スポーツ

野村氏 池山・広澤は大きく成長したが、マー君の育成は失敗

『野村の実践「論語」』(小学館刊)を上梓した野村克也氏が自身が経験した人材育成の難しさを語る。

 * * *
 ヤクルトの監督になったとき、池山隆寛は聞く耳など持たない、甘やかされた問題児という先入観を持っていた。最初にクギを刺した。「おまえブンブン丸とかいわれていい気になっているんじゃないか。自分はいいかもしれんが、チームには迷惑な話だ。野球を私物化するんじゃないよ」池山は神妙に聞いていた。

 のちにヤクルトが優勝した。若松勉監督が「勝てたのは池山のおかげです」と語っていた。私はうれしかった。池山が大きな人間に成長して、チームのために率先して働いた。だから監督から感謝を口にされた。

 広澤克己も好き勝手なプレーを繰りかえしていたが、心を入れかえて彼も四番の重責を果たした。古田敦也も私の話を身にして急成長した。私はヤクルトに「人を遺すことができた」と自負した。

 しかし、マー君(田中将大)の育成は失敗しました。反省しています。大人扱いというか、甘やかせすぎた。しっかりとしてると思っていたがまだまだ子供だった。

 監督をやってきてつくづく、何がすべての原点かに気がついた。〈感謝〉です。マー君は私が辞めるときにお世話になりましたの挨拶や電話一本もなかった。まず親に対する感謝から感性が磨かれる。

 熱心な親はキャンプや試合を見に来る。だが、監督にあいさつに来る親はほとんどいない。選手もそうだが、親も感謝の心が足りなくなっている気がします。こんな時代だからといっていていいものか。子供をみれば親がわかる。

 親が子どもを教育できない時代になっているのか。環境が人を育て、地位が人をつくるとはよくいったもんです。

※週刊ポスト2010年12月10日号

関連記事

トピックス

殺害された宝島さん夫婦の長女内縁関係にある関根容疑者(時事通信フォト)
【むかつくっすよ】那須2遺体の首謀者・関根誠端容疑者 近隣ともトラブル「殴っておけば…」 長女内縁の夫が被害夫婦に近づいた理由
NEWSポストセブン
曙と真剣交際していたが婚約破棄になった相原勇
《曙さん訃報後ブログ更新が途絶えて》元婚約者・相原勇、沈黙の背景に「わたしの人生を生きる」7年前の“電撃和解”
NEWSポストセブン
令和6年度 各種団体の主な要望と回答【要約版】
【自民党・内部報告書入手】業界に補助金バラ撒き、税制優遇のオンパレード 「国民から召し上げたカネを業界に配っている」と荻原博子氏
週刊ポスト
なかやまきんに君が参加した“謎の妖怪セミナー”とは…
なかやまきんに君が通う“謎の妖怪セミナー”の仰天内容〈悪いことは妖怪のせい〉〈サントリー製品はすべて妖怪〉出演したサントリーのウェブCMは大丈夫か
週刊ポスト
常に全力笑顔の林家つる子
《抜擢で真打ち昇進》林家つる子、コロナ禍でYouTubeに挑戦し「揺るがない何かができた」 サービス精神旺盛な初代・林家三平一門の系譜
週刊ポスト
グラビアから女優までこなすマルチタレントとして一世を風靡した安田美沙子(本人インスタグラム)
《過去に独立トラブルの安田美沙子》前事務所ホームページから「訴訟が係属中」メッセージが3年ぶりに削除されていた【双方を直撃】
NEWSポストセブン
エンゼルス時代、チームメートとのコミュニケーションのためポーカーに参加していたことも(写真/AFP=時事)
《水原一平容疑者「違法賭博の入り口」だったのか》大谷翔平も参加していたエンゼルス“ベンチ裏ポーカー”の実態 「大谷はビギナーズラックで勝っていた」
週刊ポスト
阿部詩は過度に着飾らず、“自分らしさ”を表現する服装が上手との見方も(本人のインスタグラムより)
柔道・阿部詩、メディア露出が増えてファッションへの意識が変化 インスタのフォロワー30万人超えで「モデルでも金」に期待
週刊ポスト
中条きよし氏、トラブルの真相は?(時事通信フォト)
【スクープ全文公開】中条きよし参院議員が“闇金顔負け”の年利60%の高利貸し、出資法違反の重大疑惑 直撃には「貸しましたよ。もちろん」
週刊ポスト
店を出て並んで歩く小林(右)と小梅
【支払いは割り勘】小林薫、22才年下妻との仲良しディナー姿 「多く払った方が、家事休みね~」家事と育児は分担
女性セブン
大の里
新三役・大の里を待つ試練 元・嘉風の中村親方独立で懸念される「監視の目がなくなる問題」
NEWSポストセブン
テレビや新聞など、さまざまなメディアが結婚相手・真美子さんに関する特集を行っている
《水原一平ショックを乗り越え》大谷翔平を支える妻・真美子さんのモテすぎ秘話 同級生たちは「寮内の食堂でも熱視線を浴びていた」と証言 人気沸騰にもどかしさも
NEWSポストセブン