国内

日本の二枚舌外交に米は“何だあの野郎と思う”と小沢氏指摘

2012年、日本政治の大きな争点の一つがアメリカが主導するTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)参加問題だ。実利を求めて参加するのか、同盟のために参加するのか、民主党政権の腰は定まらない。政治ジャーナリスト・渡辺乾介氏(『小沢一郎 嫌われる伝説』著者)が小沢一郎・元民主党代表に民主党外交について聞いた。

* * *
――憲法の前文には、「国際社会において、名誉ある地位を占めたい」という一節がある。しかし、TPP論者の主張は、欧米依存症ないしはアメリカ恐怖症の人たちが煽っている印象だ。対米、対中の狭間でどちらつかずで揺れたまま。結局、両方に相手にされなくなる。

小沢:アメリカだってもうイライラして、日本なんか相手にしていない。だから、例えばTPPでも「野田首相はオバマ大統領にこういった」とアメリカが発表したでしょう。すると、日本政府は「そんなこといっていない」なんていう(※)。

この日本の二枚舌が、アメリカ政府にしてみれば「何だあの野郎、ふざけるな」となり、日本国内でも一体どっちなんだという混乱、不信を招いてしまう。今までずっとそういう手法でやってきたんだけれど、そういう二枚舌、中途半端が一番いけない。

――特に民主党政権で目立つのは、国際公約を乱発する手法です。国際交渉の経験がない人ほど外圧を怖がって、その場しのぎの発言をしている。

小沢:TPPや消費税増税の話ですね。普天間の問題だって、もう15~20年ぐらいになるでしょう。その間、日本は問題を解決する方法を何も提示していない。だから、アメリカだって頭に来るに決まっていますよ。

海兵隊は撤退してくれ、沖縄のきれいな海は埋められませんというのは当然です。そのかわり、撤退することで生じる(日米安保の)空白はどうするのかを議論しなきゃ解決できない。日本ができることはやりますといわなければならない。

沖縄は日本の領土じゃないですか。極東の安全と対中脅威論からいえば、琉球列島は非常に重要な海洋線になる。そこは日本がちゃんと守りますといえばいい。それから、有事や非常時の情報収集やアメリカ軍との連携に必要な設備の設置とか、日米両国の世界戦略的な話をすれば、アメリカだって納得する。

それを全然何もいわないで、何もかもアメリカにおんぶに抱っこしようとする。嫌なことは何もしたくないというのではだめですよ。

※昨年11月の日米首脳会談後、米政府は「野田首相がTPPについて『すべての物品およびサービスを貿易自由化交渉のテーブルに載せる』と述べた」と発表した。これが日本国内で批判されると、日本政府は発言内容を「事実無根」と否定したが、米大統領副報道官は「米国の声明は正しい」と訂正する考えはないことを明言した。

※週刊ポスト2012年1月13・20日号

関連記事

トピックス

小林ひとみ
結婚したのは“事務所の社長”…元セクシー女優・小林ひとみ(62)が直面した“2児の子育て”と“実際の収入”「背に腹は代えられない」仕事と育児を両立した“怒涛の日々” 
NEWSポストセブン
松田聖子のものまねタレント・Seiko
《ステージ4の大腸がん公表》松田聖子のものまねタレント・Seikoが語った「“余命3か月”を過ぎた現在」…「子供がいたらどんなに良かっただろう」と語る“真意”
NEWSポストセブン
今年5月に芸能界を引退した西内まりや
《西内まりやの意外な現在…》芸能界引退に姉の裁判は「関係なかったのに」と惜しむ声 全SNS削除も、年内に目撃されていた「ファッションイベントでの姿」
NEWSポストセブン
(EPA=時事)
《2025の秋篠宮家・佳子さまは“ビジュ重視”》「クッキリ服」「寝顔騒動」…SNSの中心にいつづけた1年間 紀子さまが望む「彼女らしい生き方」とは
NEWSポストセブン
イギリス出身のお騒がせ女性インフルエンサーであるボニー・ブルー(AFP=時事)
《大胆オフショルの金髪美女が小瓶に唾液をたらり…》世界的お騒がせインフルエンサー(26)が来日する可能性は? ついに編み出した“遠隔ファンサ”の手法
NEWSポストセブン
日本各地に残る性器を祀る祭りを巡っている
《セクハラや研究能力の限界を感じたことも…》“性器崇拝” の“奇祭”を60回以上巡った女性研究者が「沼」に再び引きずり込まれるまで
NEWSポストセブン
初公判は9月9日に大阪地裁で開かれた
「全裸で浴槽の中にしゃがみ…」「拒否ったら鼻の骨を折ります」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が明かした“エグい暴行”「警察が『今しかないよ』と言ってくれて…」
NEWSポストセブン
指名手配中の八田與一容疑者(提供:大分県警)
《ひき逃げ手配犯・八田與一の母を直撃》「警察にはもう話したので…」“アクセルベタ踏み”で2人死傷から3年半、“女手ひとつで一生懸命育てた実母”が記者に語ったこと
NEWSポストセブン
初公判では、証拠取調べにおいて、弁護人はその大半の証拠の取調べに対し不同意としている
《交際相手の乳首と左薬指を切断》「切っても再生するから」「生活保護受けろ」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が語った“おぞましいほどの恐怖支配”と交際の実態
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン