国内

昭和天皇 8年半かけて3万3000キロ巡幸し2万人に声をかけた

「国や国民のために尽くす」――天皇陛下がこれまで度々会見で話された言葉が、今この震災下ほど深い実感をもって感じられることはない。ご高齢の身を押して、避難所へ、被災地へと回り、一人一人に腰を折り膝をついて話をされるその姿に、被災者たちからは感動の声が聞かれた。文芸評論家の富岡幸一郎が報告する。

 * * *
 天皇の死者を悼み、艱難のなかにある国民を思い見舞う姿には、先帝である昭和天皇の終戦後昭和二十一年二月から足掛け八年半、三万三千キロにも及ぶ全国巡幸を想起させる。

 昭和天皇の最初の訪問先は、空襲の被害のなかから復興した川崎市の昭和電工川崎工場であったが、これを皮切りに返還前の沖縄をのぞく四十六都道府県をくまなく回られ、天皇が直接に声をかけられた人数は二万人に達したという。

 GHQは戦争責任を追及されるかも知れない天皇が国民の非難を浴びるのではないかと思いこみ巡幸を許可したといわれているが、現人神であった天皇自らが敗戦後の困難のうちにある国民に親しく接し、肉声で言葉をかけられたことは、計り知れない勇気と復興への希望を与えた。

<ふりつもるみ雪にたへていろかへぬ 松ぞををしき人もかくあれ>

 この昭和二十一年の敗戦直後に詠まれた歌の励ましの力が、巡幸に際しての、<戦のわざわひうけし国民を おもふ心にいでたちて来ぬ>という御製へと響き合い、被災地や戦災孤児の施設、傷痍軍人の入院する病院、また学校、工場、農村など全国津々浦々を歩かれる昭和天皇の実際の行動となった。

※週刊ポスト2011年5月6日・13日号

関連記事

トピックス

2025年に成年式を終えられた秋篠宮家の長男・悠仁さま(時事通信フォト)
「後継者は悠仁さま?」伝統の書道“有栖川流”、眞子さまは「筆致に賛否」佳子さまは「左利き」……秋篠宮家「書道教育」事情
NEWSポストセブン
年末に放送された『ザ・ノンフィクションの大みそか2025~放送30周年スペシャル~』司会の吉岡里帆、出演したクズ芸人の小堀敏夫
《消えた「女優・吉岡里帆の笑顔」》相方にも愛想尽かされて解散…クズ芸人・小堀敏夫氏がコンビ解散の真相を激白
NEWSポストセブン
元旦に結婚を発表した福永壮志監督と長澤まさみ
長澤まさみ、趣里、波瑠…活躍する女性たちの結婚 「知名度」「収入」「世間の声」とは関係ナシに自分で選んで自分で決めるスタイル
女性セブン
脚本家・生方美久氏の新作(公式HPより)
『silent』脚本家の新作がなぜ日曜23時台に?フジテレビが異例の編成をとった背景と支持の理由にある“中毒性” 
NEWSポストセブン
トリプル選挙に打って出た吉村洋文・日本維新の会代表(時事通信フォト)
高市首相の冒頭解散に乗じて大阪知事選・市長選のトリプル選挙に打って出た維新 真の狙いは「大阪全19選挙区の議席独占」、揺らぐ組織の引き締めなるか
週刊ポスト
照ノ富士(右)と先輩・白鵬の立場は逆転か(時事通信フォト)
《元横綱・照ノ富士》高まる伊勢ヶ濱親方の存在感 弟子の四股名は変更し、スカウト網もその手に…“白鵬の残したすべて”を獲得する勢い
週刊ポスト
「第8回みどりの『わ』交流のつどい」で、受賞者に拍手を送られる佳子さま(2025年12月、共同通信社)
「心を掴まれてしまった」秋篠宮家・佳子さまが海外SNSで“バズ素材”に…子どもとの会話に外国人ユーザーらがウットリ《親しみやすいプリンセス》
NEWSポストセブン
韓国のガールズグループ・BLACKPINKのリサ(Instagramより)
《目のやり場に困る》BLACKPINKのリサ、授賞式→アフターパーティの衣装チェンジで魅せた「見せる下着」の華麗な着こなし
NEWSポストセブン
真美子さんが目指す夫婦像とは(共同通信社)
《新婚当時から真美子さんとペアで利用》大谷翔平夫妻がお気に入りの“スポンサーアイテム”…「プライベートでも利用してくれる」企業オファーが殺到する“安心感”の理由
NEWSポストセブン
デビットベッカムと妻・ヴィクトリア(時事通信フォト)
〈ベッカム家が抱える“嫁姑問題”の現在〉長男の妻・ニコラがインスタから“ベッカム夫妻”の写真を全削除!「連絡は弁護士を通して」通達も
NEWSポストセブン
ニューヨーク市警に所属する新米女性警官が、会員制ポルノサイトにて、過激なランジェリーを身にまとった姿を投稿していたことが発覚した(Facebookより)
〈尻の割れ目に赤いTバックが…〉新米NY女性警官、“過激SNS”発覚の中身は?「完全に一線を超えている」
NEWSポストセブン
「ゼロ日」で59歳の男性と再婚したと報じられた坂口杏里さんだが…
《3年ぶり2度目のスピード離婚》坂口杏里さんの「ふっくら近影」に心配の声…「膝が痛くて…でもメンタルは安定してます」本人が明かした「59歳会社員との破局の背景」
NEWSポストセブン