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「連絡つかぬ訪問業者からの前金回収は事実上無理」と弁護士

竹下正己弁護士の法律相談コーナー。今回は「墓の修繕を依頼した業者に前金を支払ったのですが、その後連絡がつきません」と、以下のような質問が寄せられた。

【質問】
地震で倒れたお墓を直すという業者が訪ねてきたので、頼むことにしました。前金が必要だということでしたが、持ち合わせがないので、とりあえず5万円払いました。しかしその後、お墓は倒れたままだし、業者も現われず、連絡もつきません。このような場合、どうするのがいいでしょうか。

【回答】
前金を渡した業者が、どこの誰だかわからないのでは手の打ちようがありませんが、少なくとも連絡方法は明らかにしていたのですね。とはいえ、相手の居所もつかめないのですから困ります。修繕を求めることはもちろん、前金を回収することも事実上、不可能だと思います。しかし、こうした悪徳商法をのさばらせておくことはできません。

業者が訪ねてきて、墓石の修繕等を申し出て契約するのは、訪問販売による役務提供に該当し、特定商取引法が適用されます。この法律では、訪問販売する業者はまず、「勧誘に先立って、その相手方に対し、販売業者又は役務提供事業者の氏名又は名称」を明らかにしてからでないと勧誘してはならない旨を定めています。

さらに業者は消費者に対し、契約までに「氏名又は名称、住所及び電話番号並びに法人にあっては代表者の氏名」を含む、法定の記載事項を明記した書面を交付する義務があります。この法定書面の交付義務を怠れば、100万円以下の罰金という刑事罰で処罰されます。法定書面に虚偽記載をしても同様です。

あなたの場合、前金を支払い済みですから、契約ができていたことになります。業者が法定文書に連絡もつかない場所を記載したのであれば、右の虚偽記載として特定商取引法違反になります。刑事事件ですから、警察に相談することも一案です。他にも被害者がいる可能性もあります。多くの人が同じような被害に遭っていれば、警察も放置できないでしょう。消費者センターなどに照会すれば、状況がわかると思います。

また、こうした被害の拡大を防ぐためにも、積極的に同センターなどに連絡して、情報提供をしつつ相談に乗ってもらうことは有意義です。

※週刊ポスト2011年7月22・29日号

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