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イチローが“超一流”から“並”の選手になったと示すデータ

 イチローといえば、とかく打撃面ばかりが取り上げられがちだが、守備の面でも超一流。しかし、10年連続でゴールデングラブ賞を受賞した鉄壁の守備にも綻びが見えてきた。

 現在、選手の1シーズンあたりの守備能力を測る指標として、MLB関係者から高い信頼を得ている「UZR(Ultimate Zone Rating)/150」(平均的なメジャー選手が守った場合を0として、150試合でどのくらい失点を防いだかを示す指数)で見ると、イチローは「マイナス5.6」。イチローが守ることで、マリナーズは約6点失点しているとの評価なのだ。

 ちなみに2006~2010年の過去5年間での数値はプラス11。このUZRの数値は、3年間はサンプリングをしなければならないとされているが、守備力の低下が顕著であることは間違いなさそうだ。

 そして、現在のイチローの状態を端的に示す指標について触れておこう。選手の成績評価指標の一つである「BABIP(※)」だ。イチローは昨年まで、BABIPのMLB生涯成績は.354で、ヤンキースのデレク・ジーターと同率で5位の座を争っていた(ちなみに1位はタイ・カッブの.379)。しかし今季の数値は.296にまで落ち込んだ。これはつまり、「超一流」から「並の選手」へ転落したことと同義である。

「マリナーズという弱いチームの中にあって、自分の記録との戦いが彼の唯一のモチベーションになっていたはず。それが途切れた時の虚脱感は大きいでしょう。過去、連続記録が終わった後に、目標を失い寂しい晩年を過ごした選手も多いだけに、今後に一抹の不安を感じます」(スポーツライター・永谷脩氏)

 マリナーズとの契約はあと1年残っている。ヒットメーカーは果たして復活できるのか――。

※BABIP=Batting Average on Balls In Playの略。本塁打を除く、フェアゾーン(インプレー)に放った打球が安打になる確率。数値が高いほどボールをミートする技術に長け、打球を野手のいない所に運ぶスキルに優れていることを示す。平均的な選手は.300前後に落ち着くとされる。

※週刊ポスト2011年10月14日号

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