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2011.10.09 16:00  週刊ポスト

三遊亭鳳楽 独特のリズムでまったりとした空気感を醸し出す

 広瀬和生氏は1960年生まれ、東京大学工学部卒。音楽誌『BURRN!』編集長。30年来の落語ファンで、年間350回以上の落語会、1500席以上の高座に接する。その広瀬氏が「まったりとした空気感を醸し出す」と評するのが、三遊亭鳳楽だ。

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 六代目三遊亭圓生が1978年に「落語三遊協会」なる新協会を設立、圓生没後は総領弟子の五代目三遊亭圓楽一門が通称「圓楽党」として独立を保った。現在、この団体の正式名称は「五代目圓楽一門会」。会長は五代目圓楽の総領弟子、三遊亭鳳楽だ。

 1947年生まれ、1965年に五代目圓楽に入門し、前座名は三遊亭楽松。これは、初の孫弟子に圓生が自分の本名「山崎松尾」から「松」の一字を与えて命名したものだ。

 1972年に二ツ目に昇進、1977年にNHK新人落語コンクールで最優秀賞を受賞。1979年には落語三遊協会として第一号の真打昇進を果たし、三遊亭鳳楽と改名している。

 鳳楽が「三遊派の正統」を強く意識した噺家であることは間違いない。『文七元結』『百年目』『らくだ』『火事息子』『乳房榎』『山崎屋』『鰍沢』『淀五郎』といった圓生十八番の数々を演じる鳳楽の高座には、一種の風格が感じられる。

 ただし、芸質は六代目圓生とはだいぶ異なる。鳳楽は、独特のゆったりとしたリズムで、鷹揚に古典の世界を描き出す。口調も声も実に心地好いが、緩急のダイナミズムは感じられない。どちらかといえば平坦な語り口で、まったりとした空気感を醸し出す演者だ。

 切れ味鋭い名人芸やドラマティックな感動を求めて鳳楽の大ネタを聴くと、肩透かしを食うだろう。だが、落語は演者の個性を楽しむ芸能である。鳳楽の高座には、旬の演者が競い合う現代落語の最前線とは一味違う、ゆったりとした時間が流れている。こういう世界に浸るのもまた、落語の楽しみの一つなのだ。

※週刊ポスト2011年10月14日号

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