国内

大前研一氏 600万円で買った車が半年後に300万円台になり嘆く

 戦後の高度成長で日本は物質的には豊かになったものの、生活の質そのものはグッドライフからほど遠い。今や日本を追いかけるアジア諸国と比べて、日本は「ライフスタイル後進国」になり下がったとさえいえる。そう指摘するのは大前研一氏だ。

*****************************

 かつて私が「平成維新の会」を立ち上げた時、「生活コストを下げて質を上げる」ことを政策提案の基本に据えた。が、今の日本では生活をエンジョイしようとするとコストがロケットみたいに跳ね上がる悲しい現実がある。行政の怠慢は大いに責められるべきだが、実は他にも要因が存在する。

「新品は高く」「中古品は安く」という日本独特の現象だ。とくに顕著なのが住宅で、新築の4000万円の家を買った翌日に転売しようとしても、よほどの優良物件でなければ3000万円ぐらいの値しかつかないだろう。

 欧米やオーストラリアでは買った時が一番安く、その後は上がっていくのが一般的だ。だから投資対象になるし、日本と違って購入後のメンテナンスにも力を注ぐ。日本では、この「新品至上主義」もあって、価値に見合った価格が認められていないのである。

 車も同様で、私の経験では新車価格600万円のレクサスが、半年後の査定で300万円台になった。これがオーストラリアだと、600万円で買い、12年間で20万キロ走ったパジェロに350万円の値がついた。このように中古でも高い値で売れるのが世界の常識であり、住宅や車は貯金に代わる資産でもあるのだ。

「国民の生活が第一」をマニフェストに掲げて政権交代を果たした民主党だが、実際にはバラまき政策によって国の借金を膨らませただけで、生活の向上には何ら貢献していない。党内で「生活の質(QOL=Quality Of Life)」の研究をしている様子もない。

 それを批判することはもちろん大事だが、経済力や技術力に見合った「グッドライフ」を自治体が提供するように生活者は要求すべきである。高いQOLを本気で享受したいのか、その決意が国民に問われている。
 
 ※週刊ポスト2010年11月26日・12月3日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

イベントの“ドタキャン”が続いている米倉涼子
「押収されたブツを指さして撮影に応じ…」「ゲッソリと痩せて取り調べに通う日々」米倉涼子に“マトリがガサ入れ”報道、ドタキャン連発「空白の2か月」の真相
NEWSポストセブン
元従業員が、ガールズバーの”独特ルール”を明かした(左・飲食店紹介サイトより)
《大きい瞳で上目遣い…ガルバ写真入手》「『ブスでなにもできないくせに』と…」“美人ガルバ店員”田野和彩容疑者(21)の“陰湿イジメ”と”オラオラ営業
NEWSポストセブン
「ガールズメッセ2025」の式典に出席された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月19日、撮影/JMPA)
《“クッキリ”ドレスの次は…》佳子さま、ボディラインを強調しないワンピも切り替えでスタイルアップ&フェミニンな印象に
NEWSポストセブン
結婚へと大きく前進していることが明らかになった堂本光一
《堂本光一と結婚秒読み》女優・佐藤めぐみが芸能界「完全引退」は二宮和也のケースと酷似…ファンが察知していた“予兆”
NEWSポストセブン
売春防止法違反(管理売春)の疑いで逮捕された池袋のガールズバーに勤める田野和彩容疑者(21)
《GPS持たせ3か月で400人と売春強要》「店ナンバーワンのモテ店員だった」美人マネージャー・田野和彩容疑者と鬼畜店長・鈴木麻央耶容疑者の正体
NEWSポストセブン
日本サッカー協会の影山雅永元技術委員長が飛行機でわいせつな画像を見ていたとして現地で拘束された(共同通信)
「脚を広げた女性の画像など1621枚」機内で児童ポルノ閲覧で有罪判決…日本サッカー協会・影山雅永元技術委員長に現地で「日本人はやっぱロリコンか」の声
NEWSポストセブン
三笠宮家を継ぐことが決まった彬子さま(写真/共同通信社)
三笠宮家の新当主、彬子さまがエッセイで匂わせた母・信子さまとの“距離感” 公の場では顔も合わさず、言葉を交わす場面も目撃されていない母娘関係
週刊ポスト
タンザニアで女子学生が誘拐され焼死体となって見つかった事件が発生した(時事通信フォト)
「身代金目的で女子大生の拷問動画を父親に送りつけて殺害…」タンザニアで“金銭目的”“女性を狙った暴力事件”が頻発《アフリカ諸国の社会問題とは》
NEWSポストセブン
鮮やかなロイヤルブルーのワンピースで登場された佳子さま(写真/共同通信社)
佳子さま、国スポ閉会式での「クッキリ服」 皇室のドレスコードでは、どう位置づけられるのか? 皇室解説者は「ご自身がお考えになって選ばれたと思います」と分析
週刊ポスト
Aさんの左手に彫られたタトゥー。
《10歳女児の身体中に刺青が…》「14歳の女子中学生に彫られた」ある児童養護施設で起きた“子供同士のトラブル” 職員は気づかず2ヶ月放置か
NEWSポストセブン
知床半島でヒグマが大量出没(時事通信フォト)
《現地ルポ》知床半島でヒグマを駆除するレンジャーたちが見た「壮絶現場」 市街地各所に大量出没、1年に185頭を処分…「人間の世界がクマに制圧されかけている」
週刊ポスト
お騒がせインフルエンサーのボニー・ブルー(インスタグラムより)
「バスの車体が不自然に揺れ続ける」“タダで行為できます”金髪美女インフルエンサー(26)が乱倫バスツアーにかけた巨額の費用「価値は十分あった」
NEWSポストセブン