国内

日本海側原発 想定津波2m以下で、東日本震災級津波は防げず

 地震が起きた際の甚大な被害が指摘され続けてきた中部電力・浜岡原子力発電所が、期間限定とはいえ、ついに止まることになった。しかし、はたして浜岡以外の原発は――現在、国内21市町村にある54基もの原発は安全なのだろうか。

 まず、津波対策が抜け穴だらけだ。美浜原発、大飯原発、高浜原発は津波被害が少ないといわれる日本海側ではあるが、想定する津波の高さは2m以下だ。他原発の津波想定も最大で女川原発の13.6mにとどまる。東日本大震災級の津波を防ぐことは不可能だ。

 また、仙谷由人官房副長官は「現時点では30年以内に震度6以上の地震が起こる確率が10%以下とか1%以下のところがほとんどだ。特に日本海岸、瀬戸内にある原発はまず心配ない」と発言しているが、“浜岡オンリー”では安全とはいえないという専門家も多い。変動地形学が専門の名古屋大学・鈴木康弘教授はこういう。

「地震確率87%の東海地震に備えて浜岡原発を停止することは間違ってないですが、『他は数字が低いので止める必要はない』は明らかな誤り。非常に不適当です」(鈴木教授)

 自著『偽善エネルギー』(幻冬舎新書)などで以前から原発に警鐘を鳴らしていた中部大学教授・武田邦彦氏も日本の原発は巨大地震への備えがまだまだ不充分、と指摘する。

 今回、福島原発は最大加速度448ガルの地震によってこれだけ甚大な被害を受けた。

「浜岡原発は800ガルという強い揺れに耐えられるというけど、それは原子炉の話であって、今回の福島第一原発がそうであったように非常用電源などの周辺設備はそれよりも弱い造りなんです。『想定外』の大地震がきたら、原発は壊れるものなので、全国の原発すべて止めるべきです」(武田教授)

※女性セブン2011年5月26日号

関連記事

トピックス

どんな役柄でも見事に演じきることで定評がある芳根京子(2020年、映画『記憶屋』のイベント)
《ヘソ出し白Tで颯爽と》女優・芳根京子、乃木坂46のライブをお忍び鑑賞 ファンを虜にした「ライブ中の一幕」
NEWSポストセブン
相川七瀬と次男の凛生君
《芸能界めざす息子への思い》「努力しないなら応援しない」離婚告白の相川七瀬がジュノンボーイ挑戦の次男に明かした「仕事がなかった」冬の時代
NEWSポストセブン
俳優の松田翔太、妻でモデルの秋元梢(右/時事通信フォト)
《松田龍平、翔太兄弟夫婦がタイでバカンス目撃撮》秋元梢が甥っ子を優しく見守り…ファミリーが交流した「初のフォーショット」
NEWSポストセブン
世界が驚嘆した大番狂わせ(写真/AFLO)
ラグビー日本代表「ブライトンの奇跡」から10年 名将エディー・ジョーンズが語る世界を驚かせた偉業と現状「リーチマイケルたちが取り戻した“日本の誇り”を引き継いでいく」
週刊ポスト
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《即完売》佳子さま、着用した2750円イヤリングのメーカーが当日の「トータルコーディネート」に感激
NEWSポストセブン
国連大学50周年記念式典に出席された天皇皇后両陛下(2025年9月18日、撮影/JMPA)
《国連大学50周年記念式典》皇后雅子さまが見せられたマスタードイエローの“サステナブルファッション” 沖縄ご訪問や園遊会でお召しの一着をお選びに 
NEWSポストセブン
豪雨被害のため、M-1出場を断念した森智広市長 (左/時事通信フォト、右/読者提供)
《森智広市長 M-1出場断念の舞台裏》「商店街の道の下から水がゴボゴボと…」三重・四日市を襲った記録的豪雨で地下駐車場が水没、高級車ふくむ274台が被害
NEWSポストセブン
「決意のSNS投稿」をした滝川クリステル(時事通信フォト)
滝川クリステル「決意のSNS投稿」に見る“ファーストレディ”への準備 小泉進次郎氏の「誹謗中傷について規制を強化する考え」を後押しする覚悟か
週刊ポスト
アニメではカバオくんなど複数のキャラクターの声を担当する山寺宏一(写真提供/NHK)
【『あんぱん』最終回へ】「声優生活40年のご褒美」山寺宏一が“やなせ先生の恩師役”を演じて感じた、ジャムおじさんとして「新しい顔だよ」と言える喜び
週刊ポスト
林家ペーさんと林家パー子さんの自宅で火災が起きていることがわかった
《部屋はエアコンなしで扇風機が5台》「仏壇のろうそくに火をつけようとして燃え広がった」林家ぺー&パー子夫妻が火災が起きた自宅で“質素な暮らし”
NEWSポストセブン
1年ほど前に、会社役員を務める元夫と離婚していたことを明かした
《ロックシンガー・相川七瀬 年上夫との離婚明かす》個人事務所役員の年上夫との別居生活1年「家族でいるために」昨夏に自ら離婚届を提出
NEWSポストセブン
“高市潰し”を狙っているように思える動きも(時事通信フォト)
《前代未聞の自民党総裁選》公明党や野党も“露骨な介入”「高市早苗総裁では連立は組めない」と“拒否権”をちらつかせる異例の事態に
週刊ポスト