スポーツ

元西武の剛腕中継ぎ・森慎二 わずか3球でメジャーの夢断念

 松井秀喜、イチローなどメジャーリーグで成功した日本人選手はいるものの、残念ながらメジャーに挑戦しながら、志半ばに帰国した男もいる。そんな彼らの姿をノンフィクションライターの柳川悠二氏が追った。

 * * *
 元西武ライオンズのセットアッパーで、2006年にタンパベイ・デビルレイズへポスティング移籍した森慎二。彼は現在、松井秀喜を育んだ金沢を本拠地とするBCリーグ「石川ミリオンスターズ」の監督を務めている。

「独立リーグの監督という立場ですが、現役の道を諦めたわけではないんです」

 西武5年目の2001年オフからポスティングによる移籍を球団に訴え続け、5年をかけてようやく実現した彼のメジャー挑戦――それはわずか3球で終わった。

 初の実戦初登板となったスプリングキャンプのオープン戦でのことだ。日本時代、左足を高く上げる独特のフォームから投げ込む、剛速球と鋭く落ちるフォークボールを武器に打者を牛耳っていた森は、メジャーリーガー相手でも真っ向勝負を挑んでいく。

 最初の打者の3球目。腕をしならせ、白球をリリースした瞬間に腕が打者方向に飛んでいくような嫌な感覚が襲った。

「すぐに痛みでうずくまって、腕の異変に気付いた。腕をしならせすぎたために上腕骨が脱臼し、腕が脇の下から出ているような状態だったんです。上腕骨と肋骨がゴリゴリぶつかっているのが分かりました。腕が人の形をしていないんだから、『ああ、終わったな』って思いました」

 ドクターから「この脱臼から復帰した例はこれまで3例しかない」と聞かされても、森はメジャーの舞台を諦めきれず、わずかな可能性に賭けようとした。

「いつか治ると信じてリハビリに励みました。キャッチボールの球数制限を課されていたんですが、ばれないようにひとりで球場の壁にボールを投げたこともありました」

 ケガから1年半後、現役に未練を残したまま帰国する。1年の浪人生活の末、石川ミリオンスターズの選手兼コーチとして誘われ、2010年に監督専任となった。

※週刊ポスト2011年7月8日号

関連記事

トピックス

虐待があった田川市・松原保育園
《保育士10人が幼児を虐待》「麗奈は家で毎日泣いてた。追い詰められて…」逮捕された女性保育士(25)の夫が訴えた“園の職場環境”「ベテランがみんな辞めて頼れる人がおらんくなった」【福岡県田川市】
NEWSポストセブン
海外セレブの間では「アスレジャー
というファッションジャンルが流行(画像は日本のアスレジャーブランド、RUELLEのInstagramより)
《ぴったりレギンスで街歩き》外国人旅行者の“アスレジャー”ファッションに注意喚起〈多くの国では日常着として定着しているが、日本はそうではない〉
NEWSポストセブン
亡くなったアンナ・ケプラーさん(TikTokより)
巨大クルーズ船で米・チアリーダー(18)が“謎の死”「首を絞められたような2つのアザ」「FBIが捜査状況を明かさず…」《元恋人が証言した“事件の予兆”》
NEWSポストセブン
【複雑極まりない事情】元・貴景勝の湊川親方が常盤山部屋を継承へ 「複数の裏方が別の部屋へ移る」のはなぜ? 力士・スタッフに複数のルーツが混在…出羽海一門による裏方囲い込み説も
【複雑極まりない事情】元・貴景勝の湊川親方が常盤山部屋を継承へ 「複数の裏方が別の部屋へ移る」のはなぜ? 力士・スタッフに複数のルーツが混在…出羽海一門による裏方囲い込み説も
NEWSポストセブン
アスレジャースタイルで渋谷を歩く女性に街頭インタビュー(左はGettyImages、右はインタビューに応じた現役女子大生のユウコさん提供)
「同級生に笑われたこともある」現役女子大生(19)が「全身レギンス姿」で大学に通う理由…「海外ではだらしないとされる体型でも隠すことはない」日本に「アスレジャー」は定着するのか【海外で議論も】
NEWSポストセブン
中山美穂さんが亡くなってから1周忌が経とうとしている
《逝去から1年…いまだに叶わない墓参り》中山美穂さんが苦手にしていた意外な仕事「収録後に泣いて落ち込んでいました…」元事務所社長が明かした素顔
NEWSポストセブン
決定戦で横綱を下した安青錦(写真/JMPA)
【最速大関・安青錦の素顔】ウクライナを離れて3年、なぜ強くなれたのか? 来日に尽力した恩人は「日本人的でシャイなところがあって、真面目で相撲が大好き」、周囲へ感謝を忘れない心構え
週刊ポスト
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)(Instagramより)
《俺のカラダにサインして!》お騒がせ金髪美女インフルエンサー(26)のバスが若い男性グループから襲撃被害、本人不在でも“警備員追加”の大混乱に
NEWSポストセブン
主演映画『TOKYOタクシー』が公開中の木村拓哉
《映画『TOKYOタクシー』も話題》“キムタク”という矜持とともにさらなる高みを目指して歩み続ける木村拓哉が見せた“進化する大人”の姿
女性セブン
(左から)中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏の人気座談会(撮影/山崎力夫)
【江本孟紀・中畑清・達川光男座談会1】阪神・日本シリーズ敗退の原因を分析 「2戦目の先発起用が勝敗を分けた」 中畑氏は絶不調だった大山悠輔に厳しい一言
週刊ポスト
CM露出ランキングで初の1位に輝いた今田美桜(時事通信フォト)
《企業の資料を読み込んで現場に…》今田美桜が綾瀬はるかを抑えて2025年「CM露出タレントランキング」1位に輝いた理由
NEWSポストセブン
亡くなったテスタドさん。現場には花が手向けられていた(本人SNSより)
《足立区11人死傷》「2~3年前にSUVでブロック塀に衝突」証言も…容疑者はなぜ免許を持っていた? 弁護士が解説する「『運転できる能力』と『刑事責任能力』は別物」
NEWSポストセブン