スポーツ

宮本慎也の2000本安打を支えたバット製造者「身に余る光栄」

イチロー、松井秀喜らのバットも担当する名和民夫氏

 スポーツ選手にとって道具は何より大切なもの。道具次第で成績が大きく変わることもある。ここではイチロー、松井秀喜、宮本慎也のバットを製造する“クラフトマン”名和民夫氏(45)を紹介する。

 * * *
 バット製造に関わり19年。選手の偉業達成の場面に幾度も遭遇しているのがミズノテクニクスの名和氏だ。今年、心を躍らせたのは、担当するヤクルト・宮本慎也の2000本安打達成――。

「2006年に元横浜の石井琢朗選手(現・広島)、2007年に元日本ハムの田中幸雄選手が2000本安打を達成しましたが、皆さん、前任者から引き継いだ方々。私がその瞬間に立ち会えるのは身に余る光栄です」

 ほかにもイチロー、松井秀喜を始めメジャーリーガー100人余りの選手たちのバットを一手に引き受けるが、一流の選手ともなれば、木の材質、比重とこだわりを持つ。

「バットを変える選手と変えない選手がいますが、イチロー選手の場合は、北海道産のアオダモの木のなかでも最も比重のあるものを使用し、ほとんど形を変えません」

 宮本は、毎年オフに岐阜の工場を訪れ、新しいモデルの削り出しを依頼するが、今年は試行錯誤の末、例年と同じ型で勝負に挑んだ。早速、本誌も削り出しをお願いすると、時間にして20分! 速さと質を兼ね備えた匠の技がそこにはあった。

撮影■杉原照夫(WEST)

※週刊ポスト2012年5月18日号

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