ライフ

欠陥中古マンション 1年以内なら売買契約解除できる場合も

 竹下正己弁護士の法律相談コーナー。今回は「マンション購入後にトラブル発生。賢い売買の交渉術を教えて」と以下のような質問が寄せられた。

【質問】
 先日、中古マンションを買いました。住み始めてから、床下の排水管が傷んでいて漏水することがわかりました。不動産業者に苦情をいったところ、売買が済んだ後なのだから、どうしようもないとのこと。不動産業者を通じて買う場合に大事なことがあれば、今後のためにアドバイスをください。

【回答】
 助言の前にあなたの家の漏水が気になります。マンションの排水管の漏水は、住宅が備えるべき品質上の重大な欠陥です。売買の目的物の欠陥で、買主が気付かず、気付かなかったことに過失がないものを「隠れた瑕疵」といい、売主は損害賠償義務を負います。瑕疵の程度がひどくて契約の目的を達成できないときには、買主は売買契約を解除して代金の返還を請求できます。

 これを瑕疵担保責任といい、民法の定めでは、買主が瑕疵に気づいてから1年以内であれば、瑕疵担保請求権を請求できます。しかしこの責任は、不動産業者が売主になる場合を除き特約で排除したり、軽減できます。中古マンションの売買では、売主もどこに不具合があるか分かりませんから、瑕疵担保責任を限定するのが普通です。それでも特約で排水管の瑕疵が除外されているかは疑問です。

 手元の標準的な書式では雨漏り、シロアリ、給排水管だけは、補修に限って隠れた瑕疵の責任を負うことになっています。あなたの契約内容を確認してください。特約で担保責任を制限する場合、責任を負う期間を短く限定しているでしょう(例えば手元の書式では、引渡し後3か月以内としています)。あなたの権利行使が間に合わなければ、売主が瑕疵を知っている場合を除き、担保責任の追及ができません。

 不動産業者は契約前に、瑕疵担保責任について、その履行のための保険等に入っているか否かの説明義務がありますが、前記の特約の説明義務はありません。しかし実際には、特約の有無や主要な設備の状態を説明する例もあります。そこで重要事項の説明を受ける際には、瑕疵担保責任の特約の有無やマンションの付帯設備の現状、さらにその修繕歴等について、説明を求めることが大切です。

※週刊ポスト2012年5月4・11日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
浅香光代さんと内縁の夫・世志凡太氏
《訃報》コメディアン・世志凡太さん逝去、音楽プロデューサーとして「フィンガー5」を世に送り出し…直近で明かしていた現在の生活「周囲は“浅香光代さんの夫”と認識しています」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン
温泉モデルとして混浴温泉を推しているしずかちゃん(左はイメージ/Getty Images)
「自然の一部になれる」温泉モデル・しずかちゃんが“混浴温泉”を残すべく活動を続ける理由「最初はカップルや夫婦で行くことをオススメします」
NEWSポストセブン
宮城県栗原市でクマと戦い生き残った秋田犬「テツ」(左の写真はサンプルです)
《熊と戦った秋田犬の壮絶な闘い》「愛犬が背中からダラダラと流血…」飼い主が語る緊迫の瞬間「扉を開けるとクマが1秒でこちらに飛びかかってきた」
NEWSポストセブン
高市早苗総理の”台湾有事発言”をめぐり、日中関係が冷え込んでいる(時事通信フォト)
【中国人観光客減少への本音】「高市さんはもう少し言い方を考えて」vs.「正直このまま来なくていい」消えた訪日客に浅草の人々が賛否、着物レンタル業者は“売上2〜3割減”見込みも
NEWSポストセブン
全米の注目を集めたドジャース・山本由伸と、愛犬のカルロス(左/時事通信フォト、右/Instagramより)
《ハイブラ好きとのギャップ》山本由伸の母・由美さん思いな素顔…愛犬・カルロスを「シェルターで一緒に購入」 大阪時代は2人で庶民派焼肉へ…「イライラしている姿を見たことがない “純粋”な人柄とは
NEWSポストセブン
真美子さんの帰国予定は(時事通信フォト)
《年末か来春か…大谷翔平の帰国タイミング予測》真美子さんを日本で待つ「大切な存在」、WBCで久々の帰省の可能性も 
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン
インドネシア人のレインハルト・シナガ受刑者(グレーター・マンチェスター警察HPより)
「2年間で136人の被害者」「犯行中の映像が3TB押収」イギリス史上最悪の“レイプ犯”、 地獄の刑務所生活で暴力に遭い「本国送還」求める【殺人以外で異例の“終身刑”】
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン