国内

日本にある朝鮮ゆかり文化財 根こそぎ持っていかれる可能性

韓国に引き渡される「朝鮮王朝儀軌」

 お人好し国家の面目躍如か。植民地時代に日本へ渡った朝鮮半島由来の図書1205冊を韓国へ引き渡す日韓図書協定が、5月27日の参院本会議で可決・承認された。発端は昨年8月、菅直人首相が日韓併合100年の談話で、韓国に図書を「お渡ししたい」と述べたことだった。特に目玉とされているのが、朝鮮王朝時代の祭礼や主要行事を絵や文で記録した「朝鮮王朝儀軌」167冊である。

 これらは現在、宮内庁が所蔵しているが、本誌は5月19日に同庁を訪れ直に閲覧した自民党の参議院議員・浜田和幸氏より、貴重な図書の写真を入手した。浜田氏が解説する。

「文化財を他国に引き渡すことは、たとえばフランスが19世紀に韓国を侵攻したときに略奪した王室文書について、フランス側は返還ではなく『貸与』という形にしたほどデリケートなもの。まして日本は、1965年の日韓基本条約で韓国と財産請求権の放棄を合意しているにもかかわらず、菅首相は国会での審議も経ずに日韓関係改善のために引き渡しを約束してしまったのです。

 しかも、宮内庁の説明では朝鮮王朝儀軌のうち4冊は、旧宮内省が大正時代に東京・神田の古書店から購入したもので、それまで無条件に引き渡すのは明らかにおかしい」

 図書は、協定成立後6か月以内の引き渡しとなっているため、今年中にも朝鮮王朝儀軌は韓国へ引き渡されることになる。だが、韓国文化財庁傘下の国立文化財研究所は昨年、「日本へ流出した文化財は6万1409点」という数字を発表している。これを皮切りに、日本にある朝鮮ゆかりの文化財が、根こそぎ持っていかれる可能性もあるのだ。

 折しも5月24日には、竹島の実効支配強化を目指す韓国の国会議員らが北方領土の国後島を訪問。さらに竹島ではヘリポート改修工事が震災後の3月中旬から行なわれ、竹島近海の海洋科学基地も3月12日に建設工事の入札が開始されるなど、日本の震災後の混乱に乗じたかのような韓国の“揺さぶり”が続いている。

 菅政権はこれらの動きに形式的な抗議しかしていないが、まさか図書だけでなく、竹島まで韓国に引き渡すなんてことはあるまいか。

写真提供■浜田和幸

※週刊ポスト2011年6月10日号

トピックス

今季から選手活動を休止することを発表したカーリング女子の本橋麻里(Xより)
《日本が変わってきてますね》ロコ・ソラーレ本橋麻里氏がSNSで参院選投票を促す理由 講演する機会が増えて…支持政党を「推し」と呼ぶ若者にも見解
NEWSポストセブン
白石隆浩死刑囚
《女性を家に連れ込むのが得意》座間9人殺害・白石死刑囚が明かしていた「金を奪って強引な性行為をしてから殺害」のスリル…あまりにも身勝手な主張【死刑執行】
NEWSポストセブン
失言後に記者会見を開いた自民党の鶴保庸介氏(時事通信フォト)
「運のいいことに…」「卒業証書チラ見せ」…失言や騒動で謝罪した政治家たちの実例に学ぶ“やっちゃいけない謝り方”
NEWSポストセブン
球種構成に明らかな変化が(時事通信フォト)
大谷翔平の前半戦の投球「直球が6割超」で見えた“最強の進化”、しかしメジャーでは“フォーシームが決め球”の選手はおらず、組み立てを試行錯誤している段階か
週刊ポスト
参議院選挙に向けてある動きが起こっている(時事通信フォト)
《“参政党ブーム”で割れる歌舞伎町》「俺は彼らに賭けますよ」(ホスト)vs.「トー横の希望と参政党は真逆の存在」(トー横キッズ)取材で見えた若者のリアルな政治意識とは
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン