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振り子打法訣別のイチロー 今シーズンは打点重視と育ての親

 昨季、シーズン200本安打の連続記録が10年で途切れたシアトル・マリナーズのイチロー(38)が、大きな決断を下した。日本で天才打者として才能を開花させて以来、イチローの代名詞となってきた「振り子打法」と訣別したのだ。

 イチローが“新スイング”を試みる理由には、今季から求められる役割が変わるという事情があるといわれる。

「ウエッジ監督はイチローを3番で起用する予定。貧打の攻撃陣の中で、イチローにチャンスメークではなく得点力を期待している」(マ軍番記者)

 しかし、一方ではヒットメーカーとしての限界を指摘する声もある。本誌は昨年、イチローの各種打撃データから「速球を打てなくなった」「強い打球を放てなくなった」という事実を示したが(週刊ポスト2011年10月14日号)、イチローを古くから知るスポーツジャーナリストは、「それらの衰えを補うための、消極的な意味での打撃改造だろう」というのである。

「今までは相手が前進守備を敷くと、それを嘲笑うかのように鋭い打球を内野手の間に放っていたので内野手は容易に前に出られず、内野安打を量産した。だが、昨季はボテボテのゴロばかりだったため、相手も安心して前進守備を敷き、内野安打が20本以上減った。ミート力の衰えをカバーしなくてはならないという考えがイチローには生まれたのだろう」

 そうだとすれば、イチローをイチローたらしめた「天才的なバットコントロール」に限界が来ているということになるが……。オリックスの元打撃コーチとして振り子打法を完成させ、「イチローの育ての親」といわれる河村健一郎氏(野球評論家)はこう語る。

「本来、イチローは中距離打者。どこまでフォームを改良するかはわからないが、今季は“フルスイングでヒットを打つ”という考えなのだと思います。200本安打ではなく、打点に重点を置くでしょうし、3年ぶりに2ケタ本塁打も狙える。そんな“ニューイチロー”への変身が楽しみです」

※週刊ポスト2012年3月23日号

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