国際情報

勝谷氏 「中国に対抗するため原潜もって大東亜共栄圏を作れ」

 沈静化の兆しが一向に見えない中国の反日デモ。ついには「収回琉球、解放沖縄」なるプラカードまで出始めた。もはや彼らは“尖閣諸島は陥落した”と思っているのかもしれない。そして中国が次に狙っているのは沖縄だと、コラムニストの勝谷誠彦氏は指摘する。

************************
 支那の「沖縄領有論」は支那国内の権力闘争と相まって、これから10年の間に必ず本格化するだろう。そしてそれに対抗するには「論」ではない。「論」がどれほど無力なのか私たちはそろそろ気づいたらどうか。北方領土と竹島を火事場泥棒で盗まれ、そのあと地図を書き換えるような卑劣な行為で韓国は竹島をオノレの領土だと言っている。「やったもの勝ち」なのだ。そしてその背後にあるのは軍事力以外にない。
 
 ただし。無人島であった竹島やロシア人が勝手に住み着いていた北方領土とは違い、沖縄は私たちの同胞がいまなお住み暮らす地だ。この違いは大きい。沖縄の人々の心をどれだけ「ヤマト」がきちんとつかんでいられるかが重要だ。そしてそれは実は極めて危うい。普天間基地の問題などは日米間の安全保障だけではなく「いかに沖縄の人々に日本国を愛してもらえるか」という試金石だと思わなくてはならない。
 
 ヤマトの人間は沖縄の人々に対して大変な「借り」があると私は思っている。大田實海軍中将の「沖縄県民斯ク戦ヘリ県民ニ対シ後世特別ノ御高配ヲ賜ランコトヲ」という言葉がありながら、戦後の保守政権はずっと沖縄を利権の食い物にしてきた。いや、沖縄の人々の中でも食い物にする連中とされる人々がいたわけである。これこそ支那のまさにつけこむところであろう。利権とカネを扱わせれば奴らは世界一だ。気がつくとそこここに楔を打ち込まれてまずは利権的に沖縄があちらのものになっているに違いない。
 
 軍事的には私はかねてから言っていることだが、南シナ海、東シナ海を「日本海」にすることだ。そのためには原子力潜水艦を持つことに尽きる。長期間の連続潜航が可能な原潜は支那にとって決定的な脅威となる。核ミサイル、核爆弾と違い、原子炉を動力として用いるだけの原潜は「核兵器」ではない。憲法にも非核三原則にも反しない。本来は持とうと思えばいつでも持てるのだ。そしてフィリピン、マレーシア、ベトナムといった海洋アジア諸国の基地にたまに寄港させてもらう。それこそ「思いやり予算」を払ってもいい。いずれも古代から中華の膨張主義と闘ってきた国々である。それらとあらたな「大東亜共栄圏」を手に手をとりあって築くのだ。
 
 支那と朝鮮はアジアではない。あれは中華とその下請けだ。そうではない真のアジアと手をとりあうための、沖縄は大切な接着剤だ。そう思えば支那の手出しも逆に愉しいと思えるのである。

※SAPIO2010年11月24日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

会話をしながら歩く小室さん夫妻(2025年5月)
《ベビーカーショットの初孫に初コメント》小室圭さんは「あなたにふさわしい人」…秋篠宮妃紀子さまが”木香薔薇”に隠した眞子さんへのメッセージ 圭さんは「あなたにふさわしい人」
NEWSポストセブン
試練を迎えた大谷翔平と真美子夫人 (写真/共同通信社)
《大谷翔平、結婚2年目の試練》信頼する代理人が提訴され強いショックを受けた真美子さん 育児に戸惑いチームの夫人会も不参加で孤独感 
女性セブン
阪神独走Vで藤川監督の高知商の先輩・江本孟紀氏が「優勝したら母校に銅像を建ててやる」の約束を「忘れてもらいたい」と苦笑 今季の用兵術は「観察眼が鋭い」と高評価
阪神独走Vで藤川監督の高知商の先輩・江本孟紀氏が「優勝したら母校に銅像を建ててやる」の約束を「忘れてもらいたい」と苦笑 今季の用兵術は「観察眼が鋭い」と高評価
NEWSポストセブン
59歳の誕生日を迎えた紀子さま(2025年9月11日、撮影/黒石あみ)
《娘の渡米から約4年》紀子さま 59歳の誕生日文書で綴った眞子さんとまだ会えぬ孫への思い「どのような名前で呼んでもらおうかしら」「よいタイミングで日本を訪れてくれたら」
NEWSポストセブン
「天下一品」新京極三条店にて異物(害虫)混入事案が発生
【ゴキブリの混入ルート】営業停止の『天下一品』FC店、スープは他店舗と同じ工場から提供を受けて…保健所は京都の約20店舗に調査対象を拡大
NEWSポストセブン
藤川監督と阿部監督
阪神・藤川球児監督にあって巨人・阿部慎之助監督にないもの 大物OBが喝破「前監督が育てた選手を使い、そこに工夫を加えるか」で大きな違いが
NEWSポストセブン
海外から違法サプリメントを持ち込んだ疑いにかけられている新浪剛史氏(時事通信フォト)
《新浪剛史氏は潔白を主張》 “違法サプリ”送った「知人女性」の素性「国民的女優も通うマッサージ店を経営」「水素水コラムを40回近く連載」 警察は捜査を継続中
NEWSポストセブン
ヒロイン・のぶ(今田美桜)の妹・蘭子を演じる河合優実(時事通信フォト)
『あんぱん』蘭子を演じる河合優実が放つ“凄まじい色気” 「生々しく、圧倒された」と共演者も惹き込まれる〈いよいよクライマックス〉
週刊ポスト
石橋貴明の現在(2025年8月)
《ホッソリ姿の現在》石橋貴明(63)が前向きにがん闘病…『細かすぎて』放送見送りのウラで周囲が感じた“復帰意欲”
NEWSポストセブン
決死の議会解散となった田久保眞紀・伊東市長(共同通信)
「市長派が7人受からないとチェックメイト」決死の議会解散で伊東市長・田久保氏が狙う“生き残りルート” 一部の支援者は”田久保離れ”「『参政党に相談しよう』と言い出す人も」
NEWSポストセブン
ヘアメイク女性と同棲が報じられた坂口健太郎と、親密な関係性だったという永野芽郁
「ずっと覚えているんだろうなって…」坂口健太郎と熱愛発覚の永野芽郁、かつて匂わせていた“ゼロ距離”ムーブ
NEWSポストセブン
新潟県小千谷市を訪問された愛子さま(2025年9月8日、撮影/JMPA) 
《初めての新潟でスマイル》愛子さま、新潟県中越地震の被災地を訪問 癒やしの笑顔で住民と交流、熱心に防災を学ぶお姿も 
女性セブン