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父親が借金残して死んだら注意 借金を相続してしまうことも

 竹下正己弁護士の法律相談コーナー。今回は、「親が借金をして返せなければ、子供に返済義務が生じるのでしょうか?」と、以下のような質問が寄せられた。

【質問】
 実家の父が貸金業者から借金をしましたが、返済できなくなりました。そこで業者は、娘である私の嫁ぎ先にまで来て、私に返済するようにいってきました。親が借金をして、返せなくなった場合、子供に返済義務が生じるのでしょうか。今後、どう対応すればいいでしょうか。

【回答】
 娘だからといって、責任が生じることはありません。保証人になっていないのであれば、支払いの義務はありません。借金の保証人については、口頭の依頼だけでは効力がなく、文書で保証する旨の約束が必要です。仮にお父さんが勝手にあなたを保証人にしていたとしても、あなたの承諾がない限り無効です。

 保証人でもない人に請求するのは、貸金業者を取り締まる貸金業法で禁止されていることです。その第21条1項で禁止事項が列挙され、その第7号で「債務者等以外の者に対し、債務者等に代わって債務を弁済することを要求すること」が挙げられています。

 こうした取り立て行為で人を威迫し、人の私生活若しくは業務の平穏を害するような言動をしてはならないとされています。これに違反すると2年以下の懲役または300万円以下の罰金で処罰されます。法的責任がない娘の嫁ぎ先にまで来て請求するのは悪質です。はっきり断わってください。それでもいってくるようであれば、警察に相談するのがいいでしょう。
 
 ただし例外的に責任が生じる場合があります。それはお父さんが死亡したときです。相続の開始により、お父さんの財産だけでなく、債務も子供や妻に相続されます。そこで、お父さんが亡くなったときは、遺産と借金を比較して、相続した場合の損得を計算する必要があります。
 
 プラスの財産より借金が多い場合、相続するとあなたの持ち出しになります。その場合、お父さんの死亡後3か月以内に相続放棄の手続きをとらなくてはなりません。うっかり相続財産を処分すると、相続を承認したことになるので注意してください。なお、死者にふさわしい葬儀の費用のために遺産を使った場合には、相続の承認には当たらないとされた裁判例があります。

※週刊ポスト2011年2月25号

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