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高橋名人 ブームのとき会社から「ピンク街歩くな」と禁止令

当時の秘話を明かした高橋名人

ハドソンの社員(現在は退社)でありながら、ゲーム名人として1985年から1990年にかけて活躍した高橋名人こと高橋利幸氏(52)。当時、モデルになった漫画やゲームソフトが発売、CMや映画にも出演するなど、その人気はまさにアイドル並み。このブームで苦労したことや、当時噂になった“逮捕説”など、いまだから明かせる秘話を本人に語ってもらった。

――熱烈な人気について当時はどう思っていましたか?
名人:異常ですよね。まぁ、ぶっちゃけいうと、ほっといてくれっていう(笑い)。もうね、家にいる以外は全部見られてるっていう感覚ですよね。バス移動したときには、サービスエリアでトイレに行ったらファンに見つかっちゃって、バスの窓のところにものすごい人が集まって、しゃあないから窓から握手したら、右手にしていた腕時計を取られそうになりましたからね。「てめぇ泥棒か~!」という感じでね(笑い)。

――有名になって困ったことは?
名人:自分が楽しみたい趣味を、自宅にいないとできなかったですね。出かけると、何かをする度に注目されるんですよ。例えばスノボやるにしても、見られたくないときに見られるんですよ。恥ずかしいじゃないですか。それで、できなくなるんです。だから家の中でできること、例えばいまでいうiPadみたいな電子機器の新しいのが出たらすぐ触ってみるとかそういう方向になっていくんですね。

――“高橋名人逮捕説”など数々の噂も広まりましたが。
名人:逮捕なんかはまだいいほうで、死亡説もありますからね。“口裂け女”の噂は日本全国を周るのに2、3週間だったらしいんですが、私の場合には2週間でドイツから問い合わせがきましたね。ハドソンのドイツ支社から問い合わせがあったんですって。「高橋名人っていうのが逮捕されたと子供から聞かれたが、それは何の話か?」って(笑い)。

――ネットのない時代にすごい話の広まりようですね。
名人:いまなら当たり前ですけどね。ツイッターでつぶやけば日本全国に拡散しますけど。逮捕説の噂のいちばん最初の起点は確か、仙台の警察で一日署長を務める話をしたときです。スケジュールが合わず、まだ行くかどうかわからなかったときに、「イベントで今度市ヶ谷の警察に一日署長しに行くかもしれないんだ」っていう話をしたんです。そうしたら「一日署長しに」という部分を抜いて「警察に行く」だけ取り上げられて、「なんで警察に行くんだ? 逮捕されるんだ」という話になってしまった。

当時のハドソンの東北営業所に問い合わせがあって、営業所の女の子なんかはそんな話は全然分からないから、「あぁ、じゃあ調べてみます」という返事になる。でも、「調べてみます」ってことは、身内としてはもう認めてる雰囲気になるじゃないですか。推測するに、その瞬間から広まったんじゃないですか。

――そのとき、会社ではどんな影響がありましたか?
名人:こっちは社長に怒られるだけです。会社の代表電話が全部つぶれて仕事にならなかったんですよね。上から呼ばれて、「お前が変な噂流すから仕事になんない」っていわれるんで、「いや、俺じゃないですよ」っていってましたけど。

――当時、高橋名人として気をつけていたことは?
名人:会社的にやってはいけないことがあって、変な話ですけど、まず、ピンク街を歩くなと。たとえ店にはいらなくても、写真誌にそういう所を歩いている写真を撮られるだけでまずいので「もし歩かなきゃいけないんだったら、ど真ん中を歩いてこい」と(笑い)。だから歌舞伎町の映画館に行くときは、映画館の前にタクシーを乗り付けてましたね。降りて映画観て、その後は真ん中を一目散に走って帰ってました(笑い)。

――あえてイメージ作りをしていた部分は?
名人:ないです。まんまですね。みんな信じてくれないんですけど、本当はぼく口下手だし照れ屋なんですよ。役者さんてシャイなかたが多いじゃないですか。あれと一緒ですよ。イベントではもう、自分を捨ててるんですね。演じるほど演技もできないし。

――女性にモテましたか?
名人:女の子にはモテましたね、小学生以下の(笑い)。だってあのころの中学生以上って、女の子はあまりゲームしてないですよ。お兄ちゃんがいるぐらいの子ぐらいですよね。高校生とか中学生だとクラスにひとりいるかというぐらいじゃないですか。

――ファンも多かったと思いますが。
名人:バレンタインのときにはチョコレートが赤帽で2台分届いたんですが、社員のみんなに食べてくださいってことで、会社の通路にチョコを置いてました。さすがにジャニーズには負けましたけどね。ジャニーズは2トントラックに何台とかでしょ。

――会社での肩書きも名人になったということですが。
名人:それはハドソン時代の後半のことですね。当時のハドソンの社長から急に「昼飯食おう」っていわれて連れていかれたら「お前明日から役職、名人にしろ」って。おかげさまで、いまの会社でも名刺は「名人」になってるんですよ。

――ところで、2006年の紀子さまご出産で街頭インタビューを受けたのは偶然ですか?
名人:たまたまあの日は商談会があって珍しくスーツ姿だったので声かけられたんでしょうね。有楽町から会社まで歩いて行く途中、テレ東さんのクルーが「すいません!」といってくるから、ヘッドホンステレオのイヤホンを外しながら「なんですか?」って答えてる様子がテレビで放送されたんですけど、あれでぼくのブログのサーバーが止まっちゃったんですよ。

夜にまた会社に戻ってきてドア開けた瞬間、「名人! 今日何があったんですか~!?」ってみんなに責められるし、「なんか東スポさんから“取材”について取材したいっていう電話がはいってますよ」「えっなにそれ?」って大騒ぎ。ITの部署からは「こういうときには事前に教えてくれないと困ります」っていわれるし、ブログも全然開けないし。1日で170万件くらいのアクセスがあったみたい。

――テレ東は高橋名人だと知ってた?
名人:知らなかったみたいですよ。インタビューした人は初めての仕事で。後でその放送を見たテレ東さんの営業のかたが「あ~!」って驚いたらしいですよ。

――これまでも偶然世に出たりと、珍しいタイミングに遭遇しますよね。
名人:ぼくね、持ってるんですね(笑い)。

【高橋利幸(たかはし・としゆき)】
1959年5月23日、北海道出身。1985年~1990年にかけて日本全国で一大ブームを巻き起こした“ファミコン名人”として活躍。ハドソンの社員だったが、16連射で一躍、子供達のヒーローとなる。2011年5月31日付けで約29年勤めたハドソンを退社。インターネット番組『ゲッチャ!』では「名人」の肩書きでゲーム番組やイベントのMC、プロデューサー業など多岐にわたり活動中。

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