国内

人口10万人あたり犯罪件数 最多の大阪は最少・秋田の5倍

 いくら交通網や通信網が発展した現代であっても、故郷の風土は、そこに生まれ育った人々の生き様や志向に少なからず影響を与えている。犯罪社会学の第一人者である小宮信夫・立正大学教授が、「犯罪と県民性」について分析する。

 * * *
 犯罪率は都市部で高く、地方では低い。警察庁の統計によれば、人口10万人当たりの犯罪件数(刑法犯認知件数)が最も少ないのは秋田の104.2件で、岩手(129.7件)、山形(145.0件)と続く。逆に最も高いのは大阪の542.2件。愛知(503.4件)、京都(478.1件)がワースト3だ。

「都市部で犯罪率が高いのは日本に限らず、世界的な特徴です。ただしこれは“都会に生まれると悪人になり、田舎者は善人になる”という意味ではなく、犯罪の標的の多い都会は犯罪機会を多く提供してしまうということです」(以下、発言は小宮教授)

 犯罪を分析するうえで、「地域性」は非常に重要なファクターだ。小宮教授によると、犯罪学は「犯罪原因論」と「犯罪機会論」に大別されるという。
 
「前者は犯罪者の異常性や家庭環境など、個人の性格や境遇から犯罪の原因を探っていくもの。それに対し、後者は犯罪が起きやすい状況や場所の条件を探究するものです。どの地域にどのような犯罪が多いかは、犯罪機会論からの分析となります」

 同じ大都市圏であるにもかかわらず、大阪や愛知、京都が東京(10万人当たり437.5件)より犯罪発生率が高い理由は、「街の作り」が関係しているという。

「犯罪者が好きな場所は、『誰もが入りやすく、誰からも見えにくい場所』です。大阪や京都は街路が碁盤の目状であるため、どこからでも標的に近づきやすく、犯行後も逃げやすいのです。

 また、大阪は東京に比べて、ガードレールが設置されていない道が多い。歩行者に車両が近づきやすく、ひったくり犯が活動しやすい。京都は歴史的なイメージを大切にするため、他の都市と比べると薄暗い。愛知は自動車生産が盛んで盗難車の不正輸出にも地の利があるために、自動車関連の犯罪が多い」

※週刊ポスト2011年6月10日号

関連キーワード

トピックス

趣里と父親である水谷豊
《趣里が結婚発表へ》父の水谷豊は“一切干渉しない”スタンス、愛情溢れる娘と設立した「新会社」の存在
NEWSポストセブン
SNS上で「ドバイ案件」が大騒動になっている(時事通信フォト)
《ドバイ“ヤギ案件”騒動の背景》美女や関係者が証言する「砂漠のテントで女性10人と性的パーティー」「5万米ドルで歯を抜かれたり、殴られたり」
NEWSポストセブン
事業仕分けで蓮舫行政刷新担当大臣(当時)と親しげに会話する玉木氏(2010年10月撮影:小川裕夫)
《キョロ充からリア充へ?》玉木雄一郎代表、国民民主党躍進の背景に「なぜか目立つところにいる天性の才能」
NEWSポストセブン
“赤西軍団”と呼ばれる同年代グループ(2024年10月撮影)
《赤西仁と広瀬アリスの交際》2人を結びつけた“軍団”の結束「飲み友の山田孝之、松本潤が共通の知人」出会って3か月でペアリングの意気投合ぶり
NEWSポストセブン
米利休氏とじいちゃん(米利休氏が立ち上げたブランド「利休宝園」サイトより)
「続ければ続けるほど赤字」とわかっていても“1998年生まれ東大卒”が“じいちゃんの赤字米農家”を継いだワケ《深刻な後継者不足問題》
NEWSポストセブン
田村容疑者のSNSのカバー画像
《目玉が入ったビンへの言葉がカギに》田村瑠奈の母・浩子被告、眼球見せられ「すごいね。」に有罪判決、裁判長が諭した“母親としての在り方”【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
アメリカから帰国後した白井秀征容疑(時事通信フォト)
「ガイコツが真っ黒こげで…こんな残虐なこと、人間じゃない」岡崎彩咲陽さんの遺体にあった“異常な形跡”と白井秀征容疑者が母親と交わした“不穏なメッセージ” 〈押し入れ開けた?〉【川崎ストーカー死体遺棄】
NEWSポストセブン
赤西と元妻・黒木メイサ
《赤西仁と広瀬アリスの左手薬指にペアリング》沈黙の黒木メイサと電撃離婚から約1年半、元妻がSNSで吐露していた「哺乳瓶洗いながら泣いた」過去
NEWSポストセブン
元交際相手の白井秀征容疑者からはおびただしい数の着信が_(本人SNS/親族提供)
《川崎ストーカー死体遺棄》「おばちゃん、ヒデが家の近くにいるから怖い。すぐに来て」20歳被害女性の親族が証言する白井秀征容疑者(27)の“あまりに執念深いストーカー行為”
NEWSポストセブン
不倫疑惑が報じられた田中圭と永野芽郁
《永野芽郁のほっぺたを両手で包み…》田中圭 仲間の前でも「めい、めい」と呼ぶ“近すぎ距離感” バーで目撃されていた「だからさぁ、あれはさ!」
NEWSポストセブン
連日お泊まりが報じられた赤西仁と広瀬アリス
《広瀬アリスと交際発覚》赤西仁の隠さないデートに“今は彼に夢中” 交際後にカップルで匂わせ投稿か
NEWSポストセブン
不倫疑惑が報じられた田中圭と永野芽郁
《離婚するかも…と田中圭は憔悴した様子》永野芽郁との不倫疑惑に元タレント妻は“もう限界”で堪忍袋の緒が切れた
NEWSポストセブン