藤あい
《現在は3児の母》加藤あいが振り返る「めまぐるしかった」CM女王時代 海外生活を経験して気付いた日本の魅力「子育てしやすい良い国です」ようやく手に入れた“心の余裕”
週刊ポスト
熊本県警本部(写真左:時事通信)と林信彦容疑者(53)が勤めていた幼稚園(写真右)
《親族が悲嘆「もう耐えられないんです」》女児へのわいせつ行為で逮捕のベテラン保育士・林信彦容疑者(53)は“2児の父”だった
NEWSポストセブン
リクルート社内の“不正”を告発した社員は解雇後、SNS上で誹謗中傷がやまない状況に
リクルートの“サクラ行為”内部告発者がSNSで誹謗中傷の被害 嫌がらせ投稿の発信源を情報開示した結果は“リクルートが契約する電話番号” 同社の責任が問われる可能性を弁護士が解説
週刊ポスト
上原多香子の近影が友人らのSNSで投稿されていた(写真は本人のSNSより)
《茶髪で缶ビールを片手に》42歳となった上原多香子、沖縄移住から3年“活動休止状態”の現在「事務所のHPから個人のプロフィールは消えて…」
NEWSポストセブン