国内

堺屋太一氏 旧ソと同じ手法取る野田政権により日本衰退指摘

野田政権になって官僚主導が顕著になりつつある。作家の堺屋太一氏はこうしたやり方では日本が衰退しかねいと危機感を表明している。

* * *
野田政権は官僚主導で国にカネを集め、官僚の権限を強化しようとしている。この社会主義的手法は、旧ソ連と同じ官僚主導で、遠からず日本は衰退する。官僚機構が硬直化・身分化しているからです。

まずは「事業の一体改革」ができないこと。現政権は医療・介護、教育、農業の成長分野に力を入れるという。しかし、それぞれ法人形態が違い、人材も技能も資金も流れない。厚労、文科、農水の各省が囲い込むからです。この縦割りを崩して合理化、一体化しなければ成長は望めません。

たとえば医療分野。多くの病院は経営の素人である医者が経営する。また、優れたITの専門家を雇うこともない。だから病院経営に資本が入らず、医療分野の事業が発展しないのです。

もうひとつの官僚の限界は、消費者の声を聞かないこと。大阪万博の時に知りましたが、ソ連の事務机は大人が4人がかりでないと動かせないほど重い。それは生産ノルマがトン数で計画されるからです。結果、消費者に使い勝手の悪い重い机が作られ続けた。

日本の官僚も同じです。たとえば厚労省が医療政策を立案する場合、医師や医薬品メーカーの意見は聞くが、患者の意見は聞かない。文科省が教育政策を立てるのも、教育委員や教員から話は聞くが、生徒や保護者からは聞かない。

民主主義国家の前提は、国民、消費者の意見を聞くことです。日本の官僚は、業界団体や労組の意見は聞くが、国民の声を聞かない。本来、国民の代表である政治家がその役目を果たすべきなのですが、官僚に尻尾を振り、彼らの権限強化を図る民主党政権に、それは期待できません。

※週刊ポスト2011年11月18日日号

関連キーワード

トピックス

全国でクマによる被害が相次いでいる(AFLO/時事通信フォト)
「“穴持たず”を見つけたら、ためらわずに撃て」猟師の間で言われている「冬眠しない熊」との対峙方法《戦前の日本で発生した恐怖のヒグマ事件》
NEWSポストセブン
韓国のガールズグループ「AFTERSCHOOL」の元メンバーで女優のNANA(Instagramより)
《ほっそりボディに浮き出た「腹筋」に再注目》韓国アイドル・NANA、自宅に侵入した強盗犯の男を“返り討ち”に…男が病院に搬送  
NEWSポストセブン
ラオスに到着された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月17日、撮影/横田紋子)
《初の外国公式訪問》愛子さま、母・雅子さまの“定番”デザインでラオスに到着 ペールブルーのセットアップに白の縁取りでメリハリのある上品な装い
NEWSポストセブン
ドジャース入団時、真美子さんのために“結んだ特別な契約”
《スイートルームで愛娘と…》なぜ真美子さんは夫人会メンバーと一緒に観戦しないの? 大谷翔平がドジャース入団時に結んでいた“特別な契約”
NEWSポストセブン
山上徹也被告の公判に妹が出廷
「お兄ちゃんが守ってやる」山上徹也被告が“信頼する妹”に送っていたメールの内容…兄妹間で共有していた“家庭への怒り”【妹は今日出廷】
NEWSポストセブン
靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
相撲協会の公式カレンダー
《大相撲「番付崩壊時代のカレンダー」はつらいよ》2025年は1月に引退の照ノ富士が4月まで連続登場の“困った事態”に 来年は大の里・豊昇龍の2横綱体制で安泰か 表紙や売り場の置き位置にも変化が
NEWSポストセブン
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン
俳優の仲代達矢さん
【追悼】仲代達矢さんが明かしていた“最大のライバル”の存在 「人の10倍努力」して演劇に人生を捧げた名優の肉声
週刊ポスト
10月16日午前、40代の女性歌手が何者かに襲われた。”黒づくめ”の格好をした犯人は現在も逃走を続けている
《ポスターに謎の“バツ印”》「『キャー』と悲鳴が…」「現場にドバッと血のあと」ライブハウス開店待ちの女性シンガーを “黒づくめの男”が襲撃 状況証拠が示唆する犯行の計画性
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト