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マンション積立金滞納者への催促 最後は裁判しか方法はない

 竹下正己弁護士の法律相談コーナー。今回は「積立金滞納の居住者に催促するにはどうすればよいか」と以下のような質問が寄せられた。

【質問】
 マンションの居住者たちが、マンションの外壁塗装の費用やその他の修理費などを、修繕積立金として積み立てています。この修繕積立金を滞納している居住者がいますが、その滞納分の支払い催促の方法として、2年目以降の滞納分について滞納利息を課すのは、法律的に問題ないでしょうか。

【回答】
 マンションの区分所有者は、管理団体を構成し、管理のための規則を定めることができます。現実には大抵のマンションで管理組合が結成され、管理規約が定められています。建物区分所有法第30条では「建物又はその敷地若しくは附属施設の管理又は使用に関する区分所有者相互間の事項は、この法律に定めるもののほか、規約で定めることができる」と定めています。

 管理費や修繕積立金の支払いに関することは、建物などの管理に関する事項であり、その不払いに対する制裁もこれに含まれます。そして、金銭の支払いを怠れば、遅延損害金(延滞金)が発生します。

 民法では、支払い時期を遅延した期間、年5%の割合(法定利率)で損害金が発生することになっています。そこで管理規約で決めた管理費等の怠りに対して、法定利率以上の率で遅延損害金を徴収しようというのであれば、管理規約で定めればよいのです。但し、極端に高い金利は公序良俗に反するとして、効力が制限されます。

 普通、銀行取引などで遅延損害金の利率とされている年14%前後のようです。注意してほしいのは、管理規約の変更手続きを適正に行なうことです。管理規約の変更は、管理組合の総会で、区分所有者が持っている床面積で決まる議決権数と頭数のいずれも4分の3以上の賛成が必要です。

 遅延損害金を定めても、管理費等の不払いを継続する場合には、残念ながら最後は裁判で回収するしかありません。その場合、マンションの管理者(通常、管理組合の理事長などが選任されています)に、総会で裁判提起をする権限を与えれば、滞納者に対して支払い請求の裁判を提起できます。また滞納者が、管理費等を滞納したまま区分所有物を売却した場合は、買主に対して、滞納分と遅延損害金を請求できます。

※週刊ポスト2012年6月1日号

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