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自転車無灯火運転は5万円以下の罰金 業務上過失傷害の例も

 竹下正己弁護士の法律相談コーナー。今回は「自転車の無灯火運転に、何か罰則はないのでしょうか?」と、以下のような質問が寄せられた。

【質問】
 夜暗くなってから、無灯火で走ってくる自転車にぶつけられそうになりました。もしぶつかっていたらと思うと、ぞっとします。そこで気がついたのですが、自転車の無灯火については、法律的には何らかの規制はないのでしょうか。条例のようなものも定められてはいないのでしょうか。

【回答】
 無灯火の自転車運転は危険です。処罰の対象になります。自転車は道路交通法(以下「法」)の定める軽車両にあたり、法のいう車両に含まれていますが、同法52条では「車両等は、夜間(日没時から日出時までの時間をいう。〈後略〉)、道路にあるときは、政令で定めるところにより、前照灯、車幅灯、尾灯その他の灯火をつけなければならない。政令で定める場合においては、夜間以外の時間にあつても、同様とする」と定めています。従って自転車といえども政令に従って、これらの灯火をつけなくてはなりません。

 どんな灯火をつけるかですが、政令では各地の公安委員会が定めることになっています。東京都の場合、東京都道路交通規則第9条で、前照灯は「白色又は淡黄色で、夜間、前方10mの距離にある交通上の障害物を確認することができる光度を有する」ことが必要とされています。

 次に違反した場合の罰則ですが、5万円以下の罰金です。うっかりつけ忘れた場合などの過失による無灯火でも同じです。なお、法のいう、夜間以外でも灯火をつけなければならない「政令で定める場合」とは、トンネルの中や濃霧などで視界が悪く、50m以下になったような場合です。

 処罰という点では、道交法違反以外にも、無灯火の自転車を運転中に歩行者と衝突して、けがをさせたような場合には、別に業務上過失傷害という刑法上の犯罪になることもあります。また無灯火が一因で事故が起きた場合、不法行為責任を追及される根拠になりますし、自動車と衝突して自転車が被害者になる場合でも過失相殺が認められ、賠償額が減額されます。

 自転車の無灯火運転は、まわりに危険なだけでなく、運転者にとっても大きな不利益をもたらす行為といえます。

※週刊ポスト2011年5月27日号

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