国内

小林よしのり氏 陛下の“火葬表明”に「ご意向のままでいい」

 衝撃的ではあるが、静かな感動を呼び起こす発表だった。4月26日、宮内庁の定例記者会見で羽毛田信吾長官は、土葬が慣例となっている天皇・皇后両陛下の埋葬方法を、火葬に変更する方向で検討すると発表した。今回の発表について、漫画家・小林よしのり氏が自身の考えることを以下のように寄稿した。

 * * *
 埋葬方法の変更は、長年にわたって両陛下が側近らに意見を示されていたことだという。 天皇陛下は、今では火葬が社会で一般化していることから、火葬が望ましいとお考えになっている。

 また両陛下はかねて、東京都八王子市の武蔵陵墓地にある昭和天皇陵と香淳皇后陵が少し離れ、平行に隣接していないのを見て「用地に余裕がなくなっているのではないか」と思われ、自らの陵について「規模を含めできるだけ簡素なものが望ましい」ともおっしゃったという。

 皇后陛下は、天皇陛下の御陵のおそばに、祠のようなものでもと申し出られ、天皇陛下がそれなら合葬ではどうかとおっしゃったそうだがご遠慮なさっている。

 さらに葬儀全体についても「極力、国民生活への影響の少ないものとするように」との意向を示されているという。

 言うまでもなく、現在の国の財政事情を鑑み、国費負担の軽減を配慮なさってのことだろう。宮内庁はこれから1年程度かけ、具体的な検討を進めるという。

 両陛下の、この無私・無欲の慎ましやかなお考えには、胸を打たれる。

 そもそも天皇のご葬儀は第41代・持統天皇(702年)から、わずかな例外を除いて火葬が長く定着していた。

 それが土葬に代わったのは第110代・後光明天皇(1654年)からである。宮中に出入りしていた魚屋八兵衛が、ご遺体であっても玉体に火をかけるのは畏れ多いと熱心に献言し、それが通じて古代以来の慣行が変更されたと伝えられる。

 保守派のメディアでは「お二人の思いを尊重すべきだが、行き過ぎた簡素化には反対だ」と唱え、「この国の象徴としての威厳を保ち、伝統を守る方が大切だ」と主張する向きもある。

 もちろん、陛下のご葬儀にはそれなりの威厳は保たれるだろうが、もはや国民の側から「べき論」で主張することすら恥ずかしいという感覚が、わしにはある。

 もう何もかも陛下のご意向のままでいいではないか。

※SAPIO2012年6月6日号

関連記事

トピックス

『酒のツマミになる話』に出演する大悟(時事通信フォト)
『酒のツマミになる話』が急遽差し替え、千鳥・大悟の“ハロウィンコスプレ”にフジ幹部が「局の事情を鑑みて…」《放送直前に混乱》
NEWSポストセブン
3年前に離婚していた穴井夕子とプロゴルァーの横田真一選手(HP/時事通信フォト)
「私嫌われてる?」3年間離婚を隠し通した元アイドルの穴井夕子、破局後も元夫のプロゴルファーとの“円満”をアピールし続けた理由
NEWSポストセブン
小野田紀美・参議院議員(HPより)
《片山さつきおそろスーツ入閣》「金もリアルな男にも興味なし」“2次元”愛する小野田紀美経済安保相の“数少ない落とし穴”とは「推しはアンジェリークのオスカー」
NEWSポストセブン
『週刊文春』によって密会が報じられた、バレーボール男子日本代表・高橋藍と人気セクシー女優・河北彩伽(左/時事通信フォト、右/インスタグラムより)
「近いところから話が漏れたんじゃ…」バレー男子・高橋藍「本命交際」報道で本人が気にする“ほかの女性”との密会写真
NEWSポストセブン
記者会見を終え、財務省の個人向け国債のイメージキャラクター「個子ちゃん」の人形を手に撮影に応じる片山さつき財務相(時事通信フォト)
《つけまも愛用》「アンチエイジングは政治家のポリシー」と語る片山さつき財務大臣はなぜ数十年も「聖子ちゃんカット」を続けるのか 臨床心理士が指摘する政治家としてのデメリット
NEWSポストセブン
森下千里衆院議員(時事通信フォト)
「濡れ髪にタオルを巻いて…」森下千里氏が新人候補時代に披露した“入浴施設ですっぴん!”の衝撃【環境大臣政務官に就任】
NEWSポストセブン
aespaのジゼルが着用したドレスに批判が殺到した(時事通信フォト)
aespa・ジゼルの“チラ見え黒ドレス”に「不適切なのでは?」の声が集まる 韓国・乳がん啓発のイベント主催者が“チャリティ装ったセレブパーティー”批判受け謝罪
NEWSポストセブン
高橋藍の帰国を待ち侘びた人は多い(左は共同通信、右は河北のインスタグラムより)
《イタリアから帰ってこなければ…》高橋藍の“帰国直後”にセクシー女優・河北彩伽が予告していた「バレープレイ動画」、uka.との「本命交際」報道も
NEWSポストセブン
歓喜の美酒に酔った真美子さんと大谷
《帰りは妻の運転で》大谷翔平、歴史に名を刻んだリーグ優勝の夜 夫人会メンバーがVIPルームでシャンパングラスを傾ける中、真美子さんは「運転があるので」と飲まず 
女性セブン
安達祐実と元夫でカメラマンの桑島智輝氏
《ばっちりメイクで元夫のカメラマンと…》安達祐実が新恋人とのデート前日に訪れた「2人きりのランチ」“ビジュ爆デニムコーデ”の親密距離感
NEWSポストセブン
イベントの“ドタキャン”が続いている米倉涼子
「押収されたブツを指さして撮影に応じ…」「ゲッソリと痩せて取り調べに通う日々」米倉涼子に“マトリがガサ入れ”報道、ドタキャン連発「空白の2か月」の真相
NEWSポストセブン
元従業員が、ガールズバーの”独特ルール”を明かした(左・飲食店紹介サイトより)
《大きい瞳で上目遣い…ガルバ写真入手》「『ブスでなにもできないくせに』と…」“美人ガルバ店員”田野和彩容疑者(21)の“陰湿イジメ”と”オラオラ営業
NEWSポストセブン