ビジネス

GDP成長率 2012年は主要先進国で日本が一番高くなる説

株式市場では、震災直後の外国人投資家による日本株買いが注目を集めた。実際、日経平均株価が安値8227円から一時1万円の大台に乗せる、大きな原動力となった。こうした外国人投資家の狙いについて、海外マネーの動向に詳しいパルナッソス・インベストメント・ストラテジーズの宮島秀直氏が解説する。

* * *
外国人投資家の日本株投資は、震災ショックで急落した日本株に対する短期的な逆張りではない。割安感が拡大し、投資金額を増やしたことは事実だが、震災以前から継続的に買ってきているからだ。東証が発表している投資主体別売買動向を見ても、外国人投資家は2010年9月から連続8か月、金額ベースでは6兆円ほど買い越しているのである。

この買いの主役の1人は、欧米のグローバル型投資信託だ。2010年11月以降、9000億円程度の買い越しをしていると見られる。欧米あるいは新興国の主要市場に対する、日本株の割安度を重視して買い越しを継続してきており、震災後から現在に至るまでも大幅なロング・ポジションを保有したままとなっている。そして、重要なのは、今後も買い越しを継続する可能性が高いことだ。

欧州最大手の投信および年金を運用する機関投資家の運用トップは、私の取材に対して、当面、日本株に対するポジティブな材料が出るたびに、買い増す方針であることを言明した。彼は、損壊した東北の三陸道が、わずか5日間で復旧した事実に驚き、日本の底力を再認識したという。震災後に全世界の運用担当者に日本株をレコメンドし、自身も復興関連銘柄を買い、現在も保有しているという。

こうした考えを持っている機関投資家は、彼だけにとどまらない。そして、そんな機関投資家たちが注目する日本株のポジティブな材料が、2012年の日本のGDP成長率なのである。震災によって、日本の2011年のGDP 成長率は大きく下方修正されることが確実となっているが、逆に、2012年のGDP成長率は主要国で日本が最も高くなることが予想されているのだ。

欧米の機関投資家は、マクロ経済の動向については非常に敏感で、マクロ経済の裏付けのない市場に投資することは基本的にはない。そして、マクロ経済の指標として最も重視しているのは、IMF(国際通貨基金)の経済見通しである。

すでに、4月に主要国の2011年と2012年のGDP成長率の予想数字が発表されている。次の発表は7月上旬の予定だが、そこで、4月の予想値に対して最も上方修正の幅が大きいと予想されるのが日本。当然、2011年の下方修正の反動によって2012年の数字が上方修正される側面が強いのだが、2011年のGDP成長率を現時点の株式市場が織り込んでいると考えれば、上方修正をポジティブな材料として日本株を買う理屈が立つ。

マクロ経済指標に反応する欧米の機関投資家が買ってくるのは、日経225先物であろう。日本政府の第2次補正予算の国会通過を前提に、7月にかけて日経225の買いのチャンスが訪れる可能性がある。

※マネーポスト2011年7月号

関連キーワード

トピックス

山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
早朝のJR埼京線で事件は起きた(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」に切実訴え》早朝のJR埼京線で「痴漢なんてやっていません」一貫して否認する依頼者…警察官が冷たく言い放った一言
NEWSポストセブン
降谷健志の不倫離婚から1年半
《降谷健志の不倫離婚から1年半の現在》MEGUMIが「古谷姓」を名乗り続ける理由、「役者の仕事が無く悩んでいた時期に…」グラドルからブルーリボン女優への転身
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン
放送作家でコラムニストの山田美保子さんが、さまざまな障壁を乗り越えてきた女性たちについて綴る
《佐々木希が渡部建の騒動への思いをストレートに吐露》安達祐実、梅宮アンナ、加藤綾菜…いろいろあっても流されず、自分で選択してきた女性たちの強さ
女性セブン
(イメージ、GFdays/イメージマート)
《「歌舞伎町弁護士」が見た恐怖事例》「1億5000万円を食い物に」地主の息子がガールズバーで盛られた「睡眠薬入りカクテル」
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
【新宿タワマン殺人】和久井被告(52)「バイアグラと催涙スプレーを用意していた…」キャバクラ店経営の被害女性をメッタ刺しにした“悪質な復讐心”【求刑懲役17年】
NEWSポストセブン
幼少の頃から、愛子さまにとって「世界平和」は身近で壮大な願い(2025年6月、沖縄県・那覇市。撮影/JMPA)
《愛子さまが11月にご訪問》ラオスでの日本人男性による児童買春について現地日本大使館が厳しく警告「日本警察は積極的な事件化に努めている」 
女性セブン
女優・遠野なぎこの自宅マンションから身元不明の遺体が見つかってから1週間が経った(右・ブログより)
《上の部屋からロープが垂れ下がり…》遠野なぎこ、マンション住民が証言「近日中に特殊清掃が入る」遺体発見現場のポストは“パンパン”のまま 1週間経つも身元が発表されない理由
NEWSポストセブン