国内

中国でパニック起こした「陰性エイズ」 日本にも上陸か

 正体はわからない。しかし隣国で起こった“パニック”は、対岸の火事ではなくなりつつある。今年に入って、中国の広東省を中心に「陰性エイズ」にかかったという患者が複数現われた。

 リンパの腫れ、皮下出血、発疹、白い舌苔などエイズによく似た症状が現われるものの、HIV検査を受けても結果は「陰性」。一部では「新種の奇病」と報じられ、ネットを中心にパニックが巻き起こった。

 この騒動を受け、広東省の省都、広州市の第八人民医院感染科の医師は、何らかの理由で陽性にはなっていないがエイズの可能性があるとの見方を示した。一方、中国衛生部は「“陰性エイズ”は、新種のウイルスによるものではない」と発表。調査の結果、エイズを過度に恐れることによる恐怖症の一種だとして沈静化に必死だが、中国政府がそうアナウンスしても、「陰性エイズ」の患者を名乗る人々は増え続けている。

 元々、広東省はSARSの発生した地域であるにもかかわらず、その存在を隠ぺいしつづけた“前科”がある。「政府のいうことは信じられない」と考える人々も多いのだ。

 さらにこの騒動は日本にも達していた。本誌は今回、陰性エイズの患者だと主張する日本人と接触することに成功した。関東地方に住む20代前半の男性がいう。

「昨年、海外で町の売春婦と性交渉をしてから症状が出始めました。ひどい倦怠感と、視力の低下、皮膚には発疹ができて指の関節が腫れてくる。HIV検査は何度受けても陰性で、他の性病検査もすべて陰性。もうどうしたらいいのか……」

 別の20代半ばの男性も、舌が白くなり、皮膚に赤い斑点ができ、会社を退職する事態にまで追い込まれた。3度受けたHIV検査はすべて陰性だった。

「千葉のソープランドで遊んだすぐ後から症状が出たんです。国立感染症研究所に症状を訴えても、“中国でそういう病気の報告があることは知っているが、日本では研究していない。今は様子を見るしかない”と告げられた。中国では輸血で女性が陰性エイズに感染したという例も報じられています。早く、国に検査態勢を整えてほしい」

 中国政府の発表のように「心因性」によるものなのか、それとも従来の検査で発見できない新種のウイルスによるものなのか……。新渡戸文化短期大学学長で医学博士(感染症学)の中原英臣氏がいう。

「HIV発見の際も、最初は“存在しない未知のウイルス”と決めつけられていたが、徐々にその正体がわかりパニックになった。今回のケースはHIVではなかったとしても、HIVに似た病気の可能性がある。また、従来のHIV検査では判別不能な新種のウイルスである可能性も否定できません」

※週刊ポスト2011年7月1日号

関連記事

トピックス

劉勁松・中国外務省アジア局長(時事通信フォト)
「普段はそういったことはしない人」中国外交官の“両手ポケットイン”動画が拡散、日本側に「頭下げ」疑惑…中国側の“パフォーマンス”との見方も
NEWSポストセブン
俳優の水上恒司が年上女性と真剣交際していることがわかった
【本人が語った「大事な存在」】水上恒司(26)、初ロマンスは“マギー似”の年上女性 直撃に「別に隠すようなことではないと思うので」と堂々宣言
NEWSポストセブン
佳子さまの「多幸感メイク」驚きの声(2025年11月9日、写真/JMPA)
《最旬の「多幸感メイク」に驚きの声》佳子さま、“ふわふわ清楚ワンピース”の装いでメイクの印象を一変させていた 美容関係者は「この“すっぴん風”はまさに今季のトレンド」と称賛
NEWSポストセブン
ラオスに滞在中の天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《ラオスの民族衣装も》愛子さま、動きやすいパンツスタイルでご視察 現地に寄り添うお気持ちあふれるコーデ
NEWSポストセブン
俳優の水上恒司が真剣交際していることがわかった
水上恒司(26)『中学聖日記』から7年…マギー似美女と“庶民派スーパーデート” 取材に「はい、お付き合いしてます」とコメント
NEWSポストセブン
韓国のガールズグループ「AFTERSCHOOL」の元メンバーで女優のNANA(Instagramより)
《ほっそりボディに浮き出た「腹筋」に再注目》韓国アイドル・NANA、自宅に侵入した強盗犯の男を“返り討ち”に…男が病院に搬送  
NEWSポストセブン
ラオスに到着された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月17日、撮影/横田紋子)
《初の外国公式訪問》愛子さま、母・雅子さまの“定番”デザインでラオスに到着 ペールブルーのセットアップに白の縁取りでメリハリのある上品な装い
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(AFLO/時事通信フォト)
「“穴持たず”を見つけたら、ためらわずに撃て」猟師の間で言われている「冬眠しない熊」との対峙方法《戦前の日本で発生した恐怖のヒグマ事件》
NEWSポストセブン
ドジャース入団時、真美子さんのために“結んだ特別な契約”
《スイートルームで愛娘と…》なぜ真美子さんは夫人会メンバーと一緒に観戦しないの? 大谷翔平がドジャース入団時に結んでいた“特別な契約”
NEWSポストセブン
山上徹也被告の公判に妹が出廷
「お兄ちゃんが守ってやる」山上徹也被告が“信頼する妹”に送っていたメールの内容…兄妹間で共有していた“家庭への怒り”【妹は今日出廷】
NEWSポストセブン
靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン