国際情報

櫻井氏 日本は中国と対立する国と「海洋諸国連合」を結ぶべき

 今国会で答弁に立った菅直人首相は、尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件の対応をめぐる野党の追及に、自信満々の様子でこう答えた。「私と温家宝首相との懇談で戦略的互恵関係の推進を改めて確認した」―― 明らかに菅民主党政権は、「融和ムード」を演出しようとしている。しかし、ジャーナリストの櫻井よしこ氏は、「日本の立場を曲げて推進する戦略的互恵関係など無意味で、菅政権の対中外交は決定的な敗北外交だ」と指摘する。

******************************
 振り返れば、中国に対して外交的な敗北を繰り返してきたのは、日本だけではありません。チベット、ウイグルはもちろん、ベトナム、インドネシアなどアジア諸国も、ことごとく中国にしてやられ続けています。本誌前号で述べたように、インドネシアも南シナ海で、中国の軍事的圧力により、拿捕した中国漁船を解放させられました。

 史実も現実も無視して自分たちが掲げる言葉だけが正しいと考え、それを実現するためには、契約も約束も平気で破る。軍事力、経済力などあらゆる力を動員して相手を屈服させようとする。そんな身勝手な中華帝国主義を押し通す異形の大国に対して、日本がまっとうな国家なら、何としてでも外交のスジを通さなければなりません。

 その場合、日本が独自の対中外交でスジを通すとともに、他国との協力関係を活用して日本の立場を強化することが重要です。南シナ海では、ASEAN諸国が団結し、さらに米国の力を借りて中国に対抗しようとしています。

 日本が対中外交において単独で行ない得ることに限りがあるとすれば、日米の連携はもちろん、韓国やASEAN諸国との関係強化をはかることです。一国で向き合えば経済的、軍事的に非常に強い圧力に晒されますが、多国間で連携できれば、自ずと中国の圧力も弱まります。

 さらにこの中国への対抗軸には、台湾、インド、オーストラリア、ニュージーランドなども含めて、「アジア海洋諸国連合」を目指すのが、日本の生き残りだけではなく、指導的立場の確保につながると考えます。19世紀型の力による領土領海の拡張、いわゆる中華的帝国主義の“被害”に遭っている国が、皆、同じ価値観を持った仲間として連携すべきなのです。

※SAPIO2010年11月10日号

関連記事

トピックス

群馬県前橋市の小川晶市長(42)が部下とラブホテルに訪れていることがわかった(左・Facebookより)
《「打ち合わせ」していたラブホ内部は…》「部屋の半分以上がベッド」「露天風呂つき」前橋・42歳女性市長が既婚の市幹部と入ったラブホテルの内装 
NEWSポストセブン
テーマ事業プロデューサーの河瀨直美さん。生まれ育った奈良を拠点に映画を創り続ける映画作家。パビリオン内で河瀨さんが作業をする定位置は、この“校長室”の机。
【大阪・関西万博・河瀨直美さんインタビュー】“答えのないパビリオン”なぜ人気? アンチから200回来場するリピーターも
NEWSポストセブン
高校時代の青木被告(集合写真)
「ごっつえーナイフ、これでいっぱい人殺すねん」死刑求刑の青木政憲被告が語っていた“身勝手な言い分”、弁護側は「大学生の頃から幻聴」「責任能力ない」と主張【長野立てこもり殺人・公判】
NEWSポストセブン
群馬県前橋市の小川晶市長(42)が部下とラブホテルに訪れていることがわかった(左・Facebookより)
《ちょっと魔性なところがある》“ラブホ通い詰め”前橋・42歳女性市長の素顔「愛嬌がありボディタッチが多い」市の関係者が証言
NEWSポストセブン
「第50回愛馬の日」に出席された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年9月23日、写真/時事通信フォト)
《愛馬の日ご出席》愛子さま、「千鳥格子のワンピース×ネイビーショート丈ジャケット」のセンス溢れる装い ボーダーや白インナーを使った着回しテクも
NEWSポストセブン
戦後80年の“慰霊の旅”を終えられた天皇皇后両陛下(JMPA)
雅子さま、“特別な地”滋賀県を再訪 32年前には湖畔の宿で“相思相愛のラブレター”を綴る 今回も琵琶湖が一望できるホテルに宿泊
女性セブン
群馬県前橋市の小川晶市長(42)が部下とラブホテルに訪れていることがわかった(左・Facebookより)
【ご休憩3時間5700円】前橋・42歳女性市長に部下の市幹部と“連日ラブホ”のワケを直撃取材 “ラブホ経費”約5万円は「(市長が)すべて私費で払っています」
NEWSポストセブン
送検される俳優の遠藤
大麻で逮捕の遠藤健慎容疑者(24)、「絶対忘れらんないじゃん」“まるで兄弟”な俳優仲間の訃報に吐露していた“悲痛な心境”《清水尋也被告の自宅で所持疑い》
NEWSポストセブン
清水容疑者と遠藤容疑者(左・時事通信/右・Instagram)
《若手俳優また逮捕》「突然尋也君に会いたくなる」逮捕の俳優・遠藤健慎がみせた清水尋也被告との“若手俳優のアオい絆”「撮影現場で生まれた強固な連帯感」
今年80歳となったタモリ(時事通信フォト)
《やったことを忘れる…》タモリ、認知症の兆候を明かすなか故郷・福岡に40年所有した複数の不動産を次々に売却「糟糠の妻」「終活」の現在
NEWSポストセブン
提訴された大谷翔平サイドの反撃で新たな局面を迎えた(共同通信)
大谷翔平、ハワイ別荘訴訟は新たな局面へ 米屈指の敏腕女性弁護士がサポート、戦う姿勢を見せるのは「大切な家族を守る」という強い意思の現れか
女性セブン
「LUNA SEA」のドラマー・真矢、妻の元モー娘。・石黒彩(Instagramより)
《大腸がんと脳腫瘍公表》「痩せた…」「顔認証でスマホを開くのも大変みたい」LUNA SEA真矢の実兄が明かした“病状”と元モー娘。妻・石黒彩からの“気丈な言葉”
NEWSポストセブン