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南三陸町の被災者「大丈夫」の声を信用せずに津波から逃げ切る

東日本大震災による死亡者は2万人以上。死因で多かったのは、なんといっても津波による溺死だった。一瞬にして、人の命を奪ってしまう巨大津波だが、生死を分けるのは一瞬の判断だという。

宮城・南三陸町の三浦久子さん(63)は、家の目の前が海だ。地震発生直後、津波が来ると直感し、すぐに逃げた。

「潮のものすごい引き具合を目の当たりにし、上着と懐中電灯と貴重品がはいったショルダーバッグを持って逃げました。近所の人のなかには、“大丈夫”という人もいましたが、過信せずとにかく逃げたのがよかったんです」

現在、宮城・気仙沼市で避難所暮らしをしている高野ミヨ子さん(76)は、18年間寝たきりの夫を自宅で介護していながらも、動くのは早かった。

「息子と一緒に主人を車に乗せ、近くに住む主人のきょうだいの家に行って皆を車に乗せてから避難しました。尋常な揺れではなかったし、津波の危険があるなら高台へと思って、地域で指定されている近くの避難所とは違う小学校を選びました。状況によってハザードマップを信じないことも必要だと思います」

今回の震災では、指定されていた避難所でさえも津波に流されてしまったところも多い。車で高台を目指していた宮城・石巻市の吉田敏朗さん(38)は渋滞につかまり、津波にのまれた。

「波が車にぶつかると、上も下もなく、車が回転しました。でも、その勢いで偶然窓ガラスが割れたんです。おかげでそこから何とか脱出できました。いま思うと、逃げる時、車の窓は開けておくべきでしたね」

※女性セブン2011年8月25日・9月1日号

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